今週始めに日本からドイツに帰るとき、羽田空港で撮りました。夜中1時の出発だったので空港内の照明は控えめでした。
ゲートの番号は110でした。たいていのフォントでは、等幅の数字(表組み用とも)がデフォルトの位置に入っています。
ここで使われているフォントは
Frutiger (フルティガー)ですが、そのデフォルト数字をそのまま並べただけだと、1と1との間が空いてしまいます。
また、細かく見ると、「105–109」の半角ダーシの左側が狭すぎたり右側が広すぎたりします。
「表(ひょう)組み用」とも呼ばれるだけあって、いろんな数字が上下に並ぶ表などで使うときには、数字の左右や桁数が揃うので便利です。
でも、見た目に不自然でない、リズム感に乱れのない数字を使いたいことがあります。
Neue Frutiger (ノイエ・フルティガー)には、デフォルトの等幅数字の他に、プロポーショナル数字が用意されています。
プロポーショナル数字は、1の字幅は他と比べて狭くしてあるなど、文字のデザインにあった個別の字幅が設定されています。Adobe Illustrator や InDesign など、OpenType 機能の使えるアプリケーションで利用できます。
Neue Frutiger プロポーショナル数字では、1の字幅が狭い以外にも、0は幅が少したっぷりしていて他の数字と同じ幅に見えるとか、組み合わせによってはカーニングが設定してあるので、「74」のような組み合わせではアキを自動的に狭く調整してくれるなどの配慮もされています。
その Neue Frutiger のプロポーショナル数字で、ゲート表示パネルと同じ数字を使ってシミュレーションしてみました。
この例、上は Frutiger のデフォルトの等幅数字で、下は Neue Frutiger のプロポーショナル数字で組みました。上下の例とも、組んだ後にパネルと同じように全体の字間をトラッキングで均等に少し広げただけですが、プロポーショナル数字で組んだほうはかなり改善された印象になります。
最初の写真で気になった半角ダーシ前後のアキも、プロポーショナル数字では改善されています。5と半角ダーシの間はアキを増やす、半角ダーシと1との間はアキを減らすカーニングが設定されているので、ダーシが左に寄りすぎた感じはなくなりました。
もちろん、使用される大きさによって見え方が違うこともあります。看板のサイズではさらに微調整が必要になるかもしれません。「1の幅はもっと狭くても良いのでは?」というご意見もあるかも。でも、小さいサイズでは案外これくらいが良いんです。本やカタログ等で使うときにちょうど良いようにつくってあるんです。