七五調 ポータルZ はじまるよ 2024年4月1日

卒論を 妻に焼かれし 天心の こころ知りたし 己も燃やす

明治期の 美術界にて 名を馳せた、 岡倉の 天心またの名 覚三は、 大学生の ある折に 妻といさかい 提出の 間近となりし 卒論を、 燃やされしとぞ 聞こえける。

その心 我が身のことと してみたく、 我がこい人に 燃やしてもらうー。

大阪で生まれ育ちました。工作と漢字が好きです。チェキで盆栽を撮影したり、豆腐を千切りしたりしています。

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天心の 今も轟く 武勇伝 ​

大学で 美術の歴史 学ぶ頃、天心の書 ひもとけば、 かくエピソード ふと見つけたり

かくエピソード  ふと見つけたり
 

天心の 頃にパソコン あるべくもなく、 原稿用紙に 手で書き込めり。

細切れの 下書きこそあれ 完全な バックアップは なしとぞ思ふ。

テーマ異なる 論文を 二週間にて 書き下ろす、かく離れ業 クラクラしけり。 

あまりにも 胸騒ぎたる 武勇伝、「そらごとならん」と、思いきや

天心の 息子・一雄が 書きとめし 『父天心』(1939年、聖文閣)の 一節に、

「天心が ふた月かけて 書き上げし、卒論、名をば、「国家論」、妻との喧嘩が 引き金に、あとかたもなく 焼かれたり。」


 

「天心が ふた月かけて 書き上げし、卒論、名をば、「国家論」、妻との喧嘩が 引き金に、あとかたもなく 焼かれたり。」
「晩年に 酒杯かたむけ 天心は かく思い出を 語りけり」とぞ

 年老いし 酒の席での 回顧にて、「まことなるか」 と思えども、 天心の 享年 五十と 若ければ、 記憶ちがいは 少なかるべし。

新しき 論文その名も『美術論』、 わずか二週で 書き終えり。 成績は 尻から数え 二番目と。

そののちに 天心おのれの なりわいを、 美術の道に 定めたり。

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「燃やされまほし」 

天心の、かく武勇伝 聞きしより、

奇怪なる かような思い えさらぬなり。

ただならぬ 怒り・絶望 さもありなん 異なる情も もしや湧きけん。

かく願い 抱いて5年、本年は 修士論文 提出のとき。

こい人の 四谷くんに 頼み込む。 「わが論文を 燃やしてくれ」とー。

二つ返事で 引き受けり
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あかあかと 燃ゆる論文 

わが修論 灰にぞせんと 思えども、 われ卒業すべき 齢にて、バックアップを 用意して、紙の文書 焚くこととせん。

(されば戸惑う ことなかれ。 ガチ燃やし、見まほしき人には 面目ぞなき)

夕闇の 野にあつまりて 火を灯す。 8万文字の 我が論文、

サクッと燃やす 四谷くん。

いささかの ためらいもなき 燃やしぶり、目の前にして、

立ち尽くすなり。

幾星霜の 研究が、かくもたやすく 燃えるとは・・・

書いては消して 繰り返し、三年かけて 練り上げた、文章パチパチ 音立てて、火の粉ふきあげ消ゆるなり。

されどわが身に 去来する 「いとあわれなり」と いう心。  

おののきし 心地もいつか かの炎 愛づる思いに 変わりにけりな

天心は 燃ゆる卒論 目の前に おおわらわにて 取りいだしけん。 われもいざ、 白き一枚 引き抜けば、

万事休す・・・

もはや文字追う こともむずかし

せん方なし、燃ゆる修論 あたたかし
火もいつか ゆるびもていき 残りしは いささかわろき 白き灰なり

8万文字は 煙となりぬ。

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あなおそろしや

天心は 自らの手で したためたる 論文燃ゆるを 見しとなん。 バックアップの あるわれは、 かれの焦りの みなまでを、え心得ずと 言うほかはなし。

天心が 真の心を 知りたくば 「データクラッシュ」 こればかりなり。

おそろしや データクラッシュ あなおそろしや

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