ボカロPがアラカンで何が悪い! = 点五P公式

アラカン ボカロPの活動奮闘記!

#376 AIに助けてもらうことで、未経験者がラノベ書けそう!

ボカロP 12年生の点五Pです。
一昨日公開した記事: #375 テスト4 ラノベ作中の架空バンドの曲として発表する活動形式 でサマリーを記述した、「AIを活用したラノベの執筆」についてこの記事でまとめています。

目次
1. なぜラノベなのか?なぜAI活用なのか?
2. 情報収集、事前確認事項
3. テスト実施手順と中身(AI使用前)
4. AIアウトプット結果と修正
5. 結論
※本題は4項になります。

 

【1. なぜラノベなのか?なぜAI活用なのか?】

前回記事を少し補足すると、

無名Pのオリジナルを聴きたい人は少ない
↓
自作曲をネットに上げるだけでは再生数を劇的に上げるのは難しい
↓
カバーで評価されるには相当のアレンジ/MIX力が要求されるのでムリ
↓
楽曲以外のことでいったん注目され、評価されないと曲は聴いてもらえない
↓
注目されやすいのは映像がからんだコンテンツとの連動
評価されやすいのは世界観が共感されること
完全に別の活動にしたくないから、そのコンテンツ中に自作曲を登場させられるものがよい
↓
なら架空バンドの4コマ漫画との連動がいい!
漫画の中でそのバンドが曲を発表する形でボクの曲を出す。
バンド名のアカウントを立ち上げて
↓
でも収入限られる中で高額の報酬を払って実力のある漫画家さんにお願いするのはムリ
↓
タダでコラボする形で漫画家さんを募集したが誰も来ないw
↓
ならAIを使って4コマ漫画ができないか?
↓
ちょっと調べて試したが、AIで統一したキャラを安定して生成するのは難しいし、思うように微妙な表情を描き分けるのは難しい。表情が命の4コマ漫画はムリ
↓
それではラノベならどうか?挿絵を1話1枚程度入れるならできそう
↓
一度も小説文書いたことないし、ラノベをほとんど読んだこともない理系人間にラノベが書けるのか?
↓
AIに助けてもらって何とかならないか?
↓
じゃ、テストしてみよう!

ということで、考えて考えて必然的に追い込まれて書いてみることにしたものなのです。突然思いつきで書くことにしたんじゃないからねw
テスト開始の段階ではうまく書けるのかどうか半信半疑でした。


【2. 情報収集、事前確認事項】

①ラノベを書いている知り合いと会話したり、ChatGPTにオススメ、アドバイスをもらった。
紹介されたオススメ作品は、

ラノベとはどういうものか基本 → 涼宮ハルヒの憂鬱
重要とされる心理描写、スピード感のある書き方 → やはり俺の青春ラブコメはまちがっている
バンドもの → バンドリ

といっても、無課金おじさんなので、Wikipediaで登場人物、あらすじを見てみたのと、このサイト 

で最初の1-2話立ち読みしただけなんだけど。

それでも雰囲気はよくわかった。強く感じたのは2点。
・普通の口語では使わない気の利いた比喩表現を多用
→これはボカロ曲の作詞でも求められるので考えられそう。
・各シーンはセリフや心の中のつぶやきから始め、情景描写や心理描写を行い、背景や登場人物の説明はそのあとに回す
ダラダラ説明から入るとスピード感なくなりそうだから確かにそうだな。基本はその繰り返しで進めていく感じ。

そのほかの文体は、想像していたより普通の小説という感じ。
もっとマンガ寄りかと想像していたんだが。結構難しそうだ。

②ラノベ入門書、チュートリアルサイトを見て、執筆のポイントを抽出

驚いたのは、AIを活用したラノベ/小説執筆について実験、実践している人も多く、いろいろとネット上で公開されていたこと。それらもたくさん見てみて自分なりにポイントを抽出した。
が、書籍も含めその内容をここに書いてしまうと著作権違反になりかねないから非公開。
そもそも、作家によって目指す作風も違うし、作品で描きたいこと、伝えたいことも違うので、自分で見て自分でポイントを抽出し、感じ取るべきだろう。実際、今回のテストでこの工程が一番時間かかった。1週間以上。


