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写真で見る 日産新型「リーフ」(2025年フルモデルチェンジ)
2025年10月8日 10:00
日産自動車「リーフ」は2010年にデビューしたバッテリEV(電気自動車)。この秋発表となる新型は3代目となり、初代から積み重ねられてきた知見と経験を最大限に生かして開発されたモデルになるという。今回は78kWhのバッテリを搭載する上位仕様「B7」を紹介する。追って、55kWhのバッテリを搭載するベーシック仕様「B5」も用意される(2026年2月頃を予定)。
リーフの歴史をさかのぼってみると、初代モデルは前記したように量産100%EVとして2010年に登場。バッテリ容量は当初24kWhのみだったが、マイナーチェンジ時に30kWhモデルが追加されている。航続距離は24kWhモデルが当初200km(JC08モード)とされていたがマイナーチェンジによるパワートレインの刷新で228km(JC08モード)まで向上。30kWhモデルは280km(JC08モード)。2017年には2代目モデルへとバトンタッチ。バッテリ容量は標準モデルで40kWhへとアップされ航続距離は322km(WLTCモード)/400km(JC08モード)に。その後、新開発の「e-パワートレイン」を採用してパフォーマンスと航続距離を向上させた「リーフ e+」を投入。バッテリ容量が62kWhへと大幅にアップされたこともあり、航続距離は458km(WLTCモード)/570km(JC08モード)となった。こうして継続的にパフォーマンスアップが続けられていることもあり、販売台数は2018年に30万台(うち国内10万台)を超え、現在では70万台(うち国内18万台)を数えている。
3代目となる新型は「気持ちよくドライブできる」「誰もが安心して乗れる」ことを目指して開発。外観はこれまでのハッチバックからファストバックのクロスオーバースタイルに変更してイメージを一新。「アリア」と同じ「CMF-EV」プラットフォームを採用しつつも、ボディサイズは4360×1810×1550mm(全長×全幅×全高)と非常にコンパクトに収められた。先代モデルと比較すると120mmも全長は短くなり、車幅は20mm広くなった。ボディサイズと比較するとホイールベースは2690mmと長いものの最小回転半径は5.3mと扱いやすい数値だ。このスタイリング変更は空力を意識したもので、フラットなアンダーフロアや格納式ドアハンドル、ホイールなどとの組み合わせによりCd値(空気抵抗係数)0.26を実現し、燃費(電費)および航続可能距離の向上に貢献している。
パワートレインは前述したようにモーターとインバータ、減速機を一体にした「3-in-1」構造の第3世代に進化。バッテリは78kWhとこれまでで最大の容量を持つものを搭載しており、最高出力160kW(218PS)、最大トルク355Nm(36.2kgm)を発生する。駆動方式は2WD(FF)のみの設定となる。
気になる一充電走行距離はWLTCモードでなんと702km(B7 X)/685km(B7 G)。これは大容量バッテリの搭載や空気抵抗の削減はもちろん、これまで外気に放出していたバッテリやモーターなどが発生する熱を回収しムダなく活用することでクルマ全体の熱エネルギー効率をアップすることで実現。同時に充電に関しても150kW充電に対応したほか温度管理の最適化などにより効率をアップ。150kW充電器利用時にバッテリ残量10%から80%まで回復させる際、先代モデル(60kWh)では約50分を要していたのに対し新型では約35分まで短縮。航続距離の延長と充電時間の短縮により実用性を大きく向上しているのだ。容量アップしたバッテリは充電ポートに「AC外部給電コネクター」を接続することで、ドアロック状態でも1500Wが利用できるため災害時やアウトドアでも活用が可能。従来通り「V2H(Vehicle to Home)」にも対応している。
気持ちの良さという面でも第3世代パワートレインが寄与する。3-in-1化によりユニット全体の容量を10%削減するとともに剛性をアップ。内蔵する「YM52」モーターは4%のトルクアップを実現しつつ構造の見直しにより振動を低減。また、小型化したユニットを載せるサスペンションメンバの開口部を縮小しつつマウント用ブラケットも小型化。その一方でマウント部のインシュレーターは大型化するなど、パワートレインまわりでの振動を抑えるべくさまざまな手段が講じられている。そのほか走りの面ではCMF-EVプラットフォームの採用によりボディ剛性を86%向上したほかステアリング剛性を48%向上、さらにリアサスペンションをトーションビームからマルチリンクに変更。そのうえで日本の使用環境に合わせたチューニングが行なわれるなど走りの質も高められている。
車内はバッテリEVならではのフラットなフロアと余裕のある足下空間が特徴。水平基調のインパネはすっきりとした造形で、中央にメーターやディスプレイ、エアコンパネルなどを配置したフローティングデザインを採用。全体的に過度なデザインや物理ボタンを少なくしたミニマルな雰囲気となる。また、オプションの「調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)」を装着することで、より解放感のあるキャビンを楽しむことが可能だ。このガラスルーフは2枚のガラスの間に調光用のフィルムを挟み込んだ構造で、スイッチ操作で透明〜半透明に変化させることが可能。透明時においても赤外線反射コーティングなどにより車内の温度上昇を抑えることが可能なスグレモノだ。
先進安全装備はインテリジェントルームミラーやドライブレコーダー、クルマ周囲を確認できるインテリジェント アラウンドビューモニターなどを標準装備。日産ならではの「プロパイロット2.0」にもオプションで対応している。12.3インチのワイドモニターを採用するインフォテイメントシステムは先に登場した「エクストレイル」などと同様のGoogle搭載「NissanConnect インフォテイメントシステム」を採用。「Google マップ」「Googleアシスタント」「Google Play」に対応するほか、Google マップのルート探索ではバッテリ残量や充電スポットの出力や空き状況まで加味したルート設定が可能となっている。
ボディカラーはルーフを「スーパーブラック」とした2トーンが「プリズムホワイト」「ディープクリムゾン」「ルミナスターコイズ」の3色。モノトーンはプリズムホワイトのほか「シェルブロンド」「ダークメタルグレー」「ミッドナイトブラック」「ディープオーシャンブルー」の5色が用意される。
グレードは「B7 X」と上位モデルの「B7 G」の2タイプ。LEDヘッドライトや電動格納式ドアハンドルなどは標準で、B7 Gは19インチタイヤ&アルミホイールのほか10スピーカーの「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」、リモコンオートバックドアなどが追加で標準装備となる。なお、前述したようにバッテリ容量が少ないB5が追加される予定。価格はB7 Xが518万8700円、B7 Gが599万9400円。B5は「より多くのお客様がお求めやすい価格を予定」しているという。
オプション装着車
3色のカラーを用意するプロテクターなど内外装を彩る専用アクセサリーが用意される。数多くの中から一部を紹介する。
LEAF AUTECH
B7 Gグレードをベースに専用パーツを採用し上級感を高めたオーテックモデルも登場。外観では随所にメタル調フィニッシュのパーツを配するほか専用19インチアルミホイールを装着。内装では刺繍入りのブラックテーラーフィットシートをはじめステアリングやシートベルトなども専用アイテムとなる。