「『推しアイドル』も『引っ越し先』も、グーグルは全てお見通し」で見た通り、ネットの閲覧履歴を分析すれば、私たちが現実世界でどんな行動をしているかはかなりのところまで推測できる。そして「あなたのスマホも対象に? GAFA告発者が明かすデータ収集の実態」では、米アップルが消費者の会話データをどうやって集め、一部の政治家が「フェイスブック」をどう世論操作に用いていたかを、告発者の声と共に紹介した。ネット上で「ワタシ」のデータはどのような経路で流通しているのか。その実態を解き明かすべく、取材班は再び専門家の力を借りた。
データの流通経路を解き明かす上でヒントになるのが、米アップルが最新OS「iOS15」に搭載した「Appアクティビティを記録」という仕組みだ。iPhone内のアプリがいつ位置情報やマイクなどのデータを活用したのかを、利用者が確認できる。今回は記者S(35)の私用スマホが記録した履歴を分析する。協力してくれたのはデータサイン(東京・新宿)の太田祐一CEO(最高経営責任者)だ。
「情報を活発に集めているアプリがいくつかありますね」。太田氏が一例として挙げたのが、地図情報会社のインクリメント・ピー(東京・文京)が提供する「トリマ」。徒歩や電車などでの移動で「マイル」がたまり、そのマイルを米アマゾン・ドット・コムのギフト券や「dポイント」、「Pontaポイント」といったポイントなどに交換できるアプリだが、約1週間で計1635回も位置情報を取得していた。6分に1回ほどのペースで移動データを取得している計算だ。
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