日本文学

梅崎春生「桜島」感想 1946年

桜島作者: 梅崎春生発売日: 2016/02/02メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 最近読んだ小説のなかで一番うまい、という文章をネットでみて読んでみることにした。おもしろかった。戦争中の桜島で、暗号解読をする兵士が主人公。緊迫した状況と、死…

太宰治「人間失格」感想 1948年

中学生くらいのときに一度読んだことがある。だから再読なのかな。改めてみると「人間失格」っていうタイトルはくそいいな。 この主人公、大庭葉蔵に共感できるかできないかで言ったら、僕はできない方になるんだけど、第一の手記の冒頭はすごくわかる。 汽…

田山花袋「蒲団」雑感想 1907年

読まないとして名は聞いたことある小説が多い。「蒲団」なんていうのはその代表格ではないだろうか。蒲団をくんかくんかする変態おっさんの小説として有名である。ぼくも変態おっさんの話だと思っていた。 しかし、読んでみたら違った。 おっさん自体は変態…

福永信「コップとコッペパン」感想

コップとコッペパンとペン作者: 福永信出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 29回この商品を含むブログ (47件) を見る 読者は小説を読むとき何かしらの手がかりを持って読むものだと思う。馴染みやすいところで…

上田三四二『花衣』感想 1982年

花衣 (講談社文芸文庫)作者: 上田三四二,古屋健三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/07/10メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る(私が読んだのは単行本です。引用も単行本のページになります) ネットで見ると、この本は連作短…

多和田葉子「犬婿入り」感想 1992年

犬婿入り (講談社文庫)作者: 多和田葉子出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/10/15メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (60件) を見る 「犬婿入り」を読んで、読者がつまずくとしたら最初の二ページだと思う。一文が長く、視線が安…

富岡多恵子「芻狗」感想 1974年

波うつ土地・芻狗 (講談社文芸文庫)作者: 富岡多恵子,加藤典洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 1988/07/04メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (12件) を見る 木下古栗のインタビューを読んでいたら、富岡多恵子の「芻狗」を紹介していて、読…