漫画を作品ごとに株式公開したら面白い作品が増えるのではないのか

最近出版業界について考えることが多いのだけれど、面白い漫画でも人気の出ない漫画は打ち切りになってしまうというのをどうにか回避できないものだろうか。面白い漫画というものは二種類あって、少年漫画に多いように第一話からイベント続きで常にテンションを維持して面白いというものと、最終的に物語の終着点に向かって伏線を張り巡らせて漫画全体として見たときに完成されて面白いというものがある。前者は少年漫画に多いと書いたのだけれど、正確に言うのなら後者のような漫画は少年誌ではすぐに打ち切られて生き残れないから、少年漫画は前者のようになってしまうのだ。この二つの条件を満たす漫画が一番良いのだけれども、なかなかそう見つからないだろう(思いついたのは「鋼の錬金術師」くらい)。


僕はどちらかというと物語全体として完成されていくような漫画が好きで、新井秀樹とか浦沢直樹なんかを好んで読むのだけれども、彼らの漫画を、例えば週刊少年ジャンプなどで連載しようものならば、10週も連載できるかわからない。彼らの漫画はお膳立てが済んだ後半から息もつかぬほど加速していき面白くなっていくというような漫画で、はじめの何話かはむしろつまらないのだ。しかし、その撒き餌をしているつまらない部分で打ち切られてしまったという残念な漫画が世の中にはたくさんあると思う。


だから、漫画を作品ごとに株式公開するのはどうだろうか。読者が面白くなりそうと思う漫画の株を買う。そしてその漫画が結果的に面白くなり単行本が売れるようになると株主にも配当が返ってくる。当然、まだ面白くはない頃の株を買ってもらうことで、漫画家としての生活費が稼げるのでその作品を終わらせること無く続けることができる。世に出にくいけれども面白いというような漫画がどんどん出てくると思う。


連載漫画はネットに無料で公開すれば良いと思う。誰もが投稿できるとなると良質の漫画が石の中に埋もれてしまうので、一定の基準を満たした漫画なら連載できるようにして、一定の株式が集まった漫画から単行本化して売っていく。そこで売れれば作者は安定した収入で漫画を続けることができるし、株主も漫画を読み続けることが出来るしさらには配当までもらうことが出来る。


これまでの漫画業界は、読者がどれだけいるのかにかかわらず人気しだいで打ち切っていた。しかし、人気がない漫画であっても読者というものはいる。今まで出版社が打ち切るかどうかを決めていたものを、読者と漫画家の努力で打ち切りが決まるようにする株式公開システムは現状を改善すると思う。


最近の漫画を読んでいると出版業界は今ターニングポイントにきているのだと思う。