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ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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約1000km走行の所要時間は11時間12分!

3)草津PA下り→加古川北IC(折り返し)→草津PA上り(90kW級急速充電器)

・走行距離:244.5km
・消費電力量:84%→8%
・平均電費:5.03km/kWh(199Wh/km)
・外気温:15〜14℃

ボルボEX30走行テストのようす

いよいよ折り返し地点を超えました。1000kmチャレンジの最長区間での平均電費は199Wh/kmと、RWDグレードのコンパクトSUVであることを考えると、想定よりも電費が悪いと感じます。今後、追加されるであろうAWDグレードではさらに電費が悪化することを考慮に入れると、電費性能はそこまで期待できないと感じます。

4)草津PA→浜松SA(150kW級急速充電器)

・走行距離:194.5km
・消費電力量:64%→4%
・平均電費:5.15km/kWh(194Wh/km)
・外気温:14〜18℃

ボルボEX30走行テストのようす

最後の充電スポットは浜松SA上りです。150kW級急速充電器を使用したものの、やはり行きと同じように90kWを超える充電出力を発揮することはできませんでした。よって、日本仕様のEX30の充電性能は、最大でも90kW級であるといえそうです。

ただし、それでも150kW級を使用する意義はあります。前述したとおり、eMP製の青いマルチはブースト仕様であるため、同じ充電時間でより多くの充電量を得られるのは150kW級の方だからです。

5)浜松SA→海老名SA(ゴール)

・走行距離:190.9km
・消費電力量:72%→5%
・平均電費:4.63km/kWh(216Wh/km)
・外気温:20〜23℃

ボルボEX30走行テストのようす

海老名SAの直前で走行距離1000kmを達成しました。海老名SAには充電残量5%で到着。この海老名SA到着時点での充電残量が少なければ少ないほど、最後の充電時間を短縮することができるわけですので、綿密な充電残量コントロールが求められるわけです。その意味においてはまずまずの充電残量コントロールを達成できたといえそうです。

他車との結果比較

トータルの所要時間は11時間12分と、私がこれまで行ってきた1000kmチャレンジの検証のなかでは平凡な記録となりました。

他方で、コンパクトSUVであるEX30の競合車種の結果を比較していくと、たとえば中国BYDのAtto 3は12時間27分と、かなりの差がついています。今回の一連の検証でも明らかなとおり、150kW級の充電性能を発揮することはできなかったものの、90kW級の充電性能を安定して発揮したことで、長距離を走行させたとしても、車両側の充電性能の問題によって到着時間が大きく前後するリスクがないため、安定感のあるEVであるといえるでしょう。

その一方で、やはり残念だったのは90kWを超える充電性能を達成できなかった点です。海外仕様では150kW級の充電出力に対応しており、充電時間の大幅な短縮が可能です。なぜ日本仕様ではデチューニングされてしまっているのかは不明ですが、日本独自規格であるチャデモ規格への対応の際に、複合的な問題で対応できなかった可能性が高いです。

やはりトータルの充電時間が2時間を超えてくると、充電の時間が長いと感じてしまうのは否めません。

今後1〜2年ほどで、高速道路上に多くの150kW級急速充電器が普及する見込みであることからも、この150kW級の充電出力に対応できているかどうかという視点も、ロングトリップを行うEV購入検討者にとっては重要なポイントとなり得るでしょう。

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