財務諸表とは、簿記において作成する各種表のことである。
財務諸表には、基本的なものには以下の4つがある。
これらに付随して注記などがつくことがあるが、基本的には上記4つからなる。なお、昔は株主資本等変動計算書の代わりに利益剰余金計算書というものを作っていたが、2005年に変更になっている。
いずれの財務諸表も、単一性の原則により、同じ会計帳簿から作成される。ただし、同じ取引を記述する場合でも、事業者によって処理が異なることがあるが、適正な会計慣習に従う限り、同じ事業者の中で一貫していれば問題はないと考える(例えば商品の処理であれば分記法・三分法・売上原価対立法・総記法の4種類があるが、それのうちどれを採用するかは各会社にゆだねられる。ただし、一度その方法と決めたら、その方法が適正である限りずっとその方法をとり続ける必要がある。何らかの原因で方法を切り替える必要が出た場合、一番最初に遡ってすべての処理を修正する必要がある)。
では、単一性の原則に従い、実際にある期の会計からこれら4つの表を作成していこう。
ある会社の会計年度は1月1日から始まり12月31日に終わる。また、この会社は1年1月1日に設立された。この会社は普通預金に100万円の払い込みを受けて設立された。そのうち半分を資本金として、残り半分を資本準備金とした。この時の仕訳は以下の通りである。
借方 | 貸方 |
---|---|
普通預金 1,000,000 | 資本金 500,000 |
資本準備金 500,000 |
その日のうちに、税抜15万円のパソコンを2台、税抜5万円のレジを2台購入した(まあ実際には少額固定資産の特例があるため、その年のうちならいつ購入しても同じなのだが)。この場合、以下のような仕訳を行う(消費税率は10%、税抜経理を採用するものとする)。
借方 | 貸方 |
---|---|
備品 300,000 | 普通預金 440,000 |
消耗品費 100,000 | |
仮払消費税 40,000 |
その後、1月4日、商品を税抜30万円仕入れを行った。この時の仕訳は以下の通りである(その商品の消費税率は10%、商品売買の処理は三分法を用いているものとする)。
借方 | 貸方 |
---|---|
仕入 300,000 | 普通預金 330,000 |
仮払消費税 30,000 |
1月5日、実際に店をオープンし、売上が20万円(税抜)あった。この時の仕訳は以下の通りである。
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 220,000 | 売上 200,000 |
仮受消費税 20,000 |
このように進めていった結果、年度末(つまり1年12月31日)時点で以下で各勘定の状況が以下のようになったとする。
借方 | 項目 | 貸方 |
---|---|---|
1,200,000 | 現金 | |
715,440 | 普通預金 | |
300,000 | 固定資産 | |
売上 | 9,203,800 | |
5,000,000 | 仕入 | |
150,000 | 消耗品費 | |
200,000 | 営業費 | |
2,400,000 | 給与 | |
352,800 | 法定福利費 | |
受取利息 | 60 | |
1,000 | 支払利息 | |
565,000 | 仮払消費税 | |
仮受消費税 | 680,380 | |
資本金 | 500,000 | |
資本準備金 | 500,000 |
その後、年度末の仕訳を行う。商品の棚卸を行い、現在、在庫が5万円(税抜)あった場合、もろもろの仕訳を行うと以下の通りとなる(減価償却は間接法を用いるものとする)。
借方 | 貸方 |
---|---|
繰越商品 50,000 | 仕入 50,000 |
減価償却費 100,000 | 減価償却累計額 100,000 |
ここまでの段階で、損益計算書を作る。なお、減価償却費はレジに紐づくものなので販売費および一般管理費として処理する。
項目 | 金額 |
---|---|
売上 | 9,203,800 |
売上原価 | 4,950,000 |
売上総利益 | 4,253,800 |
販売費および一般管理費 | 3,202,800 |
営業利益 | 1,051,000 |
営業外利益 | 60 |
営業外費用 | 1,000 |
経常利益 | 1,050,060 |
特別利益 | 0 |
特別損失 | 0 |
税引前当期純利益 | 1,050,060 |
法人税等 | 388,942 |
当期純利益 | 661,118 |
一方、これに伴う仕訳は以下の通りとなる。
借方 | 貸方 |
---|---|
損益 4,950,000 | 仕入 4,950,000 |
損益 150,000 | 消耗品費 150,000 |
損益 200,000 | 営業費 200,000 |
損益 2,400,000 | 給与 2,400,000 |
損益 352,800 | 法定福利費 352,800 |
損益 1,000 | 支払利息 1,000 |
損益 100,000 | 減価償却費 100,000 |
売上 9,203,800 | 損益 9,203,800 |
受取利息 60 | 損益 60 |
損益 388,942 | 未払法人税等 388,942 |
損益 661,118 | 利益剰余金 661,118 |
借方 | 貸方 |
---|---|
仮受消費税 680,380 | 仮払消費税 565,000 |
未払消費税 115,380 |
この結果、期末における貸借対照表は以下の通りとなる。
流動資産 | |
---|---|
現金 | 1,200,000 |
普通預金 | 715,440 |
繰越商品 | 50,000 |
流動資産合計 | 1,965,440 |
固定資産 | |
備品 | 300,000 |
減価償却累計額 | -100,000 |
固定資産合計 | 200,000 |
資産合計 | 2,165,440 |
流動負債 | |
---|---|
未払法人税等 | 388,942 |
未払消費税 | 115,380 |
流動負債合計 | 504,322 |
固定負債 | |
なし | |
負債合計 | 504,322 |
株主資本 | |
---|---|
資本金 | 500,000 |
資本準備金 | 500,000 |
利益剰余金 | 661,118 |
純資産合計 | 1,661,118 |
負債純資産合計 | 2,165,440 |
その後、キャッシュフロー計算書を作成する。今回は間接法を用いることとする(どこか額面怪しいかも)。
項目 | 金額 |
---|---|
税引前当期純利益 | 1,050,060 |
減価償却費 | 100,000 |
受取利息 | -60 |
支払利息 | 1,000 |
棚卸資産 | -50,000 |
未払消費税 | 115,380 |
営業活動によるキャッシュフロー | 1,216,380 |
項目 | 金額 |
---|---|
有形固定資産の取得による支出 | -300,000 |
投資活動によるキャッシュフロー | -300,000 |
項目 | 金額 |
---|---|
受取利息 | 60 |
支払利息 | -1,000 |
財務活動によるキャッシュフロー | -940 |
最後に、株主資本等変動計算書を作成する。
資本金 | 資本準備金 | 利益剰余金 | |
---|---|---|---|
当期首残高 | 500,000 | 500,000 | 0 |
当期変動額 | |||
当期純利益 | 661,118 | ||
当期末残高 | 500,000 | 500,000 | 661,118 |
このように、すべての財務諸表は、単一の事実から作成される。
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最終更新:2024/12/23(月) 15:00
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