完全変態昆虫(蛹を経過する昆虫)は,古生代末のペルム紀に登場したと考えられています。ペルム紀には,全生物種の最大95%近くの種の大量絶滅がありました。
原因は良くわかっていないようですが,地球史上最大の火山活動でシベリアの溶岩台地が形成され,放出された火山ガスにより温暖化が進行し,メタンハイドレート(海底に存在するメタンと水の混合物)が放出され,温暖化が暴走したものと考えられています。
海水温は40℃になり,気温も当然高温だったと考えられます。ですからその環境を生き抜くために,完全変態の昆虫の先祖は,幼虫時期を土中等に潜って,生活の場を変えたようです。
土中に潜って生活するためには,羽や複眼や長い脚が無い方が生活しやすく,芋虫形の形態になったようです。しかし,昆虫本来の形態の頭部・胸部・腹部,胸部に2対の羽があり,3対の脚があると言った形態とのギャップが大きすぎますから,「蛹」といった形態の再構築する時期が出来たものと考えられているようです。
進化に関しましては,国立遺伝学研究所の湊博士によれば,「この時期を乗り切った生物には,皆膨大な自然選択圧がかかったはずであるが,共通性は全くない。だからダーウィンの自然選択説の当てはまらない例である。」と言っています。つまり,全くの謎のようです。
しかし,個人的には,この熱暴走が止まり,生物が再び繁栄するまで,他の絶滅期の10倍の500万年の時が必要だったそうですから昆虫にとっても時間はいくらでもあったわけで,どの様にも進化できたのではないかと思います。