外貨獲得で半導体・鉄鋼レベルに! 50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム#18Photo by Yoko Suzuki

副業クリエイターが1人で作った「8番出口」が100万本売れるなど、インディゲームが大ブームだ。経済産業省は国家予算を投入してインディゲーム作家育成プロジェクトを開始。現在韓国や中国に負けているモバイルゲーム分野でのインディクリエイターを育成しようとしている。さらに大手出版社の講談社が「漫画編集」の技能を活用して、本格的なインディゲーム作家育成事業を展開中だ。特集『50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム』(全25回)の#18では、ゲーム業界のゲームチェンジャーになり得る、インディゲームを巡る盛り上がりを見ていこう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

経産省がゲーム作りを支援!国も熱狂する
インディゲームがゲーム業界の台風の目に

「ウルトラクライムジェットガール」「ロープくんアドベンチャー」──。これは、経済産業省が開発支援するゲームタイトルの一部だ。

「デジタル等クリエイター人材創出事業『創風』」。ゲームと映像のインディコンテンツクリエイターを育てる、2024年から始まった事業だ。ゲーム分野ではマーベラスが運営するインディゲーム向けインキュベーションプログラムであるiGi (indie Game in cubator)に経産省が予算支援し、選抜された9のインディゲーム開発者・グループに対して、事業化の支援を行う。クリエイターたちはメンターのアドバイスやおよそ500万円までの開発資金援助を受けられるというものだ。開発されたゲームは25年2月をめどに発表される予定という。

 経産省がなぜゲーム開発の支援をするのか。

「現在、世界のゲーム市場で主流となっているモバイルとPC向けのゲームで、大手家庭用ゲームメーカーからの新作が少なくなっている。海外需要に応えるために、有望なスタートアップを育成して、ビジネスのエコシステムを作る」と佐伯徳彦・経産省商務・サービスグループ文化創造産業課長はその意義を説明する。

 外貨獲得産業として期待が高まるゲーム業界。だが、世界で最も大きなPC・モバイル市場では、日本はその存在感を発揮できていない。インディゲームはその欠けたピースを埋める担い手として期待されているというわけだ。

 開発・販売のプラットフォームの技術革新によって、たった1人でもゲームを開発し、世界に販売できるようになった。さらに、有名YouTuberがゲームプレイ実況などで取り上げると、爆発的に拡散されて一夜にして売れる、というこれまでなかった状況も出てきている。

 大手ゲーム会社に所属していなくても、個人が作ったゲームが100万本売れる、という夢のようなサクセスストーリーが生まれるようになった。経産省が国家予算でインディクリエイターを支援するのにはこうした背景がある。さらに、いままでゲーム業界とは関わりがなかった異業種もインディを通して新規参入を果たし、存在感を増している。一方で、出せば必ず売れるというわけでもなく、その盛り上がりには過熱感が出てきているのも実情だ。大手ゲーム会社が尻込みする画期的なゲームを生み出す起爆剤にインディはなるのだろか。次ページから詳しく見ていこう。