2007年の新聞広告費は全米で9.4%減。1950年に新聞広告費統計を取り始めて以来、最大の減少だそうです。
・・・というニュースを読む前に書いたアメリカの新聞の凋落に関するコラム。日経産業向けだったんですが、「あまりにも救いがない内容なので、もうちょっと緩和した書き方にして欲しい」と言われたので、では・・ということでボツにしていただきました。書き直すのって好きじゃないんですよねぇ。面倒ですし。以下本文でございます。
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アメリカの新聞の凋落が激しい。ニューヨークタイムズ等、メジャー14社の企業価値は、2004年からの3年間で合計230億ドル、42%が失われた。世の平均株価が2割近く上昇する中での下落である。
シリコンバレーの中核紙、サンノゼマーキュリーでは、2000年からの3年間で求人広告収入が1億2千万ドルから1800万ドルに激減した。2000年から2007年にかけて、相次ぐレイオフでスタッフは半減している。ニューヨークタイムズでも、数年間の雇用凍結に続き、1300人の編集スタッフのうち100人を削減することが2月に発表された。
凋落の理由は広告収入の減少。広告が紙媒体からオンラインに移行するのは以前から言われていたことだが、ここ1年ほどその傾向が加速している。特に求人広告や不動産広告といった、従来米国の新聞の重要な収入源だった領域がオンラインに奪われていることが大きい。地域によっては、去年1年間だけで不動産広告収入が二割以上下落した新聞もある。
もちろん、新聞側も手をこまねいているわけではない。たとえば、オンライン化に意欲的なニューヨークタイムズは、頭打ちの有料会員制から広告収入専門に移行するため、一時的な収入減を招く全文記事のオンライン無料化を敢行、SNS大手フェースブックとのリンクを強めたり、コンテンツサイトのAbout.comを買収するなど、様々な手を売っている。さらに2月には、ハースト、トリビューンなど他紙と共同で、各社のサイトに広告を配信する共同事業、クワドラント・ワンも始めた。120の新聞のサイトをカバーし、総計5千万人にリーチする大ネットワークである。
しかし、それだけの試みをしているニューヨークタイムズですら広告収入はジリ貧だ。読者数は、紙媒体の110万人と比べオンラインは750万人に達するにもかかわらず、収入の9割は未だ紙媒体からのもの。そして、オンラインの収入が増えるより速いペースで紙媒体の収入が減少している。今年1月時点では、トータルの広告収入は前年比10%減だった。
新聞社が失った広告費の多くは、インターネット専業企業に流れている。グーグル一社だけでも年商は166億ドルと2兆円近い。この全てが新聞広告からきたものではないが、それにしてもインパクトは当然ある。
そして、さらに問題を深刻にしているのは、メディアに流れる広告費のパイ全体が減少しているのではないかということ。
従来、広告は「半分は無駄だが、どの半分が無駄なのかわかないから全部続けるしかない」と言われてきた。しかし、インターネットだったらクリックスルー等で、より具体的に成果がわかる。結果として、広告の無駄を省ける。従来の半分のコストで同じ成果が出るのであれば、無理して同じ広告費を使う必要はない。浮いた分の広告費は、より多機能な自社サイトの構築など、従来型の媒体広告以外の分野に流れてしまうものも多い。たとえばナイキ社では、広告支出に占める媒体広告の割合は、10年前の55%から33%まで減少した。その代わりに、直接ユーザーが運動の成果をアップロードできるサイトなど、ユーザーとの継続的な対話でロイヤリティをあげる「エンゲージメント・マーケティング」に力を入れている。
つまり「記事を書いて読ませる」という伝統的な新聞のビジネスモデルをオンラインに移しただけではどうにもならない根本的な問題が発生しているのである。新聞業界がこの構造変化をどう乗り切るかの答えは未だ出ていない。アメリカでは寄付で成立しているテレビ局やラジオ局があるが、新聞も同様のNPO化が生き残りの道では、とまでささやかれる昨今である。
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確かに、あまりに救いがない書き方だったかな。日経産業さんすみません。なお、原稿としては、
「アメリカの新聞業界は、大変だけどみんながんばってるよ」
みたいな感じだったらOKだったみたいなんですが、がんばるくらいではどうにもならない状況かと。今後淘汰が進み、全米で3紙
くらいしか残らないんじゃないでしょうか。Wall Street JournalとNew York TimesとUSA Todayとかかなぁ。
とはいうもののまじめなジャーナリズムには金がかかるわけで、それをどこから取ってくるか、というのは大問題なんですな。で、NPOという話しもありかと。一紙くらいはNPO化で優良新聞が残れるんじゃないかと思います。
それにしても新聞受難の時代。個人的には朝おもむろに紙の新聞を読むのが好きなんですが。
参考:
Newspapers’ Fab 2007: $11 Billion of Market Value Vaporized
広告費そのものが減っている。
これが重要ですね。
ピンポイント攻撃、範囲が指定が出来るということですから。
それにしても、日経産業、何を考えているのでしょうか?
