旧型コロナの風邪でもみんな同時にひいたら大変なことだよ

新型コロナウィルスについて、最初の頃テレビでは「風邪と同じだから過剰に心配しないで」と言っていて、一方で、武漢の大変な状況や中国の都市封鎖のニュースが伝わってきて、一体どっちが本当なんだ!と思っている人が多いだろう。

二種類のメッセージが両立しないので、楽観からパニックへ極端に振れたりして、必要以上の混乱が生じているようだ。

これをバランスよく理解するコツは、「抗体」の有無に注目することだと私は思う。

つまり、新型コロナと風邪の違いで一番大事なことは、感染率とか重症化率とか死亡率とかそういう難しい話ではなくて、単にみんな一緒にひくか、バラけてひくかという違いだ。

風邪でもインフルエンザでも、これまで流行ったものは、抗体を持っている人がたくさんいる。ウィルスは少しづつ変異するので、二度でも三度でもひくことはあるけど、旧型ウィルスでは、何もしなくてもうつされることのない人が一定の割合で存在している。

ちょっとした大企業なら、毎日数人風邪で休む人はいるだろうし、小さなオフィスでも、一月の間、全社員が皆勤で誰も休まないということはないだろう。社会はそれくらいの風邪ではびくともしないようにできている。

でも、全員が同じ日に休んだらパニックで、会社は回らないよね。

もし、全人類の体内から旧型コロナの抗体が突然消え去って、風邪が異常にうつりやすくなって、しかもうつったらみんな結構重めで数日寝込むとしたら、会社としては本気で「毎日熱をはかって、熱があるやつは絶対に会社に来るな!」と言うだろう。

無理して出社する奴が一人でもいたら、即、全社員にうつるなんてことになったら、どの会社も自発的に門の前に警備員を配置して警戒するだろう。誰も抗体を持たないというのはそういうことで、単に自分が寝込むという問題ではなくて、何人もの人にうつしてそれがどんどん連鎖していく。

それがこれから起こることなんだと思う。

でも会社はまあいいよね。そういうバカは全員クビでいいんだから。病院は「来るな!」と言えないのでもっと大変。

誰もが抗体を持たない風邪は、もしそれが何を意味するのかをきちんと理解できるならば、相当深刻な問題であると理解して先手を打って対処するのが当然だ。

もちろん、新型と旧型は違っていて、その違いはこれから少しづつ明らかになるだろう。でもそういう新しい情報を受け入れるベースとして、「誰でも100%うつされるけどそれ以外の症状は普通の風邪」という見方を持っていれば、問題を理解しやすいのではないだろうか。