グランド・セフト・オート:チャイナタウンウォーズ(Grand Theft Auto: Chinatown Wars)は、Rockstar Games社から発売されたクライムアクションゲーム。
略称はGTA:CW、GTACW、GTACTWなど。
概要
シリーズ第7作であり、GTAシリーズ唯一のニンテンドーDS向け作品。後にPSP、iOS・Android端末に移植された。
任天堂のハード向け作品としては、シリーズ2作目(ゲームボーイアドバンス向けに1作発売されている)。PSP向け作品としてはシリーズ3作目。
前作『GTA4』に登場した新しいリバティーシティを舞台に、中国系移民ホァン・リーの活躍を描く。
ニンテンドーDS史上初かつ日本国内販売DSソフト唯一の『CERO:Z』指定ソフトとなった。日本で発売された任天堂ハード向けソフトの中では、2005年に発売されたGC向け『Killer7』以来4年ぶりとなる。
あらすじ
ホァン・リーは、リバティーシティのチャイナタウンを一手に取り仕切る巨大中華系マフィア「トライアド」のメンバーであり、誰であろうそのボスを父に持つ御曹司であった。
幼いころから現在に至るまで、何不自由ない暮らしを香港の九龍で続けていたホァンだったが、ある日、父が暗殺されたという知らせを受ける。新しく一族の家長となったのは、伯父のケニー・リーだった。ホァンはケニーから、一族がトライアドを統率する証である剣「ユウ・ジァン」を届けるよう頼まれ、単身リバティーシティを訪れる。
しかし、簡単な"使い"であったはずが、到着するやいなや強盗に襲われて危うく死に掛けた上、「ユウ・ジァン」を奪われるという、「アメリカ最悪の街」であるリバティーシティのきつい洗礼を受けてしまう。
「ユウ・ジァン」を取り戻すため、ケニーをはじめとする有力者達の依頼を受けつつ、ホァンは生まれて初めて自分の手を汚しながら、リバティーシティの裏社会へと入り込んでいく。
だが、彼が父の死の真相に至るまでの道は、裏切りと欲望に満たされた過酷なものであった……。
登場人物
- ホァン・リー
主人公。香港は九龍出身の青年で、父がトライアドのボスであったため、何不自由なく暮らしてきたボンボン。
裏社会の仕事に手を染めた経験など殆どなく、銃の扱いや生き残る術などもリンに一から教えてもらうほどだが、段々と裏社会の仕事に馴れていく。
- ケニー・リー
リバティーシティに暮らしていた、ホァンの伯父。非常に強欲な野心家。
死んだホァンの父に代わり、一族の家長となるが、ホァンが「ユウ・ジアン」を奪われたことで後継者争いにおいて不利になったため、彼を利用して何としても取り戻そうとする。 - シン・ジャオミン
現在のトライアドのボス。強かな野心家でありながら、確かな知性と賢さを持った豪腕の人物。
ホァンの父の死を受けてボスとなった身だが、高齢であるため既に後継者を探し始めており、ホァンの一族を含めたトライアドの内部抗争の火種となっている。 - チン・ジャオミン
シン・ジャオミンの息子であり、一応の後継者候補。麻薬ジャンキーで女遊び好き、思慮も浅く知性もなく、口ばかりが大きいという典型的な馬鹿息子で、シンが求める後継者像のおおよそ対極にある男。もちろん後を継げるわけはないのだが、当の本人は自分が継いで当然とめでたく考えている。
権力者の息子という同じ立場にいるホァンにシンパシーを抱き、接近してくる。 - リン・シャン
ケニーの部下で、彼の警備主任を勤める美女。マーシャルアーツに長け、銃の扱いも一級という女傑。ホァンにリバティーシティで生き残るための術を教える。
パッケージにもメインキャラクター然として載っているが、チュートリアルの直後に死亡し退場する。
『GTA4』の登場人物は今作には一切登場せず、逆も同様であり、今作と『4』の関わりは非常に薄い。
一応、『4』の方では、警察の端末にアクセスして見られる犯罪者リストの中にホァンなどの名前があるという小ネタがある。しかし、『4』は2008年、今作は2010年の物語であり、今作で初めて街にやってきたホァンの名前が『4』に登場するのは矛盾している。
システム
『Ⅱ』以前で採用されていた見下ろし型視点を再び導入しており、常に主人公を上空から見下ろす視点で操作することになる。
ただし『Ⅱ』までの作品と比べると、主人公の背後から覗き込むような角度に若干調整されている。また、操作自体は殆ど『4』と同じであり、歩行時も車の運転と同じ操作だった『1』に比べるとより3Dシリーズに近い操作感覚になっている。
グラフィックは、トゥーンレンダリングを用いた、アニメ調にデフォルメされたものである。イベントシーンはイラストを組み合わせたデジタルコミックのようなアニメーションで進行する。
PSP版は、PS2以前の3Dシリーズに近いグラフィックへと変更されており、解像度も上がっている。以降の移植作品もこれに準じている。
舞台となるリバティーシティはほぼ『4』そのままである。
ただし容量の都合により第3の島『オルダニー』はない。また、見下ろし視点のため立体交差がなくなっており、高速道路も幅の広い一般道になっているなどの変更が加えられている(ゲーム内に高低の概念が存在しないわけではない)。
PDAの使用や、爆弾解体、キーのない車の始動などのミニゲームなどにおいては、タッチパネルを効果的に使用しており、DSならではの楽しみ方が出来る。これらはタッチパネルを用いてプレイするiOS・Android版も同様である。PSP版では、タッチパネルで行うミニゲームも全てボタンで操作するようになっている。
ニンテンドーWi-Fiコネクションを通した通信プレイや、それによって出現する隠しミッションの要素があったのだが、同サービスが終了した為、現在はそれらのコンテンツを遊ぶことはできなくなってしまっている。
大きな特徴として、薬物取引が重要な資金稼ぎの要素となっている。あちこちにいる売人から買って転売するのだが、上手く相場を読んだり、売人からの不定期にくる秘密情報を活用することで大金を手に入れられる。しかしもちろん読み違えれば損をするし、モノがモノだけに警察も目を光らせているのでリスクも大きい、という絶妙なバランス調整がなされており、ユーザーからも高く評価されている。
評価・展開
当初は、スペックの低いニンテンドーDS向けということでその完成度を危ぶまれていたが、久々の見下ろし型視点がシリーズのオールドファンから人気を得た上、タッチパネルを使用したミニゲームやRockstar Gamesならではの遊び要素を満載した内容が絶賛された。
が、やはりニンテンドーDSユーザーとGTAシリーズファンには大きな開きがあったためか、全世界で約132万本と充分大ヒットと呼べる販売成績を残しはしたものの、記録的な売り上げを残している従来作品には遠く及ばなかった。
PSP版は、ニンテンドーDSを持たないユーザーを取り込むことに成功し、全世界で約100万本を売り上げている。
ライトユーザーを重視するニンテンドーDSのソフト展開から、日本で発売は絶望的だと思われていたが、2009年10月に無事発売された。
『4』同様、表現規制は殆ど入っていない(これについては日本版の販売元が、カプコンからサイバーフロントに変更になったことが理由ではないかともいわれている)。ただし、メインとなる資金稼ぎの薬物取引において、薬物の一部アイコンとその名称が変更されている。アイコンは小包など無難な外見になり、名称はすべて『ブラウン』や『ホワイト』といった隠語じみた名称になっている。つまり日本語版では、一見するとドラッグに見えない、ぼかした表現となっている(中にはどうみてもMDMAにしか見えないものがそのままになっているのがあるが)。
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関連項目
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