③ラノベプロットの記述項目の決定
プロットとは、小説の仕様書みたいなもので、タイトル、あらすじ、登場人物、ターゲット読者、メッセージとして伝えたいこと、などが箇条書きか一覧表でまとめられたもの。
そういうものを作ってから執筆する、ということすらわかってなかったド素人だったと実感www
しかし、カチっとしたフォーム、項目が決まったものでもないらしいので、②の調査の中で、自分として書くべきものを決め、エクセルシートを作った。項目はこんな感じ
・タイトル
・ログライン(ひとことで何の話か説明すると)
・一行コンセプト(文庫本の帯などのあおり文句)
・登場人物
・あらすじ
・ターゲット読者層
・伝えたいメッセージ
・発表形式
・参考作品


④執筆テストの手順決定

まず、AIに何をやらせるのか、ということを明確ににした。
②の調査の結果から、プロットの情報だけを入れて、「さあ、おもしろいもの書いてみろ」というのは無理だろうと判断。
一話一話を短く切って、自分自身で執筆し、それをチェックして直させるのが現実的かなと。②で抽出した観点で見直すようプロンプトに入れる形。プロットも入れて全体を理解させた上で。
これと全く同じやり方をしている人は見受けられなかった。コレはボクの独自判断?かも。

ネットで見つけられなかっただけかもしれないがw


【3. テスト実施手順と中身(AI使用前)】

①プロット作成

以下の順序で考えていった。

ターゲット層=20代~30代のアニメ好き
・自分の曲を聞かせたいのだからソフトなバンドサウンドが好きで、
音声合成のVocalでも違和感のない層

↓
ログライン=社会人バンドで、メンバー達がいったんあきらめた夢を実現していく話
伝えたいメッセージ=いろんな事情でいったんあきらめた夢でも、仲間と力を合わせれば実現できる!
一行コンセプト=置き忘れた夢を取り戻そう!

オススメで読んだラノベは主人公もターゲットも学生。
そういうこともあって主人公が成長していく様を描き、読み手に夢を持たせるということが常道だと、知り合いのライターからも、ChatGPTからも言われた。
しかし、今回は主人公も読み手も社会人なのだ。それで「成長」がテーマとかいうのは違うんじゃないか?
むしろ、社会人になっている人の多くが、好きなことをあきらめて現実的に食べていける職業についているわけなので、そこに寄り添わないと共感は得られないんじゃないかと思う。

そういうことで、いったん音楽をあきらめたり、うまくいっていない人たちが集まって協力することで成功していく物語、にすることにした。

※おそらく、「初めてラノベを書くんだよね。やっぱ登場人物が成長していく様を描かないとラノベとしてダメなんじゃない」などとマウントをとってくるヤツがいっぱい現れるのではないかと思う。そういうヤツは鼻で笑って無視するのでよろしくw
それが業界の常識?なら、オレが覆してやるわwww

↓

タイトル: 大人なロックバンドがアニソンやったらカッコよくね?

おそらくコレは意外な組み合わせであり、プレーヤー側でコレを目指している人は少ないと思う。しかしリスナーでこの組み合わせが新鮮なものとして映る可能性はあると思った。
なので、思い切ってタイトルにしてしまうことにした。
そしてこのタイトルは、登場人物にセリフとして言わせる形にする。
作者が一般論で主張するより説得力を持って受け入れられることに期待。


↓

登場人物: 前回投稿: #375 テスト4 ラノベ作中の架空バンドの曲として発表する活動形式 

の3項に記述した通り。

何らかの事情で音楽をヤメていたり、うまくいっていなかった、という条件で考えた。
GUMIの声を使うし、主人公はVocalでカワイイ女の子にするのが自然だろうと。それならアイドル研究生をヤメてしまった子、という感じで安易に決定w

Keyboadは子育てで音楽やめていた女性、
ドラムスは路線対立でプロバンドを脱退した男性、
Guitarは親の反対と自分の根性不足でビビッてやめ、今もフラフラしている男性
そしてBassは自分をモデルに昔プロを目指したが芽が出なくてサラリーマンをやっている男性にした。

そしてそれに沿って
・現在の職業
・過去
・バンド加入の経緯
・ルックス
・性格 

をしっかり決めていった。
ここに書くとネタバレになるので非公開w。
物語の中で見え隠れしてくる形なのでお楽しみに。

名前はここで自分で決めたけど、苗字に関してはあるトリックが(非公開)。名前はVocal、Bass以外は適当。
↓

あらすじ:
この段階で練ったけど、これも書いたらネタバレなので非公開。
考え方は、
どういう経緯でバンドが結成され、メンバーが参加し、曲が作られていくのか丁寧に書く必要がある、と知り合いのライターからアドバイスを受けたので、それは素直に取り入れた。
また、どう考えてもカバーから先にやるんだろう、ということでオリジナルを作って出すのはかなり後に回した。もう出来てるんだが。

