ご自分だけで練習することを前提に書きます。 板書が上手に出来ない人は、大体、体が黒板に近づきすぎていることが多いのです。まず、腕を自然に伸ばして、持ったチョークが黒板に届くところに立つようにすることです。そして腕全体を使って書いていくようにします。書いているうちにどうしても体が黒板に近づくようになりがちですから、時々立ち位置を確認してください。顔を黒板から離して、書いた字全体を見渡すようにしていけば、自然に体が黒板から離れるようになるはずです。 バランスに関しては、まず黒板全体のスペースをどう使うかをあらかじめ考えることです。黒板全体のどの位の位置におさめるかによって、字の大きさも決まります。塾なので、毎回同じ黒板を使うのですから、生徒の見易さと黒板のスペースのバランスから、いつも一字の大きさはこのくらいと字の大きさを決めてしまえばいいと思います。 最初のうちは、体の正面で書くようにした方が字の曲がりやバランスがよく見えます。急いで書きなぐらずに、ゆっくり書きながら、字の大きさがそろっているか、字が水平にそろっているかを確認しながら、書き進めることが大切です。右に書き進めるにしたがって、体も右に移動していけば、ウニャウニャ曲がらないようになるはずです。そうしないと、右利きの場合は、右下がりになりがちです。 上の方、下のほうは誰でも字が汚くなりがちです。上のほうは精一杯背伸びする、下のほうは膝を曲げるようにして、できるだけ目の中央で字をとらえられるようにすることです。 チョークの握り方は、色々あるでしょうが、私は親指と中指でチョークの先端から２センチぐらいのところを持ち、人差し指で上からチョークを押さえるようにして持ちます。そうすると、チョークが折れることがなく、しっかり力を入れて書いていくことが出来ます。 私は書道はへたくそですが、毛筆で大きな字を書くときの要領と同じだと思います。手全体で筆を持ち、手首の返しではなく腕で字を書いているはずです。それを、垂直の黒板でやると思えばいいと思います。 書道と板書で最も違うことは、力の入れ方でしょう。チョークの場合は、はねとか返しを考えず、最初から最後までチョークが黒板の面をしっかりとらえるように滑らせた方がまとまりのある字になります。そのためにも、手首の返しは絶対使わず腕全体で書いていくことです。 何度も何度も、字の大きさ、行の曲がりに気をつけながら書く練習をしていけば、体の正面で書かなくても、バランスの取れた字が書けるようになります。 書道も上手になるためには、何度も練習したことと思います。コツは違いますが、板書も同じように、バランスをとるよう意識して練習していけば、意識しなくてもうまく書けるようになります。インストラクションに関わる仕事をしている人達は、必ず自分で繰り返し繰り返し板書の練習をしています。早く見やすく板書できることは、教える仕事の中ではかなり重要な能力ですから。