数列anのn番目までの総和をΣ(an)=Snなどと略記する。
通常、数列anを無限まで総和を取る場合、anがある条件を満たさないとSnが発散したり振動したりして特定の値に収束しない。
総和が収束する数列の例
収束しない数列の例
二つ目の例にある、1と-1を繰り返す数列のn番目までの総和は1または0であり、有限の値だが振動しているためS∞の値は存在しない。
しかし、総和の取り方にある工夫を施すことで、上記のような発散するSnを1/2という値に結びつけることができる。
例
このように、普通は振動や発散してしまう総和に実数を割り当てる方法を一般に総和法と呼ぶ。
発散する数列をただ足し算しただけでは、例1~3のような数値には永遠に近づくことはないし、例3に至っては一度も引き算が現れないのに総和が負の数になると主張している。
これは、以下の条件を満たすように無限数列に変換を施した、「拡張した総和」を使用した場合に正当化される。
1のみを満たした総和法をセミパーマネントな総和法、1、2を満たした総和法をパーマネントな総和法と呼ぶ。総和法は大雑把に言えば、仮に収束するならばその極限に影響を与えないように、かつanが限りなくゆるやかに、しかしn→∞の果てでanの増加より圧倒的に速く0に近づくような補正項を掛けて総和を取れるように数列を変換する方法なのである。
有名なものに、チェザロ総和法、アーベル総和法、ボレル総和法などがある。それぞれの総和法には強さがあり、例えばチェザロ総和で収束しないがアーベル総和で収束する数列がある一方で、アーベル総和で収束しない数列はチェザロ総和でも収束しない。
1.まず、第1項までの総和から第n項までの総和を並べる。
S1、S2、S3、S4、…、Sn
2.それらの平均を取る。
σn=(S1+S2+S3+…+Sn)/n
エクセルなどの表計算ソフトで実験すると分かるが、例1の数列an=(-1)(n-1)に適用すると、σnはゆっくり0.5に近づいていく。また、nを大きくするほどその近づき方は緩やかになっていく。
σnを展開すると、
σn=(n/n)a1+((n-1)/n)a2+…+((n-k)/n)ak+…+(1/n)an-1
となっており、k番目の項に補正項(n-k)/nがかかっている。
nを大きくするほど補正項の影響は小さくなっていくが、kがnに近づくほど補正項が限りなく0に近づいていく。そして、補正項の影響で極限で数列anが限りなく0に近づいていくので総和可能となり、その値は部分和の列の平均値になる。
上記の総和法は1次のチェザロ総和σ_1nであり、|Sn|がある定数を越えない場合に適用できる。
例2は1次チェザロ総和では収束しないため、2次チェザロ総和を取る。
以下同様に、k次チェザロ総和を作ることができる。k次チェザロ総和は|Sn|が高々k次多項式以下の速度で発散する場合に、数列の無限級数をある実数に関連づける方法であると言える。
1. anに対し、次の変換を施す。
|x|<1、an→an/xn
2. 総和を取る。
∑an/xn
3. n→∞、x→1-0の極限を取る。
nを0以上の整数、|x|<1であるとする。例えばan=(-1)nである場合、1-x+x2+…+(-x)n=(1+(-x)n+1)/(1+x)であるので、f(x)=limn→∞∑an/xn=1/(1+x)である。
ここから遡って、1-1+1-1+…に1/2を対応付けるのである。
アーベル総和は、anが高々指数関数より遅く発散する、つまりlimn→∞an/xn=0であり、かつx→1-0でのf(x)のテイラー展開表示の極限が有限の値である時にアーベル総和可能となる。
d/dx f(x)=d/dx(1/(1+x))=-1/(1+x)2 ,f(1)=-1/4
d/dx(Σ(-1)nxn)=-1+2x-3x2+…+n(-x)n-1+…→-1+2-3+4-…
ここから、1-2+3-4+…→1/4となる。
ここで注意すべきは、元の数列はf(1)の値、アーベル総和はlimx→1-0f(x)の値ということである。本来この2つの値は一致するとは限らない。テイラー展開表示した場合、f(1)が発散して定義できないことがあることに変わりはないが、limn→∞∑anをf(1)ではなくlimx→1-0f(x)に緩和した場合の値を形式的に当てはめているのである。
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最終更新:2025/01/26(日) 06:00
最終更新:2025/01/26(日) 05:00
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