野比玉子
のびたまこ
「なに言ってるの?ドラちゃんだってあたしの子どもよ」
CV:小原乃梨子(日本テレビ版)→千々松幸子(テレビ朝日版第1期)→三石琴乃(テレビ朝日版第2期)
※小原は後にテレビ朝日版第1期でのび太を演じている。
CV(少女時代):川上とも子(テレビ朝日版第1期・2000年3月3日放送)→三石琴乃(テレビ朝日版第2期)
専業主婦であるため夫ののび助よりも登場回数が多い。
なお、家族からは基本的に「ママ」、のび助からは「きみ」とも呼ばれ、周りからものび太のママ・奥さんなどと呼ばれている為作中で「玉子」と呼ばれる機会はあまりない。
年齢はエピソードによって36才だったり38才だったりする(『ドラえもん』は学年誌連載なので、掲載誌によってのび太の年齢が異なるため)。昔は戦前生まれ、現在は戦後生まれという設定になっている。
のび太の事は「のびちゃん」または「のび太」、ドラえもんのことは「ドラちゃん」と呼んでいる。
現在ではTVアニメの影響もあり「のび太のことをガミガミと叱りつける、口やかましいお母さん」というイメージが定着している。一応原作漫画の連載開始当初は「のび太をぜったいにしからない」と紹介されるほど甘く、おっとりしているが母性愛溢れるキャラクターとして描かれていた。
しかし連載が進むにつれ、のび太の母親として叱りつけたり、ひみつ道具を取り上げたりするなど、昭和時代では当たり前であった厳しい教育ママ的なキャラクターへと変化していった。
原作者のセレクションであるてんとう虫コミックスは「口うるさいお母さん」のイメージが定着してから刊行されたものなため、連載初期の甘い玉子の姿は極力カットされている。
現在において、最初期の玉子の姿が一番簡単に見られるのはてんとう虫コミックス第1巻である。その第1話となる「未来の国からはるばると」は連載最初期の雰囲気が色濃く残ったまま収録されており、ドラえもんに破滅の未来(笑)を見せられ激怒したのび太に向け「そんなに想像力豊かなら将来は漫画家になれるわね」となだめているシーンなど、現在の一般的に知られている自分の価値観、考えから外れたものは排除し認めようとしない(例えば、成長したのび太がおばあちゃんを一目見たいと過去に来た際、自分が未来ののび太だと説明したら「頭がおかしいのね」と切り捨てるなど。この辺りは説明したらちゃんと信じてくれたのび助側の祖母、祖父とは正反対の対応である)ヒステリーな性格の「のび太のママ」のイメージとはかけ離れたキャラクター像が拝める。
悪い面も多数(現代の価値観からすれば確実にズレている、あるいは犯罪扱いされる場合もあるが、連載開始は1969年12月(昭和44年)で、よく知られるテレビ朝日版アニメも1979年(昭和54年)放送開始で、いずれも昭和時代であることに留意されたい。)あるが、夫ののび助同様にのび太のことを大切に思っており、のび太にひどいこと言ってしまった際には、「ちょっと言いすぎた」と反省したり(「ぼくの生まれた日」など)、のび太が「タマシイム・マシン」を使用して肉体が仮死状態になった際は泣きながら心配したり、テストの点数がよかったりすると誉める一応は厳しいだけではなく息子に対する愛情も確かに持ち合わせている母親である。
のび助が夢に自分の父親が出て来たのをきっかけに急にのび太に厳しくなった話ではやりすぎだと指摘する事もあった。
また、のび太に対して厳しくなってからも、テストが100点満点中の30点でも褒めていた場面がある。のび太の0点のテストばかり見ているせいで、30点でもかなり良い点数に見えてしまっているのかも知れないが…。
ちなみにのび太が偶然100点を取った際には額縁に入れて飾ろうとするレベルに喜んでいた。
また「ハチにたのめば何とかなるさ」の話では自分がのび太に頼んだ手伝いを完遂したと認識したときには感激し1000円もお小遣いを渡した(実際はのび太の不運続きを哀れんだドラえもんのひみつ道具でジャイアンとスネ夫が代わりにやる展開だったため、渡されたのび太は驚いていた)。
