イベントレポート
【東京モーターショー 2019】フォルシア クラリオンとして初の東京モーターショー出展。川端社長が今後の戦略を語る
「インテリア モニタリング システム」など両社の強みを活かした展示
2019年10月25日 19:46
- 2019年10月23日 開幕
- 2019年10月25日 プレビューデー
- 2019年10月25日~11月4日 一般公開日
10月23日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第46回 東京モーターショー 2019」が開幕した。10月25日はプレビューデー、10月25日~11月4日が一般公開日となる。
4月にフォルシアグループに入ったクラリオン。フォルシア クラリオンとして初めての東京モーターショーとなったわけだが、東京ビッグサイト 西4ホール(W4101)にあるブースでは両社の持ち味を上手くミックスして展示している。
フォルシアは1997年に誕生し、今では自動車産業においてグローバルなメジャープレーヤーでもある企業。世界で3台に1台はフォルシアの製品を使用しているほどで、クリーンモビリティ(ゼロエミッションテクノロジーなど)、シーティング、インテリア(インストルメントパネルやドアパネルなど)の3つのビジネスグループがある。そして第4のビジネスグループとして「クラリオンエレクトロニクス」を据え、コクピットエレクトロニクスと高度運転支援・自動運転分野に注力していく戦略だ。
10月24日に行なわれたプレスブリーフィングにおいて、取締役社長の川端敦氏は「クラリオンがフォルシアのグループに入って約半年が経過しました。フォルシアはさまざまな商品を持っていて、そのどれもがトップシェアを争う企業です。その中で、クラリオンはエレクトロニクスの技術を提供していきます。今後フォルシアのエレクトロニクス事業を支えていく重要な役割を担っています。同時にヨーロッパ、アメリカなどにフォルシアの力を借りて出ていくことも考えています」。
「従来、クラリオンはお客さまから注文を受け、開発し、商品を納めるのがメインでした。今後はこの考え方を改めます。5つのプロダクトライン(①コックピット ドメイン コントローラー、②イマーシブ サウンド システム、③ディスプレイ テクノロジー、④インテリア モニタリング システム、⑤ADAS)において、どういう技術ラインが進展するか、どういう技術ラインを進めればいいか、値段がどれくらいになればいいか。これを最初に検討し、その検討の結果、先行して開発を進めていきます。従来のクラリオンの技術をベースにすることはもちろん、そこにフォルシアの技術を盛り込み、取り込んで、新しい製品分野を獲得します」と述べた。
お互いの強み・弱みを認識し、補完することのほか、シナジー効果も狙っている。現時点でそれが最も分かりやすい形で表現されていたのは「インテリア モニタリング システム」の展示。クラリオンのセンサリング技術、フォルシアのシートを密接にリンクさせ、例えば乗員を識別するセンサーを活用して、乗員ごとに設定されたシートポジションを自動で調整する仕組みを採用していた。カメラなどを駆使したセンサーはドライバーの状態も把握し、ヘルスモニタリング、居眠りまで検知するなど、安心・安全・健康の分野まで踏み込んでいる。
また、音声での各種操作、オーディオのパーソナライズ(乗員ごとにプレイリストをかけたり、音のチューンをしたりすることが可能)もクラリオンの技術で、フォルシアが得意とするディスプレイ技術(曲面ディスプレイも展示されていた)など、見どころ満載の内容となっていた。
「ADAS(アドバンスド ドライビング アシスタンス システム)」は、自動運転など“未来”に繋がる技術だ。高度な画像認識機能とソナーによる物体検知を融合した高精度の自動駐車システムや、自動遠隔出庫システム(2019年のCESで発表し、グッドデザインアワードを受賞)など、クラリオンは自動運転の可能性を磨き上げている。
オーディオの老舗ブランド・クラリオンとして、カーナビ、オーディオ面でのアピールも積極的だった。“イマーシブ サウンド システム”を掲げ、個々の好みに合わせたプレイリスト、セッティングを、顔認証などのセンサリングを介して自動で行なうシステムを披露。いい音は当然のことで、パーソナライズにもこだわっている。
さらなるプラスαとしては、“コネクテッド”を挙げておきたい。同ブランドは家と繋がる、社会と繋がることを念頭に置き、クルマに乗った状態でカーナビを通じて家電を操作するという提案をしていた(しかも音声で操作)。
今回の東京モーターショーは、その“シナジー”のファーストステップを披露する場であった。今後、フォルシアとクラリオンの“シナジー”がどういう形で現れるのか、期待が高まる。