消費者というゾンビ/抑圧された労働者の回帰

">最近のウチラの国の選挙で起こっていることを見ると、誰もがアメリカのトランプ現象を想起するだろう。SNSでのデタラメでいい加減なアピールが旧来のメディア情報を圧倒する様がそう見えるわけだが、個人的にはこれは単なるブーム(タピオカミルクティーみ…

いまだに牛角の何が男性差別なのかわからないオレ

例の牛角の女性半額キャンペーンに関して、以下の記事が面白かった。特にアレは差別ではないとする勢力の繰り出す理屈ダメさ加減を的確に列挙している点と、それが実際のところ差別であるかどうかについては何も語っていない腰の引け具合もいいw gendai.medi…

「ヒルビリー・エレジー」について

アメリカ共和党は副大統領候補にJ・D・ヴァンスを選んでいる。彼はアメリカ中西部ラストベルトの白人貧困層出身で、エリート階層にまで独力で上り詰めた男だ。トランプ前大統領の支持層にとっては理想的といっていいキャラクターで、だからこそトランプに気…

映画「悪は存在しない」2023年/悪ではないなにか

前日以来ほどんど寝ておらず、かなりコンディションの悪い状態で「悪は存在しない」を見た。さほどエキサイティングな映画ではないが、それでも実際に見てみれば面白く、なかなかに良い映画だと思った。もっとも果たしてヴェネツィアで賞を獲るほどのものか…

VARというオカルト/カタールGKの退場について

先日U23アジアカップで日本が優勝し、パリ五輪出場が決まっている。いろいろ戦前の予想より苦戦した大会だと思うが、まあ良かった。(韓国戦を見終えた後は五輪出場をマジ危ぶんだぞ。。) 個人的には昭和からの古いサカオタだが、正直かつてほど「日本代表…

映画「スケアクロウ」1973/虹の向こうのどこか

先日調布で映画「スケアクロウ」を見た。スキマ時間に見たものだが、面白かった。つか過去、自分が10代とかの頃に観た記憶があるようなないような。。要するにすっかり内容を忘れており(というより内容を理解できなかったのだろうと思う)、事実上初見であ…

ガザの怪物/民主主義の悪魔

我々はついこの間まで、何故ああも「民主主義」を信じてきたのだろうか? 実際のところ大した根拠も無くだ。よく思い出してみれば、歴史的には民主国家だって随分なことをやってきているし、それを我々は知っていたはずだ。(最近、キッシンジャーの名が思い…

映画「われに撃つ用意あり」1990年 /忘れる前に忘れていた事

もう数ヶ月前になるが、若松孝二の「われに撃つ用意あり」(1990年)を見た。バブルの頃の新宿が舞台で、個人的にも懐かしい風景が映っている。単に懐かしいというより、自分の若い頃、上京した当時のいろいろ楽しかった記憶と結びついているのだ(若い頃とい…

映画「バニシング・ポイント」1972年 / 罪が消えてなくなる場所

ちょっと前、池袋で「バニシング・ポイント」を見た。文芸座だったが、客席は9割方埋まっており、ちょっとびっくりした。これがそんなに動員力のある作品と思っていなかった。この作品は一連の「アメリカンニューシネマ」のひとつだが、有名な俳優が出ていな…

小津の映画で見たような日

ちょっと前の事になるが、妹ちゃんの高校の卒業式があり、嫁と一緒に行ってきた。この時までには妹ちゃんの受験はすべて結果も出ており、結局志望校には受からず、滑り止めに行くことになっている。そのせいか本人はやさぐれておりw、そんなに上機嫌という訳…

ポエムの中の女戦士

先日、漫画家の松本零士が亡くなった。 個人的には「ガンダム」世代なので、彼はちょっと上の世代の漫画家である。ただ彼の作品に一時期親しんでおり、いくつか思い出したことと、ある時期以降考えなくなったことの続きを書いてみる。 小学生の時に友達に彼…

Ditto

ウチの妹ちゃんが今まさに大学受験の真っ最中である。今の高校三年生ということは、中学卒業/高校入学の頃にコロナ禍が始まっており、まともな高校生活を遅れなかった学年だ。 勉強に限らず、楽しいはずの学校のイベントのことごとくが中止/縮小となっており…

映画「ブンミおじさんの森」2010年 / 政治的に忘れられた人々

時間が空いたので北千住で観た。2010年のタイ映画で、その年のパルムドールでもある。見る人を選ぶ作品ではあると思うが、個人的に非常におもしろかったので以下感想。ただしラストシーンにまで言及する、「解題」に近いものになる。 ブンミおじさんの森(字…

文系からみたモンティ・ホール問題 / 歴史なる詐術

先日渋谷で観たゴダールの「女と男のいる舗道」の感想でも書こうとしたのだが、全然まとまらないのでw 一部界隈で話題になったモンティ・ホール問題について書く。 これが発端だと思う。 cruel.hatenablog.com これは山形の言う通りだろう。たとえそこに至る…

映画「ベイビーブローカー」/子どものいない親たち

是枝監督の韓国映画「ベイビーブローカー」を見てきた。評判通りのよい作品。長いが、個人的には全く長さを感じなかった。 主演のソン・ガンホはこれでカンヌの主演男優賞を獲っている。よい演技だったが、もっとも彼はいつも素晴らしく、この作品だけが特別…