誰に遠慮しているのでしょうかね。
たぶん読者ではないですよね・・・
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とゆうような旬の内容深いものををボツと称して、無料で読めるようにしてしまうことが、記事(編集)と広告の境目をなくしつつあるのではないでしょうか。ww
この場合仮想広告主は、
Wall Street JournalとNew York TimesとUSA Todayと。。
でも現状筆者には報酬が入りにくいわけで、 モバイルでダウンロード課金購読とか(携帯の小さい画面で読ませるという意味ではなく)中和的解決接点は3Gモバイルでの情報サブスクリプションにあるのでは。。。
日本のモバイルはまだまだ おこちゃま仕様で 全然ですが。。
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マーキュリー、ついに週末だけ届けてもらう購読に切り替えてしまいました。
NYタイムズも最近国際ニュースで読み応えのある記事がほとんど無いと思っていたのですが、きっと海外特派員とかお金のかかるスタッフはばっさり切られているのでしょうね。。。
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s/こまねいて/こまぬいて/
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こんにちは、初めまして。
ネットでCGMサービスをやっているものです。
突然で恐縮なのですが、エントリで触れられている「メディア企業のNPO化」について、もし有用なリソースなどあればご教示いただけないでしょうか。
新聞社のビジネスモデルの構造変化については「答えはまだない」とのことですが、ヒントになるような事例でも結構です。
私もメディアの生き残りの道として、NPOは一つの解だと思っているのですが、手がかりになるような情報にたどり着けていません。
もしご教示いただければ幸甚です。
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chikaです。
>日本のモバイルはまだまだ おこちゃま仕様で 全然
アメリカのモバイルはもっとまだまだですが・・・w
>海外特派員とかお金のかかるスタッフはばっさり切られて
イラクも減ってるらしいですね・・。うーん、こまったことです。
>メディア企業のNPO化
NPOラジオ
http://www.npr.org/
NPOテレビ
http://www.pbs.org/
NPRへの2億ドルの寄付の話
http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A6973-2003Nov6?language=printer
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intelswimmer さん
事例としては、オーマイニュース、日本インターネット新聞、J-CASTなどが参考になりますよ。
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chikaさん、情報のご提供ありがとうございます。とても参考になりました。
やはりメディアのNPO化には、アメリカのような philanthropy 文化が必要そうですね。日本の場合はちょっとサービス側にも工夫が必要そうな気がします。
>NPOさん
ありがとうございます。市民記者系、ネット取材系も確かにモデルとしてはアリなのかなと思いますが、どこも経営は厳しそうですね。
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紙 vs ネットという話もありますけど、フリーペーパーの台頭も影響があるんじゃないでしょうか。
アメリカでもヨーロッパでも電車に乗るとみんなフリーペーパーを読んでいる気がします。
なぜか日本だけはせいぜいR25くらいで、日刊の有力なフリーペーパーがないですね。
まあ、ジャーナリストを保護するよりは、情報公開を進める形で言論の自由を守っていく方が効率的なのかもしれないですし、世界的に新聞社は小さくなっていく方向なのでしょう。
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日本の新聞も広告減少に悩んでいるようですね。
http://japan.cnet.com/blog/soyo/2009/02/09/entry_27020157/?ref=rss
田舎に住んでいますので、毎日のチラシの数で販売店は元気がいいのかな?とか思ったりしてますが、全国紙に全面広告が増えた背景など想像すると新聞店が、チラシとフリーペーパーを勝手に突っ込んでくるような時代が来るのでしょうか?
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ちょっと古くなりましたが、
リクルートがエリア拡大する番組表無料宅配に新聞業界激震という記事。
http://diamond.jp/series/inside_e/09_04_25_003/
でもね、こういう意見もあって、
http://diamond.jp/series/inside_e/09_04_25_003/
週刊化するとかでなくても、新聞社の収益構造(ビジネスモデルも?)は変えなきゃならないかもしれないけど紙のアドヴァンテージは大きいと思うです。
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