↓

発表先: 
当然、無料で小説が投稿できるサイトに上げるのだが、いろいろありすぎてどこにすべきかわからなかった。
なのでChatGPTに聞いてみた。条件として、

・挿絵イラストが貼れる。
・楽曲のYouTube Linkが貼れる。
・純文学よりラノベが中心。
・アニメ、漫画好きが集まる。(漫画、アニメ風のイラスト、表紙がウケる)

という条件でオススメを聞いてみた。
結果、いちばん押してきたPIXIVに素直に決めた。

見てみると横書き投稿なので、やりやすい感じがした。


②シーン分割
プロットの情報だけでいきなり文章を書けるかというとそれも無謀そうだと思った。前項の調査で見た限りではそこを具体的に書いたものは見当たらなかったので自分で考え、あらすじをベースにシーンに分割することにした。
まず、1話の単位でどこまで書くのかを決めるにあたり、1話の中で「起」「承」「転」「結」にあたる要素をエクセル表を作って書き出し、それを見てその回のタイトルをつける。極力、「起」はセリフか心の叫びで始まるようにし、すぐに他の登場人物の反応を持ってきて、そのあとで心理描写、状況説明と結果が続くので、「起」「転」「承」「結」の方がしっくりするかもしれない。
が、物語の自然な流れとスピード感のバランスなので、ケースバイケースで順番は柔軟に変えた。
このシーン分割表はいったん最後まで作った。後半がややスカスカなので今後膨らませる必要がありそうだ、という課題も認識できた。

③自力で本文執筆
ここでいったん、第一話、第二話を自力で執筆。
セリフや心の叫びの部分は、意外とサクっとできた。
漫画の感覚でノリで作れるということもあるが、ボカロの作詞を経験しているのも大きいと思うう。その経験がないとこれも簡単ではなかったかも。
問題は心理描写や比喩で、最初からカッコよく書くのは難しいだろう。
ここはAIに期待したいと思ったので、すぐ思いついたもの以外は深く考えず、物語の流れを中心にさくっと書き上げてしまった。
さらに主語述語の対応、助詞の使い方、話者が誰なのかわかりやすく表現するなど、本来であれば時間をかけて気を使うべきところもAIが直してくれることが期待できそうなので、ノーチェックに近い形で仕上げてしまった。


【4. AIアウトプット結果と修正】
やっと本題www
作った文章全部見せるとネタバレなので、前回チラ見せした部分に限って例示します。

第一話の最後の部分として、プロンプトに入れた自作文はコレ

---

ーーー私はオワコン?ーーー
コーヒーをすすりながら仕方なくパソコンを開けようとしたが、手が震えて止まってしまう。
ーーー私は何を目指して生きていけばいいの?ーーー
どよーんとした部屋の空気の中、メグミは服を着たままベットに倒れこんで目を閉じた。

---
ま、おかしくはないが、シンプルすぎるよね。小説というより曲の歌詞的な感じ。
でも作詞経験してたから初回でここまで書けたとも言えると思う。


そしてChatGPT 3.5が出してきた修正案がこれ。

---

コーヒーの香りが部屋に漂う中、メグミはカップを握りながら深いため息をつく。パソコンに手を伸ばすが、指が震えてキーボードに触れられない。

「私はオワコン……なの?」

部屋の空気は重く、時計の針の音が妙に耳に響く。メグミはコーヒーの残りを一口すすり、マグカップを置いた。そして、服を着たままベッドに倒れ込む。

ーーー私はこれから何を目指して生きていけばいいの?ーーー

目を閉じると、アイドル時代のステージの光景が一瞬だけ脳裏をよぎる。歓声、ライト、そしてあの頃の自分。けれど、それはすぐに闇に飲まれた。

外からは都会の喧騒が微かに聞こえるだけ。メグミはそんな音すら気に留めず、疲れた体をベッドに預け、意識を遠くに放った。

---
ツッコミどころ多すぎるくらいこのままじゃ使えないなと思った。
主要なものだけ書くと、
(1)全体的に比喩が足りない....
(2)コーヒーの香の話などやや冗長で文が長くなってリズム感を阻害している感じがする。
(3)キーボードじゃなくてまずマウスかパッドを使うと思う。(自分の歌みたの再生数の確認をしようとしてやめるシーンなので)
(4)「意識を遠くに放った」って表現はいまいち違和感...


