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明智小五郎

あけちこごろう

江戸川乱歩作品に登場する探偵。
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概要編集

江戸川乱歩が創作した探偵日本史上初の名探偵であり、後続する日本のミステリー作品に多大な影響を与えている。

1925年発表の『D坂の殺人事件』で初登場。乱歩自身は単発の登場人物と考えていたが、周囲の評判が良かった為、続く『心理試験』や『屋根裏の散歩者』などに登場した。物的証拠より心理的証拠を重視する傾向が強い。

元担当編集者でありライバルでもあった横溝正史金田一耕助、戦後派五人男として目をかけていた弟子の高木彬光神津恭介と合わせ、日本三大名探偵と称される。



イメージの変遷編集

明智小五郎は、探偵ものと呼ばれるジャンルの探偵の中ではかなりイメージに変遷がある。

これはシャーロック・ホームズをはじめとする数多くの有名な探偵キャラの中ではかなり珍しい特徴である。

これは最初乱歩が本格を志しながらも、実際には変格ものを多く手掛けた初出の頃と、推理よりスリルに重きを置いた通俗長編を書いた時期、そして少年探偵団など児童へ向けて書くようになった最終段階とで必要な役割が異なったためである。


初期のイメージ編集

初登場作品となる『D坂の殺人』をはじめとして、『心理試験』や『屋根裏の散歩者』の頃のイメージでは、服装や居室の整理に気を配らない貧書生風の奇人として描かれており、後に横溝正史が創作した金田一耕助のイメージに近い。


この頃の明智小五郎の最大の特徴として、犯人と明智小五郎の関係性が非常に近いというのが挙げられる。具体的には、『屋根裏の散歩者』では明智小五郎は犯人に大きな影響を与える人物として登場しており、恰も彼が犯罪に手を染めることになった遠因でもあるかのように描写されている。

また一貫して、物的証拠や科学捜査よりも、徹底して論理的な思考の元、犯人を心理戦で追い詰めて罪を認めさせるやり方を好むところも、なかなかサディスティックな趣がある。

もちろん強い正義感はあるが、是が非でも司法によって捌くことを良しとしない。犯人があまりに残虐・極悪非道な場合、どんな悲惨な末路を迎えようとも一向に気にする様子がない。同じ探偵でも、金田一があくまで独特なヒューマニズムから、救われない犯人を見逃すのに対し、「悪は悪」と冷静に割り切っているようだ。

この、単なる正義の味方ではなく、一種の悪魔めいた明智小五郎の姿に魅力を見出す者も少なくはない。


後期のイメージ編集

乱歩が通俗長編を書くようになると、明智小五郎も現実離れした活劇調のスーパーヒーローと化していく。容姿は美麗に、服装も紳士然としたものとなり、近代的なアパートに自宅兼事務所を構えるようになる。

『吸血鬼』では『魔術師』で出会った女性と結婚し、小林少年を助手としている。犯人も超人化がエスカレートして、外国の有名な某怪盗や、文字通り半獣半人の怪物(人間豹)とも対決した。

中でも有名な好敵手が怪人二十面相である。少年探偵団シリーズでは、怪人二十面相達に立ち向かう小林少年と少年探偵団を助ける頼もしい名探偵、終盤に姿を現わして怪人達を一網打尽にする一種のデウス・エクス・マキナ的存在となった。


能力編集

超人的な活躍・技能には事欠かず、文武両道で、頭脳労働のみならず格闘戦も得意とする。

というか不得手なことが存在しない。かの有名なシャーロック・ホームズも、天文学や文学はまったく未知の領域で、あろうことか地球の公転すら知らないというウィークポイントがあったのにもかかわらず、彼には知識の偏りもなければ、身体に不備もなく、如才なく人付き合いできるばかりか、女性や子どもからの受けもよい。黒蜥蜴など、ミステリアスな美女と渡り合うイメージから、後の映像作品・舞台などでは殊更にロマンスを強調される傾向があるほど。

手先も非常に器用で「はっはっは、弾は抜いておいたよ」と、拳銃の弾をあらかじめ抜いておいて、進退窮まった犯人を笑うという展開は最早お約束である。

しかもスーツのみならず、支那服を着こなすなどのコスプレも好み、偽名も正体をほぼ隠す気がない「赤井」を名乗るなど茶目っ気も大いにある。最早ケレン味の塊である。


このキャラクター造形のため、作品の時代背景が古くとも、いかようにでもブラッシュアップ可能なのが強みである。


交友関係編集

事件での活躍が鳴り響いているため彼を知る者は非常に多い。

警察関係者は当然彼を頼みにしており、権力者や有識者も一目置いている。

しかしなんといっても交流の描写が多く、読者のイメージが強い少年探偵団との絡みは際立っている。特に助手に据えている小林少年こと小林芳雄とは強い絆で結ばれており、精々中学生程度の年齢にもかかわらず、手ずから自動車の運転や銃撃を教え込むなど、色々超法規的な指導をしている。

扱いやすさと作者の趣味ゆえに小林少年はシリーズを通して明智の助手として非常に優遇されており、途中で舞台から退場する文代夫人より余程女房役を務めている。


敵としては多くの怪人が挙げられるが、中でも怪人二十面相と、黒蜥蜴は際立ってクローズアップされることが多い。


主な派生作品編集

映画・ドラマ・舞台化が多数ある。前述した「金田一耕助との類似」に関して、芦辺拓パスティーシュ小説『明智小五郎対金田一耕助』があり、『金田一耕助VS明智小五郎』としてTVドラマ化もされた。ちなみに、乱歩・横溝両者の遺族・関係者に公認されている。

 名探偵の代名詞にもなっているため、パロディ・オマージュ・ネタも無数にある。pixiv百科事典の記事では、『探偵オペラミルキィホームズ』(明智小衣小林オペラ)、サクラ大戦物語明智小次郎)、『ペルソナ5』(明智吾郎)が確認できた。

 その他、江戸川乱歩怪人二十面相黒蜥蜴の項も参照。


外部リンク編集

明智探偵事務所

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