アニメ「母の日はおおせのママに」の回ではひみつ道具のおかげで母の日に出掛けることが出来たのを喜びドラえもんとのび太とのび助に高めのプレゼントを買うなど初期の甘い親設定の残り火を感じさせる。
前述した厳しさものび太が(のび助に対してもだが)言うことを素直に聞かなかったり(「無人島へ家出」など)、やる気が見えないことが要因であるため、のび太自身も普段の態度自体は悪くても母親として大切に思っている。またのび太自体が玉子本人に面と向かって反抗できる関係も築けている。
ただし近年のわさドラ版では現代の世相に配慮したのか、特にのび太への長時間の説教は無くなっている。
ドラえもんに対してはペットとして扱っている回もあるが現在では家族同然に扱うことがポピュラーになった(記事冒頭のセリフは映画「のび太とロボット王国」のラストで「いいなあ、みんなママがいて…」と呟くドラえもんに対して発したもの)。
のび太ほどではないがドラえもんに頼る時があり、ひみつ道具も物語初期にはやったらめったら捨てたりしていたが、連載終盤にもなると「架空人物たまご」で召喚した孫悟空をお使いに行かせシンデレラを「王子様と会わせる」と称して一緒に家事をやるなど、のび太とは一味違った使い方を実践している。
作中ではひみつ道具を勝手に触ったり使ってしまい彼女自身やドラえもん達が被害を被ることがあるが、逆に玉子の行動がきっかけで助かった(事態の重要性に気がつかされた)こともある。
このことから、のび太の卓越したひみつ道具の応用力は母・玉子からの遺伝である可能性が高く、前述の「悪いところばかり似た」だけでなく、良いところも母から受け継いでいるとも言える。
大長編「のび太とアニマル惑星」では、裏山のゴルフ場建設への反対運動のため、のび太の机を使って環境関連の資料を多々引っ張ってきて猛勉強している姿も見受けられ、この興味を持ったら集中するスタイルは息子にも受け継がれている(ちなみにこの映画では彼女の作ったある物がなければ完全に詰んでいた)。
捨て魔な面もあり、勉強をしないのび太への罰として漫画を全部捨てたりすることが多く、のび太(とドラえもん)が部屋にいないとその場に置いてあったひみつ道具を勝手に捨ててしまうことがあり、特に大長編の『のび太の魔界大冒険』では魔法が使える世界にしていたもしもボックスを勝手に捨てたことで元の世界に戻ることが出来なくなってしまった。また、『のび太のドラビアンナイト』では、絵本入り込み靴で絵本の中にしずかが入ったままなのを知らなかったとはいえ、勝手にしずかが入っていた絵本を燃やすと言う暴挙に及んでおり、これにはのび太も大泣きしていた(ただし、この時はそのきっかけを作ってしまったジャイアンとスネ夫にも原因がある)。
夫・のび助とはOL時代に結婚する。出会いは学生時代。金持ちの娘との結婚を断りに行った帰りののび助とぶつかり、玉子が落とした定期をのび助が拾ったのが馴れ初め。
のび太が大人になった後の事は(物語の都合上)描かれていないが息子の結婚前夜ならびに結婚当日の様子では健在である。
生け花や歌が得意な模様(「ぼくの生まれた日」でののび助の台詞によれば学業面も優秀だったようだが、あまり成績がよくなかった描写も存在する。やはりのび太同様にポテンシャルを秘めてはいるものの状況によって成績が変動しやすいタイプなのだろうか)。
旅行・ビール・煙草は苦手…というより「これのどこが美味しいのかしら」とビールに対しては言っていることから嫌いの範疇かもしれない
ちなみにビール以外のお酒であれば飲めるようだが酒癖が悪く、たった2杯で泥酔し、悪酔いした挙句屋根に上って盆踊りしたことすらある。
