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写真で見る 日産新型「リーフ」(2025年フルモデルチェンジ)

新型リーフ。右が上位グレードのB7 Gでボディカラーはルミナスターコイズ/スーパーブラックの2トーン。左はB7 Xでボディカラーはプリズムホワイト/スーパーブラックの2トーン

 日産自動車「リーフ」は2010年にデビューしたバッテリEV(電気自動車)。この秋発表となる新型は3代目となり、初代から積み重ねられてきた知見と経験を最大限に生かして開発されたモデルになるという。今回は78kWhのバッテリを搭載する上位仕様「B7」を紹介する。追って、55kWhのバッテリを搭載するベーシック仕様「B5」も用意される(2026年2月頃を予定)。

 リーフの歴史をさかのぼってみると、初代モデルは前記したように量産100%EVとして2010年に登場。バッテリ容量は当初24kWhのみだったが、マイナーチェンジ時に30kWhモデルが追加されている。航続距離は24kWhモデルが当初200km(JC08モード)とされていたがマイナーチェンジによるパワートレインの刷新で228km(JC08モード)まで向上。30kWhモデルは280km(JC08モード)。2017年には2代目モデルへとバトンタッチ。バッテリ容量は標準モデルで40kWhへとアップされ航続距離は322km(WLTCモード)/400km(JC08モード)に。その後、新開発の「e-パワートレイン」を採用してパフォーマンスと航続距離を向上させた「リーフ e+」を投入。バッテリ容量が62kWhへと大幅にアップされたこともあり、航続距離は458km(WLTCモード)/570km(JC08モード)となった。こうして継続的にパフォーマンスアップが続けられていることもあり、販売台数は2018年に30万台(うち国内10万台)を超え、現在では70万台(うち国内18万台)を数えている。

 3代目となる新型は「気持ちよくドライブできる」「誰もが安心して乗れる」ことを目指して開発。外観はこれまでのハッチバックからファストバックのクロスオーバースタイルに変更してイメージを一新。「アリア」と同じ「CMF-EV」プラットフォームを採用しつつも、ボディサイズは4360×1810×1550mm(全長×全幅×全高)と非常にコンパクトに収められた。先代モデルと比較すると120mmも全長は短くなり、車幅は20mm広くなった。ボディサイズと比較するとホイールベースは2690mmと長いものの最小回転半径は5.3mと扱いやすい数値だ。このスタイリング変更は空力を意識したもので、フラットなアンダーフロアや格納式ドアハンドル、ホイールなどとの組み合わせによりCd値(空気抵抗係数)0.26を実現し、燃費(電費)および航続可能距離の向上に貢献している。

撮影車両はB7 X。ボディカラーはプリズムホワイト/スーパーブラックの2トーン。数字上はコンパクトクラスだが実車を目の前にするとミドルサイズに感じられるボリューム感がある
従来の日産車とは異なるフィロソフィーが感じられるフロント&リア。フロントはヘッドライトから下へと延びる6つの長方形シグネチャーランプが特徴的
ホイールベースは2690mm、最低地上高は135mm、車両重量は1880(B7 Gは1920)kg。最小回転半径は5.3m
フロントのドアハンドルは電動格納式に。リアはピラー部にビルトインされた形状
全車メーカーオプションのプロパイロット2.0はルーフ後端のシャークフィンアンテナが2本に
LEDヘッドライトが標準
リアコンビネーションランプはボディ部分のみが点灯
B7 GはアダプティブLEDヘッドライトを採用。加えて左右を繋ぐセンターLEDアクセントランプが追加になる
B7 Gのリアコンビランプは世界初となるLEDリアコンビネーションランプ(3Dホログラム)を採用
点灯時。日産をイメージした「II三(ニッサン)パターン」となる
奥行きがあるように見えるが実際は1枚のプレートで表現されている。光源もLED2灯/ブロックのみと消費電力低減にも貢献。仕組みとしてはある有名アニメを題材とした“遊技機”にも採用されているというから見たことがある人もいるかも
B7 Xは18インチアルミホイールが標準。タイヤサイズは215/55R18
B7 Gは19インチアルミホイールが標準。タイヤサイズは235/45R19

 パワートレインは前述したようにモーターとインバータ、減速機を一体にした「3-in-1」構造の第3世代に進化。バッテリは78kWhとこれまでで最大の容量を持つものを搭載しており、最高出力160kW(218PS)、最大トルク355Nm(36.2kgm)を発生する。駆動方式は2WD(FF)のみの設定となる。

