「読んでも忘れる」がなくなる~トヨタ式「紙1枚」を使った読書法がすごすぎた画像はイメージです Photo:PIXTA

前回は、ネットがあれば情報が入手できる時代に、なぜ読書が必要なのかについて述べました。本稿では、私のサラリーマン時代にお世話になった、トヨタの企業文化の一部であるフレームワークの使い方を紹介します。

※本稿は、浅田すぐる 著 『早く読めて、忘れない、思考力が深まる 「紙1枚! 」読書法」』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

「紙1枚!」フレームワーク 書くだけで「忘れない」「実践できる」「説明できる」知識になる

 「紙1枚」にまとめる読書法のベースは、「1枚」フレームワークという独自のビジネススキルです。本稿では、図1-1のように読書用にカスタマイズした特別な「型」を用意しましたので、これからその考え方・書き方・使い方を学んでいきましょう。

 ただ、その前に。「1枚」フレームワーク自体の説明を一切省いてしまうと、読書以外のポイントで躓(つまず)きかねません。そこで、この技術について理解しておいてほしいポイントを、最低限に絞ってこれからクイック・ガイドしていきます。

考え抜ける! トヨタの「制約」思考 

「1枚」フレームワークは、私がサラリーマン時代の大半を過ごしたトヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)で、日々作成していた「紙1枚」資料をルーツとした手法です。トヨタには、仕事上のコミュニケーションを「紙1枚」にまとめて行う企業文化があり、これがムダのない、効率的な仕事の仕方につながっていました。

 なぜなら、「紙1枚」にまとめる過程で、自身の担当業務について徹底的に「考え抜くこと」ができるからです。「この仕事における本質的な課題は何か?」「そもそも何のためにこの業務をやっているのか?」「プロジェクトを実現するうえで最大のポイントは何なのか?」、等々。

 あれもこれも資料に盛り込むことができないからこそ、コアとなる部分を突き詰めて働くようになっていきます。その結果、最終的には資料作成機会の有無に関係なく、あらゆる場面で「深める」思考をベースにした言動ができるようになってくるのです。

 たとえ資料が手元になくても、「紙1枚」レベルの思考整理を脳内で瞬時に行い、適切な言葉を放つことができるようになる。何を聞かれても当意即妙な応答が可能になってくる。一挙手一投足に、意図や意志をこめて行動することができる。

 トヨタにいた頃も辞めてからも、仕事をしていると頻繁に言われるセリフがあります。「トヨタの人達は本当に深く考えて仕事をしていますね」「なんでそんなに言語化能力が高いのですか」「普段から考え抜いているからこそ、言動にも仕事にもムダがないのですね」、等々。

「紙1枚」にまとめるという資料作成上の「制約」が、日常的にこうした力=「スロー」思考を高めることに寄与しているのです。