衝撃的誘惑スパイラル

寄席を初体験した日の興奮をそのまま記す

初めての寄席に行ってきた。

客席はどんな雰囲気なんだろう、話をちゃんと理解できるのかな、うたた寝しちゃったらどうしよう……などと不安を抱えて行ったものの、何一つ問題ではなかった。約3時間半の公演(というのか?)の間、ひと時たりとも退屈せず、くつろぎながらもずっとずっと笑っていた。

 

きっかけは友人と飲んでいるときに「落語いいよ~」とおすすめしてもらったこと。

ここ数年は宝塚歌劇を観ることに時間を費やしてきたが、先日ご贔屓が退団。何かを鑑賞しにいくという行為から少し離れていたところだった。「私も落語気になるかも……」と伝えると、その場ですぐにおすすめの公演(合ってます?)を調べてくれて、あれよあれよという間に寄席に行く日が決まった。

上野・鈴本演芸場へ

やってきたのは、上野広小路にある鈴本演芸場。寄席では鑑賞しながら飲食OKな場所が多いそうだが、この鈴本演芸場はなんと飲酒までできる。友人と事前に御徒町の名物スーパー「吉池」でお酒とおつまみを購入して入場。演劇公演ではなかなかあり得ないので、遠足の準備をしているかのように浮足立ってくる。

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受付で3500円(安い!)を支払い客席へ。当日券且つ自由席というのも新鮮だ。日曜の夜ということもあり、客入りは6〜7割くらい。ほどよい空席があって、なんとなく緊張がほどけた。

 

そこから先は何度も何度も声を上げて笑っていた。古典落語と新作落語があるということは友人に聞いていたが、「なんとなく難しそう」と先入観があった古典落語でもゲラゲラ笑ってしまう。江戸時代からある演目ということだから、200年近く前の人と同じ感覚で笑っているのかと思うと不思議な心持ちだ。

終わったころにはなんだか肩のコリがほぐれたような、プールではしゃいだあとのような、カラッとした満足感があった。演劇やミュージカルではじっとり重い気持ちになったり感極まったりすることが多い私だけれど、寄席にそんな気持ちは似合わない。

この時間の過ごし方が好きだなぁとしみじみ満たされる気持ちだった。なんだか心が健康になった気さえする。

これからの人生でずっと楽しみたい

3500円でプロが目の前でしゃべってくれるなんて、ものすごい世界だ。曲芸や漫才、奇術、三味線なども含めて11組も出演している。こんなにいては好き嫌いがあるのかなと思いきや、全部しっかり面白い。プロの落語家の技を目前にすると、面白いと同時に恐れすら感じる。

特に、つかみの小咄である「マクラ」から本題に入るときの声色の変わり方にぞくぞくした。一瞬で違う人がそこにいるのだ。きっと擦り切れるほど語られてきたであろう感想だと思うが、それでも、やっぱり、ものすごい。姿まで違って見えた。

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寄席、もしかして自分にすごく合っているのかもしれない。初めて体験した興奮をそのままにこんな文章を書いてしまうほどには満足している。そしてなにより、この先の人生でずっと楽しめそうな予感が嬉しい。

とは言え、もっと自分に知識があれば…!と思うところも多々。そこはじっくり学びながら気負わず楽しみたい。次の目標は新宿の末廣亭だ。