★★★☆☆
あらすじ
メキシコで暮らす若い女は、ある日突然謎の男に襲撃されるが、別々のところからやって来た女性二人に助けられる。
シリーズ第6作目で、第2作目の続編。原題は「Terminator: Dark Fate」。129分。
感想
シリーズ第6作目だが、ジェームズ・キャメロンが関わっていない第3~5作は無視した第2作の続編となっている。シリーズが続くとおかしな方向に進んでしまうこともあるので、無理して続けず、各自がやり直したいところから作り直していくスタイルもありと言えばありだ。要は面白ければそれでいい。
第1作と第2作に登場した、将来の人間側のリーダーになる男の母親が今回もメインで登場する。あれからかなりの年月を経て、演じるリンダ・ハミルトンも60代となっているが、妙な若作りはせずに年相応のあるがままの姿で登場するのが格好いい。おかげで壮絶な人生を物語るような貫禄が漂っていた。
だが前作で未来の危機の芽を摘んだ彼女は、今作では普通の人だ。彼女の子供が人間側の指導者となる未来はもはや存在しない。彼女が危機を未然に防いだがために特別な存在ではなくなり、単なるヤバいテロリストみたいな扱いになってしまっているのは皮肉だ。
機械との戦いに備えて自分の人生を犠牲にしたのに、目的を果たしても元の生活に戻れず、世界を救ったのだとアピールしたところで誰も信じてくれないのだから歯がゆいはずだ。共感してくれるのは災害を未然に防いだり、世界の破滅を人知れず回避してくれている世界各地の教祖や予言者たちくらいかもしれない。
今作では改変した未来でも結局勃発してしまった人間対機械の戦いのキーマンをめぐって、現代にタイムスリップしてきた使者同士の対決となる。この戦いに彼女やアーノルド・シュワルツェネッガー演じるターミネーターも参戦するのだが、基本的なプロットは前作までとほぼ同じだ。まるで前の2作を焼き直したようなストーリーとなっており、新鮮味があまりない。
彼らが未来からやって来た理由も知っているし、敵の刺客が強くてしつこいのも分かっている。先の読める意外性のない展開が続く。だから激しく迫力のあるアクションがあっても気分がさして盛り上がらない。それにこれまでのキャラに新たな登場人物が加わるせいで人数が多くなってしまい、どこかストーリーが散漫な印象もある。
未来から敵が集団でやってくるとか、人間側の未来からの使者がすぐに倒されて彼女たちだけで戦わなければならないとか、今度はこちらから未来に乗り込んで行くとか、どこかに新たな展望が欲しかったなと思ってしまう映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/編集 ティム・ミラー
脚本 ビリー・レイ
脚本/原案 デヴィッド・S・ゴイヤー/ジャスティン・ロードス
原案/製作/製作総指揮/編集 ジェームズ・キャメロン
出演 リンダ・ハミルトン/アーノルド・シュワルツェネッガー/マッケンジー・デイヴィス/ナタリア・レジェス/ガブリエル・ルナ/ディエゴ・ボネータ/ブレット・アザー/トリスタン・ウヨア/トム・ホッパー/エドワード・ファーロング/アール・ボーエン*
*アーカイブ出演
音楽 ジャンキーXL
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前作 シリーズ第5作
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