「道草ばかりしてきた」
昨日は、「バードランドの夜vol.1、vol.2」の2枚を代わる代わる繰り返し聴いてみた。アート・ブレイキーが得意そうにドラムを叩く。実は、私はあまりこの人が好きではない。マイルス・デイビスの自叙伝に登場するブレイキーのイメージが強過ぎるのかもしれないが。ところで、この二枚のCDは「モーニン」と一緒にタワー・レコードで買ったものだ。輸入盤だったので少し安かったからなのだが、ライナーノートを読むとき、辞書を片手にしなければならない(それが最初の頃は輸入盤を買う楽しみでもあったのだが)不便さは否めない。
<この二枚のアルバムでは、その(「いま田舎から出てきたばっかりのようにみえた。純朴な青年であることはすぐわかった。トランペットはボロボロだった。だが彼はそのボロボロで信じられないような演奏をした」ブレイキー)クリフォード・ブラウンが信じられないような演奏をくりひろげる。そしてルー・ドナルドソン(アルト・サックス)が負けじと熱いブロウで応酬し、カーリー・ラッセル(ベース)がグルーヴを間断なく送り込む。ホレス・シルヴァー(ピアノ)が疾走し、ファンクとソウルを注ぎ込む。背後でプレイキーがトレードマークである“ドアのノック“を繰り返す。(「超ブルーノート入門」中山康樹) >
それにしてもブラウンのトランペットは「全力疾走」という表現がぴったりだ。
昨日読んだのは「道草ばかりしてきた」(志水辰夫)。タイトル通り、過去に出会った場所、人との思い出を綴ったエッセイ集。驚いたのは植物や鳥の名前に明るいこと。なるほど、散歩するとはそういうことなのだと改めて気づかせてもらった。
<悔いてはいないが、そろそろ残された旅を急がなければならない-。忘れ得ぬ風景、忘れ得ぬ人々、誰の心にもどこか懐かしい、短編小説のようなエッセイ二十四編。『毎日グラフ・アミューズ』連載をまとめる。
目次 フェリーのある風景 京に遊ぶ 葛西臨海公園 ほろ苦い果実 夜歩き 悲しい街路樹 雑草の話 丹波屋物語 北の海から 銭湯にて 他>