米大統領選でトランプ氏の勝利が決まった。日本の多くの産業が、米政権の政策に直接的な影響を受ける。日本企業への影響はどれだけあるか。まずは自動車業界を展望する。 

マスク氏、トランプ氏の思いを利用か

 「民主主義を守るためにトランプ氏が勝たなければならない」

 2024年10月5日、トランプ支持を表明していた電気自動車(EV)大手、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は選挙集会に初参加し、支持を訴えた。会場は共和党候補のトランプ前大統領が同年7月に銃撃を受けたペンシルベニア州の現場だ。両者はがっちり握手を交わし、蜜月関係をアピールした。マスク氏はトランプ氏の勝利が確実視されると「アメリカ国民は今夜、確実な変化を求めた」と自身のX(旧ツイッター)に投稿、今後の米政権入りも取り沙汰されている。

 トランプ氏は対談などで「あなた(マスク氏)の製品は素晴らしい」と賛辞を送った。電気自動車(EV)に比較的冷淡な姿勢のトランプ氏をマスク氏が支持する理由について、米国の自動車産業事情に詳しい専門家は「マスク氏は賢い」と語る。「『自国産業が育てばいい』というトランプ氏の根底にある思いを利用している。米国市場で中国だけでなく、日本企業も排除する狙いがあるのだろう」

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