「はぶらし」(近藤史恵)

高校時代それほど親しくしてはいなかった同級生が子連れで突然居候に。二年間つきあっていた恋人と別れたばかりの一人暮らしに慣れた主人公のシナリオライターの、微妙な心の動きを丹念に描いて読ませる。
<脚本家として順調に生活する鈴音(36歳)が、高校時代の友達・水絵に突然呼び出された。子連れの水絵は離婚し、リストラに遭ったことを打ち明け、再就職先を決めるために一週間だけ泊めてほしいと泣きつく。鈴音は戸惑いつつも承諾し、共同生活を始めるが……。人は相手の願いをどこまで受け入れるべきなのか? 揺れ動く心理を描いた傑作サスペンス。>