大昔のネタを報道する前にできること
- 2022/10/25
- 21:06
バズったネタに便乗します。
この記事の要約
- AIの進歩は日進月歩なので、昔のネタを取り上げるなら最低限検証したほうがいいです。
2022年10月22日、以下のような記事がバズっていました。
『まるで透明マント。監視カメラでAIが認識しないアグリー・セーターが作られる』(該当リンク)
記事の内容としては、食品売り場の風景がプリントされたセーターを着ることで、物体検出モデルを騙すことができるというものでした。
この記事を紹介するツイートは2022年10月25日の記事執筆時点で、6200リツイート、1.9万いいねを獲得しています。(該当ツイート)
なるほど、物体検出をはじめとしたCV領域において、敵対的攻撃はホットトピックです。バズるのも納得です。
しかし調べてみると、どうもこのネタは古いようです。
arxivによると、この論文のv1は2019年。2019年が最近か昔かは個人の感覚によりますが、機械学習界隈においては大昔と言っていいレベルです。
なぜ2022年10月にもなってこんな大昔のネタを記事にしようと思ったのか私には全く理解できないのですが、折角なので近年の物体検出モデルで検証してみましょう
手始めにYOLOv5で検証します。YOLOv5とは、2021年ごろ最もポピュラーだった物体検出モデルです。
(画像は https://www.cs.umd.edu/~tomg/projects/invisible/ からお借りしました。)
(YOLOv5n)
(YOLOv5s)
(YOLOv5m)
(YOLOv5l)
う〜ん…できますね。
v5nレベルでできるなら、他のモデルなら言うまでもなく…といったところだと思います。
そもそも元ネタの論文ではYOLOv2で検証していたようです。(これは論文の発表時期故に仕方ありません。)
ですが、なぜ今になって、このネタを、検証もせずに取り上げたのか?
私は頭が悪いので全く理解できませんが、きっと高尚なお考えがあってのことなのでしょう。
ですが、なぜ2019年の技術を2022年に取り上げておきながら、ツイートに【爆誕】なんて付けたのでしょうか?
私には全く理解できません。