1968年生まれ。建築関係の翻訳などを手がけている。
(最終更新:2009年3月31日)
[論考]
日本を訪れた者は、現代の日本の都市はカオスであり、中には実にすばらしい建築があるにもかかわらず、全体的に美しくデザインされていないと感じるはずだ。 これは最近の意見ではなく、早くも一九三六年にブルーノ・タウトが述べたものである★一。日本の都市空間を理解せずに西洋の理論を押し付け、日本の都市環境を「改善」しようと試み...
『10+1』 No.20 (言説としての日本近代建築) | pp.143-148
[論考]
ゲートで閉ざされるアメリカン・マインド アメリカにおいてハウジングや教育、公共交通機関や宿泊施設など、あらゆる場での差別が法的に禁じられてからすでに三〇年以上が経過している。しかし今日、われわれは差別の新しい形を目の当たりにしている。それはゲート(門)と壁で区切られたプライヴェートなコミュニティだ。アメリカ人は私的領域...
『10+1』 No.18 (住宅建築スタディ──住むことと建てることの現在) | pp.194-204
[批評]
「現在最も熱狂的に受け入れられている建築理論と言えば、「他者」と「他者性」というコンセプトである。『Assemblage』、『ANY』などの出版物や、プリンストン、コロンビア、SCI-Arc、AAスクールといった建築教育機関と関わりをもつことの多い、いわゆるネオ・アヴァンギャルドと呼ばれる建築家と批評家は、何らかのかた...
『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.188-205
[批評]
これまで「細部(ディテール)に神が宿る」という金言は、建築の世界ではミース・ファン・デル・ローエの言葉と考えられてきた★一。しかしミースの参照源であるかもしれないドイツ語「Der liebe Gott stcekt in Detail(細部に神が宿る)」は、アビー・ワールブルクが美術史研究における聖像学(イコノグラフィ...
『10+1』 No.16 (ディテールの思考──テクトニクス/ミニマリズム/装飾主義) | pp.90-101
[翻訳]
一九八八年、ニューヨーク現代美術館(MoMA)は、最新の建築潮流としてディコンストラクティヴィスムの展覧会を開催した。一九三二年の「近代建築」展以来、MoMAの建築展はすべて重要なサインとして、そこで扱われた建築運動や潮流の意義を保証し、公認するものと見なされてきた。また「近代建築」展で最初の成功をおさめたフィリップ・...
『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.181-191
[論考]
ヨーロッパにとって、二〇世紀最後の二〇年間は混迷の時代であった。東欧の共産政権の崩壊、東西ドイツの再統合、欧州連合(EU)内部での統一の加速、バルカン諸国の戦争などによって、まったく新しい政治的ランドスケープが形成されたのだ。 時を同じくして経済情勢も変化した。現在でもヨーロッパには、かつての「鉄のカーテン」によく似た...
『10+1』 No.22 (建築2001──40のナビゲーション) | pp.74-77
[キーワード]
連続と切断の言語風景── 1990年代の都市と建築をめぐって 南泰裕 たったいま終わりを告げたばかりの、1990年代の都市と建築を切り出して、「何かが確実に変わ...ル・スナイダー「分断せよ、さらば滅びん」(佐藤美紀訳、『10+1』No.18、同)などが挙げられる。 ★16...
『10+1』 No.19 (都市/建築クロニクル 1990-2000) | pp.68-87