カルトと信教の自由戦士

安倍元首相が襲撃されて約1ヶ月になる。いろいろと展開していてなかなかに騒がしいwただ事件そのものに関して個人的に印象深いのは、容疑者の動機があくまで旧統一教会への恨みで、安倍元首相が狙われる直接的な動機が無いということだ。 本人の供述的にも…

映画「犯された白衣」1967 /非モテとテロル

半端に時間が余ったので映画でも見ようと思ったのだが、どうしてもシンウルトラマンを見る気にならず逡巡してるうちに時間が押し、結局ウルトラマンを見れなくなった。今からでも見れるのは、、、と探すと渋谷で若松孝二をやってるじゃんか。 「犯された白衣…

映画「牛久」/見たくないから見ないものを見た

日本の「出入国在留管理局」(入管)の問題については、メディアにしばしば取り上げられている。最近では、ウィシュマさんというスリランカ人女性の遺族が入管での非人道的扱いについての裁判を起こしている。入管に収容中、彼女は深刻な体調不良を何度訴え…

民主主義が勝利した世界線

アメリカの911同時多発テロが起こってからしばらく後、知人のアメリカ人がボソっとこんなことを言った。 「アメリカが世界中からこんなに嫌われているなんて知らなかった」 当時すでにインターネットもアルジャジーラも存在している。3大ネットワークとCNN…

深夜のファミレスで東大生に1年前の受験のダメ出しされた話

ウチには現在大学1年の兄(とJKの妹)がいる。今1年ということは、要するに入学時すでにコロナ禍で、まともな大学生活を遅れていない年代である。 その兄に東大生の幼なじみがいる。保育園から一緒で、小学生まではかなり仲のよい友達だった。卒業後、東大…

「怒りの日」/フェミニズムと世界の終わり

年末年始にかけて時間があったので、イメージフォーラムでカール・ドライヤーの作品をいくつか見た。何が驚いたって、このコロナの令和にドライヤーの作品で結構な人が入っているということ。こういうところは流石に東京だよねと、もう上京して何十年も経つ…

「クレールの膝」/それってオイラを誘ってるんじゃないの?

昔から映画が好きで、比較的幅広く観ていた方だとは思うが、それでも妙に縁の無い作品はある。いや映画好き公言するならそれは観てるだろ普通、というような作品/監督をゴッソリ落としてたりする。 自分的には例えばエリック・ロメールがそうで、興味がなか…

ナショナリズムとサッカーとその結び付きの凡庸さ

セルフまとめはイタい事が多いが、これは良いまとめ。少なくともまとめ主(id:murishinai)の主張が非常によくわかる形で説得的にまとめられている。(これ、もう一週間ほど前の話なのね) サッカーにおけるナショナリズムと“日本代表の敗北を喜ぶこと”の是非…

クリミアにおける19世紀と21世紀(の悪魔合体)

ウクライナでのゴタゴタにロシア(以下プーチン)が首を突っ込んでいる。 特にプーチンがウクライナのクリミア地域における「ロシア系住民の安全」のためと称して、同地にロシア軍を展開・駐留させるというやり方には、多くの人がヒトラーを想起したとしても…

社会学者としての上野千鶴子の絶望

上野千鶴子がこんなことを言ってる。「女子力を磨くより、稼ぐ力を身に付けなさい!」上野千鶴子さんが描く、働く女の未来予想図 - Woman type[ウーマンタイプ]|女の転職typeある意味この人らしい物言いだと言っていい。ブコメを見ると、特に以下のような部…

掛け算の交換法則と低い次元の人のものの見え方

数年おきに出てくるこの問題が、一部でまた再燃している、というよりずっと消えていないのだろう。 「掛算順序固定」問題 - Togetter かけ算の順序にこだわる教師と出版社の皆様へ すでにこんな優れたw 分類まで出ており、、、ちなみに本項は肯定派-教育論派…

被曝者を「3本腕の怪物」と見ている人について

例の、フランスの週刊誌の風刺画に対して日本政府として抗議するということらしい。 仏週刊紙が五輪と原発問題絡めた風刺画、日本政府は抗議へ フランスでは去年、福島の原子力災害と絡めてサッカー日本代表のGK川島を4本腕にしている。今度は3本腕の力士…

貧困のイメージの貧困

自分の、あまり身近にない事柄についての思い込みについて、そのイメージの源泉は何なのかというのが最近気になっている。 たまたま産経にこんな記事が出ていたので、自分でもまとめ切れていないがちょっと書く。 【視線】慰安婦、つかこうへい氏の見方「歴…

つか性欲とか言えばなんでも通るだろみたいなのやめてくんない?

最近話題の件。まあ深く関連しないけどちょっとしたポイントなので書く。 この手の話の場合に、特にこれを擁護したい側から決まり文句のように出る以下のような発言・認識がある。 戦時中の旧日本軍の慰安婦についても「意に反して慰安婦になった方は気の毒…

なまあたたかいジャパン

個人的に日本の役人・官僚は結構優秀だと思っているので、産経省あたりがクールジャパンとか言い出してるがそんなに変なことにはならないだろうと思っている。秋元とか目立つのを集めてるが、所詮そんなもの「バカ共にはちょうどいい目くらましだ」みたいに…