あの頃みたいに、インターネットに書き続けよう

毎日さまざまな話題のエントリーが生まれるはてなブログの中から「旬な話題」をピックアップする企画「はてなブログで話題」。今回は「インターネットに書き続ける」ことをテーマに記事を紹介します。

長年インターネットに文章を書き続ける人もいれば、さまざまな要因からその更新をやめてしまう人もいる──。

2022年5月、このことに関してつづった2つのエントリーがSNSやブックマークでさまざまな反響を呼びました。

2000年代ぐらいにblosxomやtDiaryで熱心にWebに何かテキストを書いていたような人たちは特定の価値観を持っているなと思う。

Web日記は止まる - laiso

「ブログを熱心に書いていた書き手がフェードアウトしてしまう問題」について書くid:laiso さんのエントリー。「フェードアウト」の原因には、家庭や職場といった環境の変化とともに、「ブログを書いて得ていた体験が、社内やクローズドな環境で起こる別の行動によって満たされ」ることもあるのではないか、と指摘しています。

laiso.hatenablog.com


おれはインターネットにテキストを書かずにはいられない人間で、これを禁じられたら精神に失調をきたすこと間違いなしと思う。

Web 日記は止まらない - @kyanny's blog

そんな laiso さんのエントリーに呼応する形で記事を書いたのが、長年インターネットに文章を書き残し続けてきた kyanny(id:a666666)さん。何年も続けてWeb日記を継続できるのは自分の持つ「稀有な才能」なのだという確信と、「インターネットにテキストを公開すること」へのこだわりをつづっています。

blog.kyanny.me



他にも、インターネットに書き続けることや、その難しさについて思いを記したブログがあります。

あんなに書くことが好きで熱かった人たちはどこに行っちゃったんだろう、といまでも不思議な気持ちになることがある。

日記サイトの寿命① ~二年の壁~ - 猫の夜更かし

蓮見(id:nekonoyohukashi)さんは、かつて日常的に訪れていた日記サイトの多くが長い年月のうちに閉鎖してしまっていたことに軽いショックを受けたそう。十数年前、「熱心な日記書き」が大勢集まっていたリンク集や、そこでの和気あいあいとした思い出の数々を振り返りつつ、「閉鎖に至る理由やきっかけ」について考えています。

nekonoyohukashi.hatenablog.jp


もう、WEBにあるコンテンツはすべてお金稼ぎの道具みたいになってしまっている。そんな風に見えてしまっている。

誰も見に来ないようなブログで記事を書き続けたかった - umikaze.blog

「もっともっと隅っこで、片隅で、好きなことを好きなように書くブログ」を目指したいとつづる、うみかぜ(id:umikaze)さん。ブログを取り巻くインターネットの雰囲気が、かつてと比べて大きく変化したと感じているそう。「お金を儲けたい」ではなく、純粋な「記事を書きたい」という欲求を追い求めたいと語ります。

www.umikaze.blog


Blog で日記的な事を書くのはどうも「お門違い」と言う流れが出来てきているのでは?と言う気がしてきています。

https://myun2-nw.hatenablog.com/entry/2021/01/03/043537

ブログは「オフィシャル」なイメージが強まってきており、かつてのWeb日記や日記サイトなどを知る身からすると「日記」ではなく情報発信のための「記事」の場になっていると記す id:myun2-nw さん。現代において、「日常」の投稿はTwitterで、少し堅苦しい長文での「発信」はブログで……という“棲み分け”がなされていると指摘します。

myun2-nw.hatenablog.com


……ところで、皆さんははてなブログ公式Twitterをご存知でしょうか? 知見がいっぱいのブログや面白い経験を記したブログ、話題になっているブログなどを紹介する中で、日常を書き記したブログも実は頻繁に紹介しているんです。

Twitterでピックアップさせていただいたはてなブロガーの皆さんからは、「取り上げてもらって嬉しい!」という喜びの声のほかに、「はてブロ公式のピックアップどうなってんの」「なんで?」など、不思議がるような声もお聞きしています。

いわゆる「普通の日記」を積極的に紹介するのは、もちろんそのブログを読んで「いいブログだなあ」と感じたからなのですが、でもそれだけではなくて、こういった「普通の日記」こそはてなブログ「らしい」記事だと思っているからでもあります。

これは編集部員・北白かわの個人的な感想になってしまうのですが、はてなブログ「らしさ」の一つは“あの頃のインターネット”に似た雰囲気が残っている点だと思います。

この特集を執筆している私自身も、インターネットの雰囲気は“あの頃”と大きく変わったように思います。“あの頃”というのは、上の記事で紹介したように、個人の日記サイトが盛んだったような時代です。“あの頃”を思い返すと、「諸行無常」の四文字が脳裏をよぎります。

ここで、時代的に“あの頃”に近く、独特な雰囲気も持っていた「はてなダイアリー」のエントリーから、いくつか記事を紹介します。当時をご存知なら、「ああ、こんな感じだったねえ」と懐かしい気持ちになるかもしれません。