モーターとインバータ、減速機を一体にした3-in-1電動パワートレイン。上部がインバータ、その下がモーター、横に出ている丸い部分が減速機になる

 気になる一充電走行距離はWLTCモードでなんと702km(B7 X)/685km(B7 G)。これは大容量バッテリの搭載や空気抵抗の削減はもちろん、これまで外気に放出していたバッテリやモーターなどが発生する熱を回収しムダなく活用することでクルマ全体の熱エネルギー効率をアップすることで実現。同時に充電に関しても150kW充電に対応したほか温度管理の最適化などにより効率をアップ。150kW充電器利用時にバッテリ残量10%から80%まで回復させる際、先代モデル(60kWh)では約50分を要していたのに対し新型では約35分まで短縮。航続距離の延長と充電時間の短縮により実用性を大きく向上しているのだ。容量アップしたバッテリは充電ポートに「AC外部給電コネクター」を接続することで、ドアロック状態でも1500Wが利用できるため災害時やアウトドアでも活用が可能。従来通り「V2H(Vehicle to Home)」にも対応している。

充電ポートはフロントのフェンダー部分に配置。左サイドに急速充電用のCHAdeMO(チャデモ)。最大150kWまで対応する
右サイドが普通充電用(〜6kW)
普通充電口にAC外部給電コネクターを接続することで1500Wまでの利用が可能

 気持ちの良さという面でも第3世代パワートレインが寄与する。3-in-1化によりユニット全体の容量を10%削減するとともに剛性をアップ。内蔵する「YM52」モーターは4%のトルクアップを実現しつつ構造の見直しにより振動を低減。また、小型化したユニットを載せるサスペンションメンバの開口部を縮小しつつマウント用ブラケットも小型化。その一方でマウント部のインシュレーターは大型化するなど、パワートレインまわりでの振動を抑えるべくさまざまな手段が講じられている。そのほか走りの面ではCMF-EVプラットフォームの採用によりボディ剛性を86%向上したほかステアリング剛性を48%向上、さらにリアサスペンションをトーションビームからマルチリンクに変更。そのうえで日本の使用環境に合わせたチューニングが行なわれるなど走りの質も高められている。

リアサスペンションはマルチリンクに。底面は凸凹が少ないフラットな形状にカバーされている
サスペンションにもカバーが付く
ジャッキアップポイントもカバー付。使用時は黄色のネジを回してカバーを外す

 車内はバッテリEVならではのフラットなフロアと余裕のある足下空間が特徴。水平基調のインパネはすっきりとした造形で、中央にメーターやディスプレイ、エアコンパネルなどを配置したフローティングデザインを採用。全体的に過度なデザインや物理ボタンを少なくしたミニマルな雰囲気となる。また、オプションの「調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)」を装着することで、より解放感のあるキャビンを楽しむことが可能だ。このガラスルーフは2枚のガラスの間に調光用のフィルムを挟み込んだ構造で、スイッチ操作で透明〜半透明に変化させることが可能。透明時においても赤外線反射コーティングなどにより車内の温度上昇を抑えることが可能なスグレモノだ。

 先進安全装備はインテリジェントルームミラーやドライブレコーダー、クルマ周囲を確認できるインテリジェント アラウンドビューモニターなどを標準装備。日産ならではの「プロパイロット2.0」にもオプションで対応している。12.3インチのワイドモニターを採用するインフォテイメントシステムは先に登場した「エクストレイル」などと同様のGoogle搭載「NissanConnect インフォテイメントシステム」を採用。「Google マップ」「Googleアシスタント」「Google Play」に対応するほか、Google マップのルート探索ではバッテリ残量や充電スポットの出力や空き状況まで加味したルート設定が可能となっている。

