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吉沢亮さん、酔っ払って「隣人の住居」に侵入 書類送検の意味とは 
吉沢亮さん(VCG/アフロ)

吉沢亮さん、酔っ払って「隣人の住居」に侵入 書類送検の意味とは 

俳優の吉沢亮さんが、マンションの隣室に無断で侵入したとして、書類送検される方針と報道され、話題になっています。

吉沢さんが所属する芸能事務所「アミューズ」は1月6日、自社サイトで「報道の通り、2024年12月30日に、吉沢亮が自宅マンションに帰宅した際に、酒に酔って自分の部屋ではなく隣室に入ってしまいました」と事実関係を認め、謝罪しました。

書類送検とはどういうものなのでしょうか。また、吉沢さんが罪に問われることになるのでしょうか。簡単に解説してみます。

●書類送検とは

刑事訴訟法246条本文は、「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。」と規定しています(全件送致主義)。

逮捕されていない被疑者については、身柄ではなく書類等を検察官に送るから「書類送検」と呼ばれているわけですが、警察が捜査をした場合には基本的に送検しなければならないことは上の条文に定められており、警察としては条文通りの処理をしたにすぎません。

つまり、送検されたから有罪である可能性が高いとか、特にそういうわけではないことに注意が必要です。送検後は、事件を検察官がさらに捜査し、起訴するかしないかを判断することになります。

なお、件数としてはわずかですが、警察が捜査をして、犯罪が軽微である等の事情により、書類送検をしない場合もあります(微罪処分といいます)。

●犯罪は成立するのか

吉沢さんは隣の家に無断で立ち入ったこと自体は認めているようですから、住居侵入罪(刑法130条前段、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)の客観的構成要件(条文で規定されている要件)にはあたるのだと思われます。

ただ、泥酔していたという情報もあり、故意がない可能性があります。故意がない場合には、犯罪は成立しません(刑法38条1項)。

「故意」と何か、ということについては様々な見解がありますが、一般には犯罪事実の認識・認容のことをいいます。

本件で問題になるのは、吉沢さんが、「自分の家だと勘違いして、隣の家に入ってしまった」場合です。

この場合、住居侵入罪における「人の住居」(※他人の住居であることが前提となっています)の認識がないことから、故意がなく、犯罪は成立しません。

故意の立証は、検察官が行わなければなりません。検察官としては、吉沢さんが「人の住居であった」ことを認識していたことを基礎づける事実を立証する必要があります。

しかし、「酔っ払って、自分の住居と間違えて他人の住居に入ってしまった」ということはありうることだと思われますし、吉沢さんがあえて他人の住居に立ち入ることを認識・認容していたことの立証は、なかなか難しそうに思います。

●立証の見込みがある場合

また、仮に立証の見込みがあるとして、住居侵入罪は、ほかの犯罪、たとえば窃盗罪や強盗罪などのために行われることが多く、その場合には重大事件になり得ますが、住居侵入罪だけ、特に初犯だと、それほど重い罪には問われない可能性が高いと思われます。

まず、被害者と示談ができれば不起訴になる可能性が高いと思われます。

また、そうでなくても、よくイメージされるような法廷での裁判を受けることにはならず、略式起訴といって、書面だけで手続が終わって罰金(住居侵入罪の場合には10万円以下の罰金)が科される可能性が高いと思われます。

略式起訴には被疑者の同意が必要で、しかも罪を認める必要がありますので、吉沢さんが故意がない等の理由で争い、略式起訴に同意をしなかった場合には、検察官から公判請求されて通常の刑事裁判が開かれる可能性があります。

【訂正 1月9日午後7時】吉沢さんの書類送検は「予定」とのことです。お詫びして訂正します。なお、書類送検がされない例外的な場合(微罪処分)につき追記しました。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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