ザ・ボスとは、メタルギアソリッドシリーズの登場人物である。声優は井上喜久子。
『流されてゆけ。私は留まるしかない。』
1922年生まれ。イギリス系アメリカ人の軍人女性。「特殊部隊の母」とも言われ、また単に「ボス」とも呼ばれる。
美しい容貌と、類稀な戦闘技術、知識、経験、直感、そして忠誠心を持ち合わせる。
第二次世界大戦中、連合軍に特殊部隊「コブラ部隊」を設立し、ノルマンディー上陸作戦などに参加した。連合軍側を勝利に導いた伝説の英雄とされる。
当時のコードネームは「ザ・ジョイ(無上の歓喜)」。同じ部隊に所属していた「ザ・ソロー(深淵なる悲哀)」とはパートナーである。
1951年、ネヴァダ砂漠の核実験において被曝し、白血病となる。
また同時期に、後のネイキッド・スネークとなるジョンが彼女に弟子入りし、共同で近接格闘術「CQC」を開発する。
しかし、1959年に極秘任務のために、突然ジョンの前から姿を消した。
1964年8月24日、米国特殊部隊「FOX」の初の実戦任務「バーチャスミッション」において、ソ連領内に単独潜入したネイキッド・スネークと、無線を介して再会する。
主に戦闘技術、サバイバル技術などについて、スネークことプレーヤーに様々なアドバイスを与えた。
本人は北極海のパーミット級原子力潜水艦から無線で作戦に参加していた。
……と思われていたが、作戦の終盤、ソコロフを無事奪還したスネークの目の前に突如としてその姿を現す。そしてかつてのコブラ部隊のメンバーと共にソコロフを拉致、そのままソ連に亡命する。
やむを得ずスネークと交戦した際に、彼女が頭に巻いていたバンダナを彼に奪われた。
以降、そのバンダナはスネークのものとなる。
ザ・ボスの亡命を受け入れたGRUのヴォルギン大佐とはただ一人対等に話ができる人物であり、ザ・ボスに詰め寄られて大佐がビビる描写もある。また、若く思慮の足りない行動をとることの多いオセロットに対しては、しばしば諭すような言動をとる。EVA(タチアナ)のことをスパイと見破っているが、同性の気安さからか親しくしている様子である。
コブラ部隊の同志にスネークを倒させようとするが、全員が返り討ちにされ、ヴォルギン大佐に若干不信感を抱かれることになった。スネークがグロズニィグラードで捕らえられた際、彼女の本心を試そうとする大佐にスネークの目を潰すように命じられた。(結局その役目はオセロットが果たすことになる。)
EVAがスパイであることが大佐にバレた際は、彼女の始末を志願したが、実際は彼女を助け、自身の重要な秘密を彼女に打ち明けて逃がしていた。
その後、ロコヴォイ・ビエレッグの花畑から、亡命の際持ち込んだ核兵器の残りでグロズニィグラードを核攻撃。シャゴホッドもろともを灰にする。そして師として、一人の戦士として、スネークとの最後の戦いに臨んだ。
激闘の末にスネークに破れ、愛銃「パトリオット」と『賢者の遺産』に関するマイクロフィルムを彼に託し、死を懇願する。
(以下、重大なネタバレを含みます。)
20世紀初頭、米中露の実力者達によって構成された組織『賢者達』が誕生し、ザ・ボスはそのメンバーの一人の娘として生まれた。以降、彼女はその生涯の様々な場面で『賢者達』と関わりを持つことになる。
1943年、マンハッタン計画に参加していたドイツの科学者フォン・ノイマンを暗殺する指令を受けるが、作戦直前に自身が妊娠していることを知り、科学者の警護との銃撃戦でとっさに腹部をかばい、頭部に被弾してしまう。大脳右半球の一部を欠損し、昏睡状態に陥るが、その後驚異的な回復を見せた。
この作戦で、ノイマンはドイツのスパイとされていたが、結局は彼はスパイではなかった。しかし、ザ・ボスはその後、核兵器の脅威が広がることになる世界の運命を見据えたとき、「あの時、彼を殺しておくべきだった」と回想している。
1944年、ノルマンディー上陸作戦の最中、ついに男児(後のリボルバー・オセロットである。父はザ・ソロー。)を出産するも、『賢者達』に没収される。これにより、ザ・ボスは『賢者達』に事実上の人質を取られたことになる。
1959年6月、ソ連の宇宙開発技術を盗み、またその宇宙開発を妨害する任務のため、ソ連側の反共産党的な『賢者達』と接触し、ソ連第一設計局の内部に工作員を確保。それによって、東側の宇宙技術がアメリカに流れることになる。
しかしザ・ボスは工作員から送られてくる情報に徐々に疑問を持ち始め、1961年初めにソ連に再び単身潜入する。その地で工作員が、CIAの現地エージェントとの報酬絡みのトラブルで、ソ連側に寝返り二重スパイとなっていたことが判明する。
CIAは諜報活動失敗の全責任をザ・ボスに転嫁したため、ザ・ボスに有人宇宙船開発「マーキュリー計画」の非公式の被験体となるよう命令が下ってしまう。それに対しザ・ボスは反論一つせずに承諾し、軍務時代の経験に基づく的確なアドバイスをNASAに与え、計画を再び加速させた。しかし、政府の要求で付けられた「窓」からの宇宙線の遮断は不十分であったが、ネヴァダ砂漠で既に被曝していた彼女がパイロットに選出された。
4月12日、ソ連の有人宇宙船「ボストーク」の打ち上げとほぼ同時刻にマーキュリー号が打ち上げられた。ザ・ボス自身も死出の旅を覚悟していたが、奇跡的に打ち上げは成功した。
