おとぎ話のような公正な世界に憧れる気持ちはもちろん大事だよね

最近少し気になる話題がありまして、どらねこなりに少し考えたことを会話形式で書いてみました。尚、登場人物等は実在の人物や団体等と基本的には関係がございません。


■ポニョ子さんいきどおる
どらねこ:なんかだかなー、暗いニュースばかりで気が滅入るなぁ・・・、テレビ消しても良い?
ポニョ子:ちょっと待ちなさいよ、今いいところなんだから! まぅたくもうプンプン。
どらねこ:何をおこってるの。やっぱり生活保護の不正受給けしから〜んみたいな感じ?
ポニョ子:逆よ逆、こんな風に有名人だからってテレビでつるし上げしなきゃならない問題なワケ?
どらねこ:へぇー、ちょっと意外。努力が足りないとか甘えとかそんな論調が多いから心配なんだよね。
ポニョ子:意外って何よ。だって、アタシが貰うときは当然の権利です!と、堂々と貰いたいし。とかいうとやっぱりとか思っちゃう?
どらねこ:ううん、そんな風に想定する事も大事だと思うモフ。自分だけは違うんです的なのって想像力が足らないような気がするし。
ポニョ子:ホラ、アタシって感性豊かだから。
どらねこ:(今日は突っ込み役がいないからつらい・・・)
ポニョ子:何か言った?
どらねこ:(ブンブン)この問題って公務員バッシングとも通じるところがあると思うのだけど、一つの特別な事例を引っ張り出してきて、全体の問題として皆に問いかけているんだよね。
ポニョ子:でも、ゴキブリを一匹見つけたら1億いると思え、っていうじゃない。そんな人が日本に1億人いるところを想像すれば恐怖を感じて当然よね。アレ、10億だったかも。
どらねこ:すごいインフレだね。確かに特殊な事例とまではいかなくて、潜在化している問題はあると思うけど、それがどれぐらいなのかという見積もりも無いままに社会問題化してしまうのは困りものだよね。直接的な処遇の問題もあると思うし、間接的に大事な問題を放置する事にもつながりかねないからね。
ポニョ子:そのせいで生活保護の必要な人が恥ずかしいからと申請を躊躇してしまったら誰が責任をとるのよ!そう思うと・・・ぐるるぅぅ。
どらねこ:まあまあ、落ち着いて。
ポニョ子:そのポテチを食べたら落ち着くかもポリポリ。
どらねこ:ああ!新発売の地衣酢味チップスまだ食べていないのにぃ。
ポニョ子:ふぅ〜ん、磯風味だけど今ひとつね。ハイ、あげる。


■失敗の原因は誰のせい?
どらねこ:さっきの話だけど、どれぐらいいるのか想像もつかないから怖いといってたけど、人間っていわゆるマイノリティーの不正については実際よりも多めに見積もるという傾向があるみたいなんだよ。例えばアメリカの話だとして、犯罪者の割合が同じ集団があったとして、一つは白人集団、もう一つを黒人集団だとすれば、黒人の犯罪者の割合を多く見積もる傾向があるということだよ。
ポニョ子:ふーん、なんとなくわかるかも。なんかさー、アメリカ軍*1の犯罪がやたらと採り上げられて、それについてあいつらやっぱりコワイとかいう人いるのよ。でも、実は日本人の平均的犯罪率より随分と低いという話を聞いたことがあるのね。やっぱりねー。
どらねこ:マイノリティーというイメージ的には微妙だけど、自分たちの属するグループの外という意味ではちかいかも。
ポニョ子:グループかぁ、なるほどねー。近所のおばちゃんグループでも、よそ者に対しては容赦ないものねぇ。で、チカラのあるおばちゃんの失敗はみんな擁護するのよね−。
どらねこ:力関係もそうだけど、そうでない場合でも自分たちの考えに近い立場かそうでないかで原因の追及に違いが現れる傾向はあるよね。
ポニョ子:どんなこと?
どらねこ:うーん、こんなのはどうかな。

【猫派犬派】
A:やっぱり犬はかわいいわよなー。
B:そうだよねー。
A:猫派の急先鋒、どら○こってヤツが居るんだけど、アイツ最近、つまらない記事ばかりでブクマが伸びないらしいよ。犬派の悪口書いているからとうぜんだよね。
B:だよね、アイツのエントリ勿体ぶった割に中身がないからあるいみ当たり前だよ。
A:だけど、オレの尊敬する犬髷さんも最近勢いがないんだよなー。
B:ああ、もしかするとリアルで忙しいのかも知れないね。しょうがないよ。

