あいりん地区とは、大阪市西成区萩ノ茶屋および太子周辺にあるドヤ街の通称である。
日本最大のドヤ街・寄り場。
ドヤとは安宿のこと。寄り場もしくは寄せ場とは、日雇い労働者の集まるところのこと。
一般的に、日本国内でも屈指の治安の悪さで有名。
現在の日本で唯一暴動の起こる場所でもあった。(直近では2008年に16年ぶりに勃発した。)
住民の結核罹患率が高い、ヤクザの事務所やノミ屋が点在し、ぞっとしない話題には事欠かず、市民・観光客に関わらず、一般的に立ち寄ることは避けられる街だった。ちなみに、国際的に「治安が悪い」と認められるレベルのスラムが、日本国内で確認されたのは、関東大震災直後の東京都周辺数カ所以来である。
しかし、2012年に、橋下徹市長が「西成特区構想」を推し進めた結果、西成全体の犯罪認知件数が3割減少し、観光拠点として発展。路上密売拠点がほとんど壊滅し、ゴミの不法投棄が減少した。「密売人がはびこっていた以前」と比べると「時代が変わった」と感じさせるほどの変化が起きている。→産経①、②
西成区の南海電車・萩ノ茶屋駅周辺、約0.62km2の範囲を指す。これは区の面積のうち約8.3%である。
天王寺、新世界から近く、徒歩で行ける圏内にある。
しばしば、時にはまとめ系のサイトなどで面白半分に、あいりん地区を指し「西成」と称するなどされるが、実際は萩之茶屋駅周辺、住所では萩之茶屋一丁目、二丁目、太子一丁目、二丁目だけである。
面積が示す通り、「西成(区)」イコール「あいりん地区(ドヤ街)」ではないので、「西成」で括らないよう注意。
ドヤ街はあくまで区の一部分にすぎず、区内はこれとは無関係な下町や住宅街がもっとも多くを占めている。
西成区民をもっとも悩ませているのは、あいりん地区の存在よりも、上記誤解による風評被害かもしれない。
あいりんとは『愛隣』であり、マスコミや自治体が60年代に決めた共通名称。
本来の名称は釜ヶ崎であり、地元民、あるいは日雇い労働者達は今でもこちらの呼び方を使う。
ドヤとは、宿=ヤドをひっくり返して、その質の悪さを馬鹿にした言い方。
本来は、工場などで働く日雇い労働者のためのものという性格が強く、旅館・ホテルのようなサービス業からはかけ離れたもの。日単位で入れるアパートと言ったほうがいいだろう。
具体的には、風呂なしの3~4畳一間トイレ付に、素泊まり1泊数百円といった価格帯である。
食事を出すところもあるにはあるが、基本的にはそのようなサービスは一切無いと思ってよい。
国内の重工業が活性化した高度成長期に形成され、田舎から出稼ぎに来た農業就業者などの宿として活躍した。
が、工場の郊外・海外移転や、ロボットの導入による効率化などによる、日雇い労働そのものの減少に伴い、いずれも消滅、あるいは規模を縮小した。今や、日本国内には3ヶ所程度しか残っていない。
あいりん地区はその中の1つであり、現在でも日本最大のドヤ街ではあるが、本来はもっと多くの人々が行き交っていた。 大阪、ひいては京阪神工業地帯の発展を、この地区が支えたといっても過言ではないだろう。
もっとも、日本国内の工業の現状や、地区内に居住する日雇い労働者の高齢化を鑑みるに、今後も縮小を続けて行くことが予想される。
2007年に指名手配されてから2009年に逮捕されるまで逃走を続けた殺人犯「市橋達也」も、一時期はここに滞在していた。
また、安宿の一部は、ビジネスホテルのような綺麗で整った設備を備えたものに変貌している。これらは、客室が狭く風呂トイレは共同であるものの、極力倹約したい旅行者や、海外からのバックパッカーなどにとって、カプセルホテルに代わる手頃な宿として活躍している。これらは大手旅行サイトからも簡単に予約もできる。
南海沿線にあり、関西国際空港からもアクセスが楽なことや、再開発が進んでいる天王寺、急速に観光地化され人気が高まっている新世界が徒歩圏内であることから、最近注目されている。
とはいえ、これは主にあいりん地区の中心から若干距離を置いたエリア、もしくは地区外のものであり、地区内には、目的も設備も変わらず、とても旅行客が利用するものではない安宿は多く残されている。