宇宙空間にて、ザ・ボスは「窓」から、地上の闘争(冷戦)が見えず国境線の存在しない地球を目撃する。この体験は、後の彼女の思想に、ひいては世界の運命に影響を与えるものとなる。その後マーキュリー号は着水時に大破するも、ザ・ボスは奇跡的に生還し、半年間昏睡し続けた。
肝心の打ち上げの結果はあらゆる面でソ連に劣っており(ボストークは無事帰還した)、マーキュリー号の打ち上げは米政府により「なかったこと」にされた。回復後、行き場を失ったザ・ボスは地下に潜伏する。
(1961年にザ・ボスはCIAの「コスチノス湾事件」に参加していたとされ、ザ・ボス本人もスネークにそう語ったが、これは偽装であった)
1962年に、59年の作戦の失敗の清算のため、米国『賢者達』によりソ連潜入を命じられる。
ツェリノヤルスクの地で、工作員を寝返らせたソ連側のエージェントであり、かつての戦友ザ・ソローと対峙する。お互いに会うまで正体を知らなかったのは、ソ連政府側の『賢者達』による策略であった。
どちらかが死ななければならない状況で、ザ・ソローが自らの死を受け入れ、ザ・ボスも苦渋の決断の末に、彼を殺害した。
そして、1964年、ヴァーチャスミッション、スネークイーター作戦にて、東側に偽装亡命し『賢者の遺産』をアメリカへ奪う任務を与えられる。しかし、亡命の手土産にした核兵器がソ連で使用されたことにより、ザ・ボスは米政府に暗殺されることによって、アメリカが核使用とは無関係であるという潔白を証明しなければならなくなった。
自決も許されず、真相を話すことも許されず、ただ弟子によって抹殺されることが彼女の任務となった。
こうして表の歴史ではアメリカの売国奴、ソ連に核を撃った凶人として記録され、真の愛国者としての彼女を知るのはごく一部の者のみとなった。
しかし、後にこの作戦は、ザ・ボスのカリスマ性を恐れたCIAによって、核兵器使用から抹殺までの全てが仕組まれていたと明らかとなる。
時は流れ、2014年にビッグ・ママ(EVA)は我が子のディビッドことオールド・スネークに真実を暴露した際にスネークがザ・ボスに関わる功績、少なくとも表向きの歴史を知らない様子から真偽含む情報そのものは、何らかの原因(愛国者達?)で21世紀まで伝わらなかったものと推測される。
1974年、コスタリカでのCIAの「ピースウォーカー計画」の中で、ストレンジラブ博士により生前のザ・ボスの人格を再現したAI(人工知能)「ママルポッド」が作られる。
本計画の要である「敵の核攻撃に対し効果的な報復を確実に与える、人間に出来ない判断と行動を成し遂げる無人兵器」の創造のために、地球規模で思考し最善の判断を下す最も優れた共感脳の思考パターンとして、ザ・ボスに関するありとあらゆる情報を元に作成されている。
ヒューイの作成したAI「レプタイルポッド」と結合(アセンブル)することで、人間の脳を模し、真の力を発揮できるようになる。
だが、ストレンジラブ博士の真の目的は、1964年に亡命を決意し、弟子によって殺されたボスの最期の意志を確かめるためであった。
ザ・ボスの、その壮絶な人生経験に基づく思想は様々な人物に影響を与えており、EVAをして、「彼女が生きていたら21世紀は変わっていた」と言わしめるほどである。しかし、その思想の解釈もまた人によって異なってきている。
例えば、彼女の、「世界は一つになるべきだ」という言葉は、当時冷戦によって二つに分けられた世界を元に戻すという意味にも、また国境によって国家単位にバラバラになった世界を解体し統一するという意味にもとられた。
これらの解釈の相違が、彼女の死後も世界を翻弄することとなる。
もっとも、ザ・ボスの思想は当時の『時代』からは飛躍し過ぎており、『時代』に拒絶され抹殺されてしまった。
彼女の本当の想いである、「ありのままの世界のために最善を尽くすこと。他者の意志(SENSE)を尊重し、自らの意志(SENSE)を信じること」が本当に理解され、受け継がれるには実に50年の歳月を要した。
掲示板
163 ななしのよっしん
2023/09/10(日) 11:34:42 ID: hdRaU79Elm
愛国者達のメンバーは多かれ少なかれボスの事を尊敬して大好きだったから集まったし、だからこそ彼女の理不尽な死に対する憤りがノイズとなってしまった。シリーズ全体で見ても全く縁の無い人の方が彼女の意思に近い現状というのも知らないが故に無自覚に彼女の死を肯定してるという見方が出来る
164 ななしのよっしん
2023/10/11(水) 18:51:49 ID: /xBE1z66bZ
欠点が無いところが欠点
余りにも魅力的だからこそ、言葉の一つ一つもその死も周りの連中に影響を与え過ぎた
自分のカリスマ性に呪い殺されたと言っても良い一生だ
そういう意味でもこの上なく不幸な女ではある
165 ななしのよっしん
2023/12/23(土) 11:17:24 ID: 15dpbgVrF1
周囲が思ってるほど大層な理想もなかったけど、周囲が思ってるよりずっと強かった人
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最終更新:2024/12/23(月) 10:00
最終更新:2024/12/23(月) 10:00
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