テジャスとは、インドで開発中の国産戦闘機である。
名前の由来はサンスクリット語で「火」を意味し、「光り輝く」といった形容詞も含む。
そしてその名の通り絶賛炎上中である。
ダブルデルタ翼で、エンジンはF404の単発。最高速度マッハ1.6、戦闘行動半径300km。2020年3月にFOC(完全作戦能力)機が初飛行している。[1]
インドの国産戦闘機開発の歴史は以外に古く、1956年にはかのフォッケウルフ社の寵児、クルト・タンク博士を招聘して超音速ジェット機の開発を開始した。
1961年に初飛行したHF-24マルートはエンジンこそ貧弱であったがエリアルールやショックコーンといった当時最新の設計技術を盛り込み、同世代でより小型軽量かつ強力なエンジンを搭載したエジプト国産戦闘機のヘルワンHA 300(興味深いことにこちらの設計者はかのウィリー・メッサーシュミット)と最高速で同等のマッハ1,7という優れた機体設計であった。
結局インド空軍の主力戦闘機の座はソ連から輸入したMiG-21に譲ることになったものの、初めて開発したジェット戦闘機としてはまずまずの出来にインドは大いに満足した。
時は流れて1985年。インド国産機の嚆矢マルートが惜しまれつつ退役すると、今度はアメリカと協力して新型の軽量戦闘機を開発するLCA(Light Conbat Aircraft)計画を開始する。これはマルートが比較的大型の双発機だったことと、MiG-21の後継機とするための挑戦であったようだ。開発にはロッキード・マーチンにゼネラル・エレクトリック、さらにフランスのスネクマ社が参加する一大事業となった。
要求性能としては空対空はもちろん空対地、空対艦さらには電子戦も行えるマルチロールファイターであることが求められた。機体価格は2000~2500万ドルと安価に抑えることが目標にされた(F-16Cと同程度)。
機体は単発で無尾翼のクランクドデルタ翼(改良型ダブルデルタ翼)であり、フランスやインドが慣れ親しんだミラージュ系戦闘機に近いシルエットとなっている。
フライバイワイヤは4重と高度に自動化されており、グラスコックピット化に機体構造に複合材を多用し軽量化を実現。エンジンはテジャスと並行して開発していた国産エンジンであるGTX-35VSカヴェリエンジンを最終的に搭載する予定と非常に野心的なプロジェクトであった。
1993年の初飛行を目指していたが開発は難航し、開発費は当初の予定の56億ルピー(約107億円)の4倍以上の250億ルピー(約476億円)にまで跳ね上がった。マルートの時よりもはるかに大きな目標値に苦心しながらも、米仏の助けもあって確実に開発は進められていった。
しかし……
1998年 シャクティ作戦発動。インド、ラージャスターン州タール砂漠にて5回の核実験が行われる。
それから間もなく隣国であり最大の仮想敵国であるパキスタンも対抗して2回の核実験を実行(これは北朝鮮の代理核実験である疑いが濃厚である)。[2]
国連及びIAEA(国際原子力機関)は両国に非難声明を発表。しかし印パはそもそもNPT(核兵器不拡散条約)やCTBT(包括的核実験禁止条約)に批准はおろか署名すらしていない。
事態を重く見たアメリカ、欧州各国、日本はそれぞれ独自に印パへの経済制裁を開始。特にアメリカの経済制裁によってフライバイワイヤや各種主要コンポーネントの輸出が一切ストップされ、中でもカヴェリエンジンの開発を支援していたGE社の社員の強制帰国とスネクマ製のタービンブレードの輸出停止がテジャス開発への深刻な痛手となった。
四肢をもがれたも同然の状態で宙に浮かんだLCAであったが2001年、対テロ戦争の勃発でアフガニスタンに地理的に重要な位置にあるパキスタンがこれ幸いとアメリカを支持し、支援を表明(パキスタンは元々親米国家である)。その見返りとしてパキスタンはアメリカの経済制裁を解除され、それに合わせる形でインドへの経済制裁も解除された。
それにより開発がストップしていたカヴェリエンジンの代わりにGE F404エンジンを供与してもらい、それを試作機に搭載してようやく初飛行に成功する。
だが、そこにテジャス最大の問題が待ち構えていたのであった……
GTX-35VSカヴェリエンジンの開発元はインド防衛研究開発局(DRDO)である。察しのいい諸兄やアージュンの記事をご覧になった方はこの時点で何か嫌な予感を感じ取ったであろう。そしてそれは間違いじゃない。
このエンジン、テジャスと並行して開発していたくせに2017年現在でも完成はおろか、要求水準に到達すらしていないのだ
それでいながらGE社やスネクマ社の技術提供を拒んだり、各種派生型や無人機への搭載(完成してから言え)なんて色目を使っているんだから始末に終えない。さらに国内にエンジン試験用の設備が無いので試験には一々ロシアにまで持ち出す必要があるのだ。2010年にIl-76輸送機に懸架してようやく飛行試験を行った。マッハ0,6で飛行し、DRDO曰く「性能と状態はすばらしい。これによってカヴェリは主要な開発計画の到達点に達した」とのこと。(お、おう)
(で、実機搭載試験はいつになるんですかね?)
インド空軍とヒンドゥスタン航空機(HAL)は既に愛想を尽かしており、アメリカからGE F414エンジンの大量調達を決定。本格的な量産型であるテジャスMk.Ⅱへの搭載が決定した。これによりカヴェリ計画は見捨てられた形となった。(しかしDRDOは航空機搭載型は諦めたものの、艦艇用エンジンとして開発継続中だという…)
2014年、テジャスMk.Ⅰ(F404エンジン搭載型)がフル爆装での試験飛行に成功。制式化も遠くは無い…と思う。
2015年、インド空軍航空団「アテにならねぇ欠陥がざっと53ほどある」。
2016年、テジャスMk.Ⅰの部隊配備開始。ついに念願の制式化。
空軍「当初の予定より自重2トンも増えてるんでF414でも推力足りないっぽい。しかもBVRミサイルまだ使えないっぽい…」
DRDOはフランスのスネクマ社に技術協力を要請するなどして「カヴェリ」の開発を続けていたが、2013年に至って、遂に開発を中止することにした(正式な中止決定は2015年)。前後してアメリカGE社の「F414」エンジンを購入する取引が成立、このF414を搭載した機体が「テジャスMk.Ⅱ」となる。Mk.Ⅱの火器管制レーダーはイスラエル製のものが採用された。幸いアメリカの協力がうまくいき、テジャスMkは完成、2016年7月に最初の2機がインド空軍に引き渡されている。[3]
掲示板
40 ななしのよっしん
2023/10/19(木) 13:11:55 ID: LrHvVMFOg2
>>39
内容はどうなるか分からんが、パイロットの映し方はくそかっこええなw
41 ななしのよっしん
2024/11/26(火) 12:54:42 ID: vo4Y+D4NyC
>>37
何があるからわからんから国産化して技術蓄えるのはまあ合ってるんよ
最初にゴミが出てきたり時代遅れがひねり出されたりするのは通過儀礼みたいなもんだし
42 ななしのよっしん
2024/12/12(木) 23:13:45 ID: LdBhmaZZKZ
みんなボロカスに言ってるけれど、F-1だってだいぶ難産の機体だったんだし習作ってこういう通過儀礼を通って生まれてくるものでしょ
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最終更新:2024/12/24(火) 00:00
最終更新:2024/12/23(月) 23:00
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