携帯からmixiができるようになって、メールチェックする感覚でチェックができるようになった分mixiに依存しちゃってるひとも増えたかもしれませんね。

mixiについての記事を読んで思ったこと - KAZAANATOMY

ブログや2ちゃんねる(現在の「5ちゃんねる」)とmixiの使い分けについて しぶやん(id:shibuyan730)さんが書いた、2007年5月のエントリー。当時はSNSという概念が目新しく、さまざまな特徴を持ったSNSが次々とリリースされていきました。

shibuyan730.hatenadiary.org


11. はてなダイアリーを始めたきっかけは?
・自分で作ったcgiで日記をずっと書いていたのですが、はてなが日記サービスをはじめると言うことで、いちゃもん付けたろうと思ってはじめました。現在は完全に移行しちゃってます。

はてなダイアリー利用者に100の質問 - id:lopnor

「はてなダイアリー利用者に100の質問」に、id:lopnor さんが寄せた回答です。はてなダイアリーの正式版がリリースされたのが2003年3月ですから、サービス開始当時の雰囲気がよく現れていそうです。

lopnor.hatenadiary.org


ドコモダケに種類があるなんてしらなかった。
ムスメドコモダケはバッグもってて、口元がリボン、かわいい。

実家から新玉ねぎとクワガタとドコモダケ - ふぇれっと中心日記

id:kana-kai-kapu さんが実家からの贈り物について書き残した、2006年5月の日記。節々の単語から当時の暮らしの雰囲気が垣間見えて、なんだか懐かしい気持ちになります。

kana-kai-kapu.hatenadiary.org



はてなダイアリー時代から今に至るまで、コツコツと日記を書き続けている方々もいます。

わたしはKinKi Kidsのファンでもあるので、つよしさんが今後、エンドリだけで一生食べて行けばいいとまでは、思っていません。アイドルの堂本剛の存在も欠かせないし、ふたり揃ったKinKi Kidsはもちろん大好物です。

ENDLICHERI☆ENDLICHERIライブ5月21日 覚書 その2 - ふぇるまーた2

2004年6月から日記を書き続けている レイン(id:rainfall)さん。日々の出来事や講演の感想など、その時その時の思いが記録されています。

fermata.hatenadiary.jp


雑誌連載のほうは華々しく完結を迎えた『ゴールデンカムイ』、単行本の第29巻である。当然だがこちらのほうもいよいよ佳境、最終決戦になだれ込み、ここまでやるのか、という大規模な戦闘が展開して驚かされた。

最近読んだコミックなどなど(その2) - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

フモ(id:globalhead)さんが2004年2月から続けている日記。ひとことだけの日もあれば、大ボリュームでつづる日も。フモさんの歴史が詰まったブログです。

globalhead.hatenadiary.com


考えてみれば、ワタシは初代ウルトラマン直撃世代ではなく、かろうじて「ウルトラマン80」を見てたかくらいかな。子供がいないのもあり、平成になってからのシリーズもノータッチである。

そんなワタシがなんで本作をわざわざ映画館に観に行くのかというと、『シン・ゴジラ』の夢もう一度というのがやはりあった。

シン・ウルトラマン - YAMDAS現更新履歴

2003年から個人サイトの更新履歴として活用し始め、本や映画の感想や日々の出来事、時事関連などさまざまな物事を記録し続けている yomoyomo(id:yomoyomo)さん。2022年5月公開『シン・ウルトラマン』の感想を書いています。

yamdas.hatenablog.com


ホテルを直前に取ったら個性溢れる部屋だった

■ - hitode909の日記

日々の出来事や思いから仕事に関することまで、2008年5月から記録を続けている 炊飯器(id:hitode909)さんのブログ。音楽フェス『森、道、市場』に参加した日のことを書き残しています。

blog.sushi.money



こんなふうに、インターネットに何気なく書き記された文章を読むのが私は好きです。


なんだかひたすら懐古的な記事になってしまいそうですが、最後にこの「インターネットに書き続ける」特集を執筆した理由についてです。

私個人として、最近のインターネットにはまるで「何者か」でないと言葉を残してはいけないかのような、ちょっと狭苦しい雰囲気を感じてしまうことがあります。「私のような人が書いていいのかな」という声も時おり耳にします。

でも言葉を残すのに何者かである必要はなくて、何者でなくとも、もっと一人一人が自由に言葉を書き残していい。インターネットはいつでもそれを確認できる場所であってほしい、と私は思っています。

そして、はてなブログが「自由に書き残す」ための場所になれるんじゃないかな、とも思っているのです。


blog.hatenablog.com
blog.hatenablog.com

4月、週刊はてなブログの「純日記」特集が大きな反響をいただきました。
「純日記」とは、「純粋に日々の日記をつづるブログ」を指して週ブロ編集部が呼び、大切にしているものです。


blog.hatenablog.com

また、先日公開されたこちらの特集も、“普通の人の『人生』”に着目したものです。

普通の人のなんでもない日のなんでもない日記をインターネットに書き残してもらえると、編集部員はたいへん喜びます。

よければあなたも、はてなブログでなんでもない日記を書いてみてください。

By 北白かわ
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北白かわ

暇さえあればインターネットをしています。散歩に繰り出しては道に迷って帰れなくなる習性あり。人柄のにじみ出るような文章が好きです。