奇想天外の書と評し、ま、差し支えないっしょ。
僕のご贔屓作家三浦しをんが、友だちと呑んで盛り上がるうち、
『罪と罰』読んだことある、読んでないなあ、面目ないけどと、
その場に居合わせた4人、小説家三浦しをん、翻訳家岸本佐知子、
文筆家兼編集者吉田篤弘・浩美夫妻の4人が4人とも、
読んでなかったのである。あちゃ。
ならば、読んだことない者同士で、どんな小説なのか、
ひとつ推量してみようではないかと思い立ち、
そんなことしてなんになるのと自らの酔狂に呆れつつ、
熱心に実行するの。高等遊民の戯れである、好いなあ、
僕さ、こういうの大好きなのよ。
読んだことないって、そこは、世界に冠たる名作『罪と罰』ですよ、
ラスコーなんとかという貧乏な苦学生が、
金持ちの婆さんを殺しちゃう話でしょっ、てなことぐらいは、
全員知っているのである。僕も、4人とまったく同じ口。面目ない。
然るに、この僕ときたら、町田康『告白』を読んで、感動のあまり、
テーマは「罪と罰」である、ドストエフスキーときたのだ。北野田。
などと、ほざいている。ま、直感が全てのロケンローラーですから。
で、三浦しをんとその仲間たち、千ページ以上に及ぶ大長編小説の、
最初の1ページと最後の1ページだけを読み、
全体を当て推量するのである。うわははははは。
もう大爆笑である。
で、鯔のつまり。これはもう本編を読むしかないよねって結論に至り、
本書を読んだ僕もまた、世界文学史に聳え立つ、ただ仰ぎ見るだけの、
ドストエフスキー山脈の最高峰のひとつへ、初登頂を試みたのである。
果たして、頂上まで辿り着けたのか、無念にも途中リタイアしたのか、
その顛末は、追って、続編となるエントリをUPしてみたい。