偏読老人の読書ノート

すぐ忘れるので、忘れても良いようにメモ代わりのブログです。

厭世フレーバー

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 「厭世フレーバー」(三羽省吾)は、2006年度吉川英治文学新人賞候補にノミネートされた作品。突然失踪した父親、残された家族五人(十代 二十代 四十代 七十代の四世代)がそれぞれ語り手となって展開する家族の物語。中でも失踪した父親が男っぽくて魅力的。各世代の登場人物の描写はそれなりに説得力がある。特に中学生の次男と女子高生の長女の語り口は「今風」だ。この人は年代を越えて幅広く描ける人のようだ。私のような学園モノというかジュニア小説っぽいものが好きな人ならそれなりに楽しめるのでは。

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