私はこれを買いました!

軽さと描写力を兼ね備えた望遠ズームレンズ

ニコン NIKKOR Z 70-180mm f/2.8(藤井智弘)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2024年に購入したアイテムを1つだけ紹介していただきました。(編集部)

新システムへの移行を決意

10年以上、メインのシステムだったニコンのデジタル一眼レフカメラ。現在でも十分実用的ではありますが、フォーカスエリアが狭く、被写体認識AFやボディ内手ブレ補正が欲しいこともあって、ようやくミラーレスカメラへの移行を決断しました。

とはいえ、システムを丸ごと変更できるほど予算はありません。そこで、まずはアダプターのFTZ IIでFマウントレンズの資産を生かしながら、徐々にZマウントへの移行を決めました。

ところが私は、いわゆるサードパーティー製のレンズもよく使っていて、FTZ IIに装着するとAFが動かないものも多く、どうしたものかと検討していました。特に悩んだのが望遠ズーム。NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sは、性能が高いのはわかりますが、大きくて重く、とても高価。街歩きが多い自分に向いているとは思えませんでした。

そして昨年に登場したもう1本の望遠ズームレンズ、NIKKOR Z 70-180mm f/2.8を見ると、コンパクトで軽く、価格もお手頃。とても魅力的ですが、Sラインではないため、今度は描写性能に不安がありました。

悩むこと数か月。舞台撮影の仕事が入り、望遠ズームが必要なため決断を急ぐ必要がありました。予算的にも大きさ、重さも70-180mmが合っていると判断。しかもキャッシュバックキャンペーンの期間中ではないですか。NIKKOR Z 70-180mm f/2.8をついにゲットしました。

実際手にするとF2.8通しとは思えないほど小型で、ズーミングしても全長の変化も少なく扱いやすい。高い機動力は、街で望遠スナップを撮るときも威力を発揮します。心配だった描写性能も、丸ボケが画面周辺でレモン型になりやすいものの、解像力は不満なし。絞り開放からシャープな画質が得られます。近接撮影も強くテレコンにも対応。想像以上に満足できるレンズでした。

1980年代前半は50mmレンズ付きで一眼レフカメラを手に入れると、2本目は70-210mmクラスの望遠ズームレンズを選ぶのが一般的でした。NIKKOR Z 70-180mm f/2.8をヘリテージデザインのニコンZfに装着すると、まだビギナーだったその頃を思い出し、より新鮮な気持ちで被写体と向き合えるような気がしています。

洋館の下を歩いていると、室内に設置されたレトロな雰囲気のランプを見つけ180mm側で撮影。小型軽量なので、こうしたシーンにも素早く対応できました。すっかり気に入って、望遠スナップの作品が増えていきそうです。
ニコン Zf/NIKKOR Z 70-180mm f/2.8/180mm/マニュアル露出(1/60秒、F2.8)/ISO 100/WB:オート

近況報告

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(ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になり、カメラ専門誌を中心に活動。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。