深い業務理解と豊富な開発の知見を基に、保険・共済、年金、ヘルスケア領域のDXを支援右から、ニッセイ情報テクノロジー コンサルティング事業本部の森山和俊・コンサルティング事業部 事業部長、露木 愛・コンサルティング事業推進室 室長、大村 剛公共年金事業部 事業部長

DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する金融業界の中で保険・共済、年金、ヘルスケア領域へのコンサルティングで近年、存在感を発揮しているニッセイ情報テクノロジー。日本生命グループのIT戦略作りやシステム開発で培った強みは、他の保険や年金のDX支援でどのように発揮されるのか? 3人のキーパーソンに聞いた。

「コンサルティング事業の拡大」を重点施策の一つに

――スマートフォンを使った顧客向けサービスの提供や、AI(人工知能)などによる業務の効率化など、金融の領域でもDXが進んでいます。日本生命グループのIT戦略企業として金融業界などのコンサルティング事業を推進するニッセイ情報テクノロジーとはどのような会社でしょうか?

森山 当社は、日本生命の情報システム部門と事務企画部門の一部、システム子会社が統合して1999年に誕生しました。現在では、日本生命向けに行ってきた保険事務・システム開発のノウハウを生かし、日本生命以外の保険会社、共済組合、公共団体など、幅広いお客さまのシステム開発にも積極的に取り組んでいます。

――下流工程のシステム開発だけでなく、超上流・上流工程であるコンサルティングから一気通貫で支援サービスの提供をしていますね。

森山 はい。当社は日本生命グループのIT戦略を担う会社として、業務やサービスの企画段階から参加し、システム開発、実装、運用まで行ってきた豊富な実績を持っています。そうして培ってきた保険、年金、ヘルスケア領域の深い業務知識と、豊富なシステム開発の経験を生かし、日本生命以外のお客さまの業務・システムの最適化やDX推進についても超上流工程から下流工程までをトータルに支援させていただいております。

 現在では、日本生命以外の売上高のうち、約30%をコンサルティング事業が占めるまでに成長しています。

――コンサルティング事業をさらに強化する目標も掲げているとか。

大村 2023年4月にスタートした新中期経営計画で「事業構造の転換」を目標に掲げ、「コンサルティング事業の拡大」を重点施策の一つとしました。事業構造の転換を目指したのは、お客さまに提供するバリューをこれまで以上に高め、それによって業界における当社のプレゼンスの向上、ビジネスの拡大、安定的な経営基盤を実現するためです。

 今、当社が向き合う保険・共済、年金、ヘルスケア領域のお客さまは何を求めているのか? それに対して、私たちはどんなバリューを提供できるのか?と検討を重ね、「コンサルティング事業のさらなる強化が求められている」という結論に達したのです。

――なぜ、その結論に至ったのでしょうか?

大村 ご承知の通り、今、金融領域ではデジタルを活用した業務変革やサービス変革が加速度的に進行しています。いわゆるDXの取り組みが、私たちのお客さまである企業でも急速に広がっているのです。

 保険の契約や請求がスマートフォンでできるようになったり、営業・事務を効率化するためクラウドベースのさまざまなアプリケーションや、AIなどを活用した事例が増えているのが、その象徴といえるでしょう。

露木 そうした動きの中で、当社のお客さまも厳しい競争を勝ち抜くためデジタル化に注力されています。デジタル化に対応するためには、業務知識とITノウハウの、両方を兼ね備えた人材が不可欠ですが、そうした人材は社内には少なく、育成にも時間がかかることから、外部のコンサルティングの需要が高まっているのです。

 そうしたニーズの高まりに応えるため、全社を挙げてコンサルティング事業の拡大に取り組むことにしました。