ここでは、日雇い労働者・路上生活者などについて扱う。ただし、あいりん地区とされる部分にも一般住民はいるし、ましてや西成区民(11万人強)のうちの大半は関係がなく、これに全く該当しないため注意。
あいりん地区を形成するのは、ドヤ街に集まる日雇い労働者である。
また、あいりん地区に住む日雇い労働者がみな安宿に泊まっているわけではなく、路上生活を余儀なくされているものも多い。
あいりん地区にはおよそ3万人が住んでおり、うち日雇い労働者は約2万人と推定されている。
さらにそのうち8割は、近畿外から労働を求めやってきた者とされている。
生活に困窮している者が多いことが、この地区の治安が悪い主要因とされていた。
ある程度の年齢の人間には、あいりん暴動(釜ヶ崎暴動)も記憶に残っているだろう。今では海外のニュースでしか見られないような暴動が、日本国内でも確かに起こっていた。
また、路上生活者には医療を満足に受けられない者が多い、路上生活が免疫力の低下を招いているなどから、結核罹患率は全国平均の約14倍という。
日雇い労働は激減しており、あいりん地区の住民が手に入れられる仕事も減り続けている。
これにより、困窮する住民が激増していた。
怪しいものを売る露店が多かった。タバコのばら売りなどはもはや国内ではここでしかお目にかかれないだろう。露店の中には売る気があるのかすら怪しい代物を扱っているものから、 覚せい剤を売っているものまで様々。
しかし、2012年に、橋下徹市長が治安向上を課題として提起して以降、大阪府警は密売人の取り締まりを強化。環境浄化への本腰を入れた。密売人が場所を移しても、摘発を続け、2015年7月には覚せい剤の路上密売が止んだ。→SanKeiBiz①②
あいりん地区は正直言って興味本位で足を踏み入れる場所ではない。
ただ、区単位の統計における犯罪件数(ひったくりなど含む)は、やたら先行する先入観的なイメージとは異なり、西成区全体の数字を大きく押し上げるには至らない。近年でも暴動が起きたとは言え、直近は16~17年間隔の頻度であるうえ、仮に起きたとしても、何も知らずに偶然巻き込まれるようなことはないだろう。
なので、一般住民や萩ノ茶屋駅を利用する近隣の学生なども通るし、さすがに一般人がただ通りがかるだけで警察沙汰のような被害に遭うことも普通はない。とはいえ、ごく小さなトラブルも避けたいなら、夜中に女性が一人で歩いたり、興味本位であちこち写真・動画撮影したりはやめておいた方が良いだろう。
頻繁に立ちションされるポイントがある、スプレーの落書きが多い、生活支援系のNPO法人の建物が点在していた、常時酒に酔っている人がいる、近隣の商店街が日雇い労働者が集まるカラオケスナックだらけなど、地区内の環境自体ぶっちゃけ全然良くないので、間接的に気が滅入ってしまうこともあった。
近隣にある新世界も、あいりん地区からの日雇い労働者が多く流れ込んで一時(1960年代~1990年前半頃)は「労働者の盛り場」となってしまい、敬遠され衰退し廃れてしまうほどの影響があった。ちなみにこちらは停滞していた町並みが昭和の面影を感じさせると近年急に再評価され、今は名物の串カツとともに息を吹き返し、休日は国内外からの観光客でごった返している。
一方で、地区中心部に位置する西成警察署は、鉄格子と柵で周囲を防護しているばかりか、窓は強化ガラス・正面ドアは鉄製で、24時間体制で周囲を警官がパトロールしている、といういわば要塞である。
この完全防護は、もちろん警察官を守るための武装である。
また、地区内のあるコンビニのトイレに、『注射器を流さないでください』という注意書きがあるばかりか、トイレ内であるにも関わらず監視カメラが設置されていることが象徴づけられることもある。
(ただし注射器については、アブない薬ではなく、「糖尿病患者のインスリン用」の注射器がトイレに捨てられ、同様の注意書きが貼られていた事案が他の地域で実在している。前述についても同様である可能性が高い)
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最終更新:2024/12/23(月) 16:00
最終更新:2024/12/23(月) 15:00
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