すっきりとしたインパネまわり。室内色はB7 Xはブラックとグレー、B7 Gはブラックとホワイト/ブルーパールのそれぞれ2色が用意される
B7 Xのステアリング。スポーク部のボタンはタッチ&ダイヤル式。オプションのプロパイロット2.0を装着しているので操作ボタンが左側のスポークに配置されている
こちらはB7 G。ボタン類は基本的にB7 Xと同様だが回生ブレーキコントロール用のパドルが追加となっている
インパネ中央にシフトボタンやドライブモードセレクターなどの運転系の操作を集約。キズや指紋が目立つことからピアノブラックではなくマット仕上げにしたという。すぐ上のボリュームなどのスイッチ類も同様の仕上げにしてほしいかも?
ドライブモードは「ECO」「STANDARD」「SPORT」に加えてオリジナルの設定が可能な「PERSONAL」を用意
PERSONALでは「パワートレイン」「回生ブレーキ」「ステアリング」を好みに応じて設定可能
メーターは12.3インチの大型液晶を採用
メーターは12.3インチの大型液晶を採用し各種表示の切り替えが可能
パワートレインの小型化もありペダルを含め足下まわりはすっきり広々
ステアリングコラム右側のスイッチ群
インパネ中央にはNissanConnect インフォテイメントシステム用の12.3インチディスプレイとエアコン用のタッチスイッチ。手を置いて操作しやすいように下部が張り出したデザインとしている
ホーム画面では車両状態や地図画面を並べて表示可能
さまざまなアプリが用意されている。「Play ストア」も利用可能
目的地を設定すると充電ポイントを加味したルートを探索してくれる
充電ポイントの詳細情報も確認できる
運転席と助手席の間にはカップホルダー付のコンソール。USBタイプC端子も用意
後方にはqi対応の非接触充電器。スマホが入っている部分はフタ付の収納
インパネ下部にもフタ付の収納がある
フロントシート頭上にはサングラスホルダーやマップランプ、SOSボタンなどを配置。後方には調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)のスイッチも
広い面積を持つ調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)。写真は後方からLEAFの文字あたりまで半透明とした状態
ゆったりとしたフロントシート
運転席ドアトリム
アームレスト部にはパワーウィンドウなどのスイッチ。ピアノブラックのためシボが反射して妙な見え具合になっている
分割可倒式のリアシート。中央には収納式のアームレストを装備
センターコンソールの後端にはエアコンの吹き出し口とともにシートヒーターやUSBタイプC端子を用意。シートヒーターはオプションの「寒冷地仕様 ホットプラスパッケージ」によるもの
さらに下には1500Wまで対応のAC100Vコンセント。こちらもオプション
B7 Gのフロントシート
ヘッドレストを含め10個のスピーカーからなるBOSEパーソナルプラスサウンドシステムを標準装備
B7 Gのリアシート
ディーラーオプションの「フレキシブルラゲッジボード」を装着した状態のラゲッジスペース。リアシートを前倒しにすればフラットな収納スペースが誕生
標準だと段差がある
フレキシブルラゲッジボードは仕切りとしても利用可能
ラゲッジにもAC100Vコンセント。センターコンソールとセットでのオプションになる

 ボディカラーはルーフを「スーパーブラック」とした2トーンが「プリズムホワイト」「ディープクリムゾン」「ルミナスターコイズ」の3色。モノトーンはプリズムホワイトのほか「シェルブロンド」「ダークメタルグレー」「ミッドナイトブラック」「ディープオーシャンブルー」の5色が用意される。

 グレードは「B7 X」と上位モデルの「B7 G」の2タイプ。LEDヘッドライトや電動格納式ドアハンドルなどは標準で、B7 Gは19インチタイヤ&アルミホイールのほか10スピーカーの「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」、リモコンオートバックドアなどが追加で標準装備となる。なお、前述したようにバッテリ容量が少ないB5が追加される予定。価格はB7 Xが518万8700円、B7 Gが599万9400円。B5は「より多くのお客様がお求めやすい価格を予定」しているという。

オプション装着車

 3色のカラーを用意するプロテクターなど内外装を彩る専用アクセサリーが用意される。数多くの中から一部を紹介する。

フロントアンダープロテクター、サイドアンダープロテクター、リアアンダープロテクターなどを装着した状態。カラーはマットダークシルバー。このほかにブリリアントシルバー、グロスブラックが用意されている
照明を内蔵したイルミラゲッジスカッフプレート。バンパー部にはロゴ入りのリアバンパープロテクションフィルムも

LEAF AUTECH

 B7 Gグレードをベースに専用パーツを採用し上級感を高めたオーテックモデルも登場。外観では随所にメタル調フィニッシュのパーツを配するほか専用19インチアルミホイールを装着。内装では刺繍入りのブラックテーラーフィットシートをはじめステアリングやシートベルトなども専用アイテムとなる。

LEAF AUTECH。撮影車両のボディカラーはディープオーシャンブルー/スーパーブラックの2トーン
専用19インチアルミホイール
ステアリングはブルーステッチの専用テーラーフィット巻
インストパッドもブルーパイピングとブルーステッチが施された専用アイテム
シートも刺繍やブルーステッチが施されたブラックタイプに