が、非常にいい点もあった。
(1)元の文にない、アイドル時代のステージの光景の部分を指しはさんできたこと。これは、主人公が元アイドル研究生だったがうまくいかなかったことをプロットで書いておいたのをAIが理解してアレンジしてきたということ。
さすがAI! これには驚いた!表現はさておき、こういう提案をしてくれるなら使用価値十分あると思った。

(2)「私はオワコン……なの?」と「……」をさしはさんできたこと。
これも「認めたくないけどそうなの?」という絶望と不安が混じっている心情をよく表しているGood Job! 


なので、AIに修正案を出させた後、いいところは生かしつつ、ボクの特徴でもある、ボカロ歌詞的(ある意味中二病的)な比喩表現をガンガンぶち込むことで、最強の文章ができるんじゃないかと確信した!

そこでボク自身がいろいろ直してみたのが前回掲載したこの文章。

---
メグミはカップをすすりながら長く深いため息をつく。マウスに手を伸ばすも震えて進まず、結局ひっこめてしまう。

「私はもう、オワコン...なの?」  

重たすぎて止まったかのような部屋の時空。時計の秒針の音だけが拡声されているようだ。メグミはコーヒーをもう一口だけすすり、マグカップを置いた。そして、服を着たままスローモーションでベッドに倒れ込む。  

―――私はこれから何を目指して生きていけばいいの?―――  

目を閉じると、アイドル研究生時代のステージの光景が一瞬だけ脳裏をよぎる。歓声、ライト、そしてあの頃の輝いていた自分。けれどそれはもうモノクロでしか再生できなくなっていた。そしてすぐに闇に飲まれた。  

外からは都会の喧騒がほんの微か聞こえるだけ。精神的な疲れから悩んで眠れなくなることすらなかった。ベッドに預けた脱力した体。糸が切れたマリオネットは意識が遠のくのにそう時間はかからなかった。

---
どうだ!このAIに使われてるんじゃなくていいとこどりで使ってる感じ。
とくに最後の部分!
AIが追加してこなかったらこの部分は存在していない。AIの比喩表現はしょぼいが、ボカロPのボクならボカロ歌詞感のある比喩を追加修正し、完成させることができるのだ。見事な補完関係!!
AIとボカロPがやりとりしながらコラボできた、ということだ!

これでAIを活用すれば自力でラノベ執筆できそうだと確信した。


【5. 結論】

・AIを使ってラノベのクオリティを上げることはできる。が、下記条件がある
  - プロット、シーン分割を綿密に行った上で本文を自力で書く。
    (キャラ、ストーリーの流れは自力で綿密に設計)
  - AIには、プロットの情報をもとに表現、エピソードを追加して膨らませてくれる能力があるので、そこは期待できる。なのでプロットはしっかり作ることが前提
  - 一方でカッコよい比喩表現を加えるのはAIは苦手なので自力でやる覚悟が必要
→ボクの場合はボカロの歌詞を書く感覚で膨らませることはできるので大丈夫そう


ところでAIが登場する前の部分を、なぜこんなに長々と書いたかというと、
「決してAIに丸投げして作ったものではなく、考えに考え抜いていることなので、ボク自身の著作物と十分言える」ということを示しておきたかったからだ。
それから見ていただいてわかるとおり、かなりの根気が要求されると同時に、論理思考が組み立てられないとできない作業だ。やってみて、むしろ文系の人より理系の人の方が向いてるんじゃないかとさえ思う。「理系に生まれてよかったw」
さらに、どこにも示されていない手順を綿密に組み立てていく作業はITコンサルをやっていたからできたように思う。そういう人間がボカロ曲の作詞も経験して感覚をもってとりかかってるんだから、結構希少なんじゃないか?
最初はボクなんかにラノベ書けるのか?と思ってしまったが、実は自分に合った作業なんじゃないかとも思えてきた。
※調子に乗りすぎかwww
ボカロ歌詞感といっても、有名Pのようなレベルの高いものではないが、ラノベらしい感じにはなったと思うw

ということでラノベ連載をすることを決断、発表するに至りました。
がんばりますので応援してね!!


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