そして玉子の最大の欠点たる動物嫌いがある。作中で子犬や猫などをのび太が拾ってきても飼うのを許さず、捨ててくるように促す、というか鳴き声が聞こえたと感じただけで鬼の形相でのび太を叱りつけようと部屋に乗りこもうとしたり、猫を見ただけで絶叫したこともある。他、のび太がひみつ道具で呼んだ宇宙人を拾ってきたペットと勘違いして箒でぶちのめしていたあたり恐らく苦手だと思われる。仮に動物だったとしたらこれに関しては立派な動物虐待の犯罪であるため(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)、読者や視聴者から非情だという声も多い。
ドラえもん・ドラミ兄妹の苦手とするネズミとゴキブリはどちらも彼ら以上に大の苦手だが、『ネズミとばくだん』ではドラえもんの発狂的豹変をのび太と共に目のあたりにしたため本当にネズミを退治しないといけなくなり、玉子も「怖がってばかりはいられないわね。」と述べるほどだった。
結果的に野比家では亀やカブトムシ、金魚など縁日でも買えるような小動物しか飼っていた描写が無い(のび太がひみつ道具を使って無断で飼っていた動物は数知れないが)。
こうした動物嫌いは本人が動物の可愛さを知らないからだとされる。実際、「ネコののび太、いりませんか?」では、最初こそのび太が拾った黒猫を追い出そうと躍起になっていたが、アイロンをかけっぱなしにして危うく火事になりかけたところをその黒猫が鳴いて知らせてくれたお陰で火事にならずに済んだのと、偶々家を訪ねたのび助の上司の奥さんが可愛いと褒めたのを機に黒猫のことを可愛く思えるようになり、早速餌を買いに行ったが、帰ってきた時にはのび太が飼い主を見つけて返した後であり、ショックで寝込んでしまい、仕方なくのび太がドラえもんの道具で黒猫に変身する羽目になった。
また『のび太の恐竜』ではドラえもんとのび太が一方的にバレると不味いと思い込んで首長竜を隠すような描写もある。
一応人(夫の上司)からの預かり物であるハムスターは可愛がっていたり、大山版ドラえもんではのび太が動物を保護して治療していたのに気付いていながら黙認するなど分別は弁えるほか、『大魔境』では自分が野比家の全財産を入れたハンドバッグを落としたのを、のび太が拾った犬・ペコによって見つけた恩から、一時ペコを野比家で保護するのを許可する一面もあった。他にもわさドラ版のら犬「イチ」の国では、原作と大山版ドラえもんでは怒鳴りつけて捨てるように言っていたのとは対照的に、捨ててくるよう言ってはいたものの、のび太の気持ちを汲んでいたのかどこか非情になりきれず言い辛そうな様子を見せていた。
顔はびっくりするくらいのび太にソックリ(水田わさび版ではドラえもんが「君たちほどよく似ている親子がこの世にいるもんか」)だが、平成版アニメに登場した若い頃の姿では、眼鏡をはずした素顔はかなりの美人として描写されている。ただ「めんくいカメラ」のエピソードでは美容室に行ってきたばかりだから一枚お願いとのび太に言ったところ「(めんくいカメラは一定以上の美形でないと顔が映らない写真を撮るカメラなので)僕にはできません、そんな残酷なこと」と返されている。
スリーサイズはバスト85、ウエストは不明、ヒップが92というナイスバディの持ち主。太っている時でも58キロらしい。
玉夫という弟が居て、姉弟のためか玉子は当然として玉子の息子であるのび太にも似ている。
また、玉子の母は健在。(のび太が実際に会った描写こそないが、母方の実家なので会ったことはあると思われる。原作でも、のび太はタイムマシンで若い頃の祖母と対面している)
それ以外にも兄がいるもよう。(原作では明記がなくアニメにて判明)
旧姓は片岡であるため結婚前は片岡玉子という氏名だったわけだが、画家の片岡球子とは無関係。のび助が若い頃、画家を目指していたためそういうネーミングとも連想してしまうかもしれないが、実際は作者が国語辞典を適当に開いて目に入った「片」の字から姓を考えたのである。
毒親…原作は昭和が舞台であり、令和の現在はマイルドになってきていることや息子に非がある事もあるので注意が必要。
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