ポニョ子:なんかこの話の設定自体に悪意を感じるのは気のせい?
どらねこ:いや、そんな事はないモフよ。ええと、最近同じく勢いのないブロガーさんが二人居たとして、自分たちのグループと認識される人に対しては好意的に解釈する傾向があり、そうでない場合には容赦が無いという傾向がみられるようなのね。
ポニョ子:スポーツの応援もそうよね。贔屓チームの得点は努力のたまもので相手の得点は運が良かったからみたいな。あと、不利な判定は全部陰謀とか・・・あ、こっちのたとえの方がわかりやすくない?だからブクマが伸びないのよねー。
どらねこ:いやん。
ポニョ子:(きもっ)でも面白いわよねー、同じ現象をみて違う意味付けして納得できちゃうのって。
どらねこ:うん、面白いしコワイよね。マイノリティーに不利な意見がでてきやすい理由の一つと思ってるモフ。どらねこの知り合いに高瀬さんというちょっと粗忽な方がいるんだけど、彼をよく識る人は失敗を「うっかり」と解釈するし、意見を異にする人からは「人格の問題」と解釈が分かれているんだ。こういうのは誰にでもある人間の傾向なんだよね。


■努力が報われる正しい世界
ポニョ子:そうそう、生活保護の話に戻るけど、えーこの人がぁ〜と思う事があったのよね。
どらねこ:どういう事?
ポニョ子:アタシのすっごい尊敬する人で、みんなに対しても優しい人なんだけど、「生活保護の受給者は努力が足りないからイケナイ、もっと抜け出すための努力をしないと周りから理解されないよね」なんて真顔でいってるの。ちょっとショックなのね・・・。
どらねこ:ああ、なるほど。どらもツイッターとかで見かけたかも。この話もさっきの話に近いかもしれないね。
ポニョ子:えっ、そうなの?
どらねこ:両方とも結果を見て第三者がその原因を推測するはなしだからね。生活保護になるのには原因があり、その原因は本人の○○がきっかけとなっている、という構図だね。
ポニョ子:ふむふむ。
どらねこ:もしかしたらその人が優しい人だからそう思ったのかも知れないなぁ。
ポニョ子:えー、逆でしょ?何言ってくれちゃってるのよこのヘンタイ猫。
どらねこ:優しくないな−。ええとぉ、またたとえ話になっちゃうんだけどいいかな。

【かわいそうな物語】
あるところにおじいさんがいました。
おじいさんが街をあるくと石をぶつけられます。
このくそじじいと罵られます。
おじいさんは生まれたときから村人全員から嫌われております。
ある日、おじいさんは悲しみのあまりその命を絶ってしまいました。

ポニョ子:なにこの救いのない話。あんまりじゃない?どらちゃん、こんな話考えて貴方には人の心があるの?
どらねこ:いや、猫だし。現実じゃ無いから別に平気だよ。でも、さっきの心優しい人だったらこれを読んでどう思うかな?
ポニョ子:哀しくて泣いちゃうかも。こんなの良くないと村人に憤るかも。
どらねこ:そうかもね。でも、ここまで極端で無くても世の中には理不尽な話はゴマンとあるから、そうした理不尽にいつも涙をしなくちゃいけなくなるよね。でも、それじゃ身体が持たないんじゃ無いかな。いつも哀しい現実に胸を痛め続けては割に合わないから、次のように考える傾向があるんだ。

その人がヒドイ目にあっているのにもきっと理由があるのだろう。いや、何も理由が無いのにそんな酷い目にあって良いはずが無い。世の中は公正にできているはずじゃないか。ほら、努力は報われるって子どもの頃に教わったよね。アリとキリギリスだって冬に報われたのはアリさんだもの・・・

ポニョ子:ううん・・・ちょっと受け止めきれないわぁ。
どらねこ:ボクみたいな情けの無い猫はともかく、心優しい人でも気がつかないまま差別的な言説に荷担してしまうのはこんな心的傾向があるためかもしれないね。
ポニョ子:努力は報われるものだという幻想って案外罪作りなのね。
どらねこ:問題が起こっているのは本人にも問題があるに違いない・・・そんな風に考えてしまう傾向を自分を持つと謂う事をたまに思い出すくらいでも良いんじゃ無いかな、とボクは思っているけどね。せっかく偶然比較的差別の酷くない時代に生まれたんだからお互いを縛り合うよりはお互いを信じた方が良いよね。
ポニョ子:それについては同感だわね。一人では弱いのが人間なんだから助け合ってナンボの世界よね。

*1:日本駐留米軍の意味