もじもじトーク[140]時代をひらく書体をつくる~書体設計師の橋本和夫さん~
── 関口浩之 ──

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

ちょうど1か月前に開始した「週に5回ぐらい、5~8km、ウォーキング(早歩き散歩)するぞ」プロジェクトは継続しています。すごい(笑)

ウォーキングが苦にならない、というか、心地よいと感じているので、三日坊主にならず、モティベーション高く続いています。

新型コロナにより、4月から9月までの半年間、運動することなく過ごしてきました。なので、ここ1か月間、ウォーキングしたことで、コロナ禍以前の筋肉量に戻ってきたようです。

最近、5階ぐらいまでの階段の登り下りは苦にならず、エレベータを使わないことが習慣になってきました。

さて、この習慣がいつまで続くのだろうか……。これから寒くなるしなぁ……。引き続き、レポートしますが、あまり、期待しないでくださいね(笑)

さて、今日のテーマは、『時代をひらく書体をつくる。~書体設計士の橋本和夫さん~』です。





●書体設計士の橋本和夫さん

書体設計師の橋本和夫さんという人、みなさん、ご存知でしょうか?

橋本和夫さんは、20世紀の日本の書体(フォント)の歴史を語る上で、欠かせない人物なのです。橋本和夫さんの経歴を簡単に書きますね。

橋本和夫さんは、1954年に金属活字のモトヤに入社しベントン彫刻機用の原字制作にたずさわり、1959年に写真植字の写研に入社します。1990年代まで、写研で発売されたほとんどすべての書体を監修した方なのです。現在はイワタにてデジタルフォントの書体監修・デザインにたずさわっています。まだまだ現役の書体設計士なのです。

まずは、11月10日発売の『時代をひらく書体をつくる。書体設計士・橋本和夫に聞く 活字・写植・デジタルフォントデザインの舞台裏』(出版社:グラフィック社)の表紙カバーのご覧ください。ジャーン!
http://bit.ly/mojimoji140bookjacket


すごいでしょ。これらすべての書体の監修を担当した方なのです。「もじもじトーク」の読者の皆さんでしたら、この中で知っている書体がいくつかあるのではないでしょうか!

橋本和夫さんは、20世紀後半、日本の写真植字で多様な新書体が誕生した制作現場において活躍した、第一人者であることに間違いありません。20世紀後半の書体の世界で、まさに、「今、時代は動いた!」の大河ドラマの主人公なのです。

●すごいぞ!『時代をひらく書体をつくる。』

11月11日に「FONTPLUS DAYセミナー Vol.29 オンラインライブ版[『時代をひらく書体をつくる。』出版記念座談会]―雪朱里さんとフォントおじさんのオンラインライブ対談―」を開催しました。

実は、雪朱里さんとの座談会「FONTPLUS DAY Vol.29」を企画したのが9月でした。なので、この書籍の新刊発売があるのを知らなかった時にイベント企画したのです。そしたら、ちょうどイベント開催日が、新刊発売日の翌日になるという奇跡が起こりました。

この座談会ライブ放送は、11月末まで期間限定ですが、再放送の視聴ができますので、興味のある方、ご覧いただけるとうれしいです。
http://bit.ly/mojimoji140kazuohashimoto


橋本和夫さんに興味を持ったかた、ぜひ、この書籍を手に取ってください。というか、この本、フォントおじさんの絶賛超推し本です。ここ数年で100冊以上の文字関連本を手にしましたが、ベスト3、いやっ、1位かもしれません。

日本の書体にかかわるすべてのひとに、ぜったい読んでもらいたいっ!

と、ブックデザイナー・祖父江慎さんに言わしめた本でもあります。祖父江慎さんも好きですが、この本も好きです!

一粒で何度も美味しい本です。ちなみに、この本のチラ見せしちゃいます。いろんな意味ですごいでしょ! 本好きな人にはたまらない一冊です。
http://bit.ly/mojimoji140akariyuki


●書体デザイナーの中村征宏さん

FONTPLUS DAYイベントは、今回、2週連絡開催でして、先週に引き続き、昨日、Vol.30として『ナール、ゴナの中村さんをお招きして』を開催しました。

登壇いただいた中村征宏さんはフリーの書体デザイナーですが、1970〜1980年代にナール、ゴナをはじめとした数々の書体を監修したのが、橋本和夫さんなのです。

ですので、今回、このような素敵なバトンリレーが実現できたこと、奇跡であり、感謝いたします。

こちらの座談会も、期間限定(2020年11月末まで)でアーカイブ視聴できますので、ナール、ゴナの中村征宏さんにご興味のある方、ぜひ、ご覧ください。
http://bit.ly/mojimoji140yukihironakamura


●20世紀後半の金字塔書体「ナール」と「ゴナ」

ナール、ゴナについては、2017年3月27日の「もじもじトーク[59]ナール、ゴナという書体、知ってますか?」で解説したことがあります。こちらも、読んでもらえるとうれしいです。
https://bn.dgcr.com/archives/20170323140100.html


1970年代に「ナール」と「ゴナ」がリリースされると、ananやnon-noなどのファッション雑誌やさまざまな広告のキャッチコピーで、これら書体が使われるようになりました。

それまでは、小説や教科書で馴染みのある明朝体や教科書体が中心の時代から、見た目に印象的でデザイン性の高いフォントが誕生したのです。新書体ブームの火付け役になった代表的な書体が、ナールとゴナ、タイポスなのです。

日本語書体の歴史を変えた、ナールとゴナがなぜ、現在、一般的に知られていないのでしょうか? その理由の一つが、Windowsや macOSにこれらフォントが入ってないからです。また、デジタルフォントとしてもお販売されていなのです。

現在、これらの写研がリリースしたたくさんの素敵な文字たちは、デジタルフォント化して一般に広く販売されていない状態が続いています。

今からでも遅くないので、ナールやゴナをはじめとした写研の書体をデジタルフォント化してリリースして欲しいですね。そんな動きがあれば、フォントおじさんは、全力でお手伝いしたいです。

では、また、お会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】[email protected]
関口浩之(フォントおじさん)

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