新撰組の土方歳三について 土方歳三も、あの沖田総司と同じく「労咳」を患っていた、という記事を２，３の雑誌で、読んだことがあるのです。 実際のところ、どうだったのでしょうか？

労咳＝肺結核ならば、治療薬としてペニシリンなどの更生物質が発見、普及するまでは国民病でした。昭和一桁の人ならば大抵X線検査で引っかかっていたのが現状です。 ただし、重症に至らず一部に空洞ができても石灰化するなどして自然治癒した場合も多々あり、当然罹患しても軽症ならばその後は免疫力の方が勝るので問題ないわけです。（現代でもツベルクリン反応陽性ならば結核菌に罹患した経験があるわけです） さて、土方副長ですが、土方副長は大変多くの手紙を残しており、最近の調査では会津で慶応４年８月２１日夜５時に内藤・小原両名あてに隊の守備隊移動を進言したものが現存する最後の手紙とされていて、その行動が知られています。また最後まで私生活は別としても公式の場、戦場に立ちエネルギッシュに活躍されていて信頼できる目撃者も多いのですが、土方副長が労咳にかかっていた。とする決め手はありませんし、X線やツベルクリン反応がない時代で労咳と診断されるほどの病状に至っていたらば、いくら不屈の闘志があってもその後の激戦連戦をこなせるものではありません。まして、函館には名医中の名医であった高松凌雲がいたので発病していたら何らかの記録が残っているはずです。 土方副長と労咳で夭折した沖田総司とが仲が良かったので、沖田の病気がうつって死期を悟り土方副長の壮絶な最後と結びつけたフィクションでしょう。