【中学生保護者必見】勉強しない子が、自分から取り組むようになる方法は?コーチングのプロが伝授

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中学生といえば、学習内容が難しくなり、自主的に勉強する必要が高まってくる時期ですよね。「定期テストが近づいているのに、ゲームやスマートフォンばかりで勉強していないみたいで……」
なんてお子さまに対してイライラしたり、どんなふうに学習を促したらよいか迷ったりしている保護者のかたも多いのではないでしょうか。
そこで、中学生のお子さまが自発的に勉強するようになるにはどんな働きかけをしたらいいか、トラストコーチングスクール認定コーチとして活躍し、3人のお子さまの保護者でもある中原絵里子さんにお聞きしました。
ポイントは「強制しない」と「いいところ探し」と「一緒に決める」。お子さまと接するにあたって、声かけの参考になさってください。

この記事のポイント

どうして? 中学生のお子さまが「勉強する気になれない理由」

中学生になると、小学生時代に比べて学習の難度がアップし、自宅でも学習に取り組むことが必要になります。お子さま自身も、ある程度は「やらなきゃな」と意識しているはずです。
それでも勉強に向かわないのには、お子さまなりの理由があります。
お子さまに向けてどんなアプローチをしたらよいか検討するためにも、「中学生が勉強に取り組む気にならない」理由を押さえておきましょう。中原さんの実体験や、編集部の周囲の体験談などを参考に5つの理由をご紹介します。
「うちの子はどのタイプかな?」「いろいろな要因が重なっているかも」などと考えてみることで、保護者のかたも対策が立てやすくなります。

やる気がない理由1 学習内容がわからない・授業についていけない

中学では、いずれの教科も学習内容が高度になり、得意・苦手がはっきり表れてきます。
特に英語や数学といった積み重ねが重要な教科が苦手な場合は、「授業についていけない→わからないから勉強しない→次に習うことも理解できない」と、ますます勉強する気がなくなってしまう、というケースはよくみられます。

やる気がない理由2 スマートフォンやゲームなど、ほかの楽しいことに気を取られてしまう

小学生時代から「ゲームばかりして……」とイライラしていた保護者のかたは多いかもしれません。さらに中学生になると、スマートフォンを所持するお子さまも多くなり、気がつけばスマートフォンをいじっている、という事態が起こりがちです。
お子さま自身も「勉強しなきゃ」とわかっていても、目の前に楽しいことがあるとついそちらを優先してしまうかもしれません。
その背景には、「今勉強しないと、その結果として何が起こるか」に想像が及んでいない、ということもあります。

やる気がない理由3 部活などで忙しくて疲れている

中学生になると部活が始まったり、行事に熱中するようになったりして、放課後も忙しく過ごすお子さまが増えてきます。
そのため、「身体が疲れていて勉強に向かう気力がない……」という毎日が続く場合も。
「今は大学生になったわたしの長男も、中学時代は部活一色で、ある時期までは本当に勉強せず、親としてやきもきしていました。」(中原さん)

やる気がない理由4 学習習慣が身に付いていない・勉強のやり方がわからない

勉強する気はあっても、「後でやろう」と考えながらズルズル遊んでしまうお子さまは多くみられます。
その一因が、「そもそも勉強する習慣が身についていない」こと。
また、宿題は別として「何からやればいいかわからない」というお子さまも多く、食わず嫌いならぬ「勉強せず嫌い」のケースも少なくありません。

やる気がない理由5 反抗期で親に「勉強しなさい」と言われると反発してしまう

中学生といえば、第二次反抗期の真っ只中にある場合も多いでしょう。
この時期の中学生は、前提条件として「保護者の言葉や行動を批判的に受け止めやすい」傾向にあることは否めません。
ですから、自分でも「勉強した方がいいよな……」と思っているときに、保護者のかたから先回りで「勉強しなさい」と言われると、イラッとして勉強に手を付けたくなくなる……。
その繰り返しで、勉強から遠ざかってしまうお子さまも珍しくありません。

脱・強制!勉強しない中学生のお子さまのサポート方法

「勉強するかしないか」は、突き詰めて考えればお子さま本人の問題です。
しかし保護者のかたとしては、「勉強しないことで将来不利益が出るのは心配」という思いが強いでしょう。
お子さまに働きかけるにあたっておすすめなのが、ビジネスなどにおけるコーチング(相手と対話したり質問したりするコミュニケーションによってモチベーションを上げ、目標達成に導くこと)の手法を参考にしてみることです。
トラストコーチングスクール認定コーチ中原さんへの取材から、「勉強しなさい」と強制することなく、お子さまのやる気を引き出すことが期待できる声かけやアクションの具体例をご紹介します。

「勉強する目標」を見つけるためのサポートをする

お子さまが学習に向かおうとしない大きな理由の1つが、「何のために勉強するかわからない」ことです。
しかし、「あの高校に合格したい」といった目標があれば、「これくらいの成績が取れるようにがんばらなきゃ」と考え始めるはず。

「まずは具体的なイメージを持つために『部活の先輩はどんな高校目指しているの? あなたと同じように部活も頑張りながら、勉強はどのぐらいしているのかな』と声をかけたり、高校見学に誘ってみたりしてはいかがでしょうか」(中原さん)

定期テストのための作戦を一緒に考える

例えば定期テストの結果が振るわなかったときに、頭ごなしに叱っても、お子さまはますます勉強から遠ざかるばかりです。
返却された答案用紙を一緒に見ながら、「あと10点上げるには、どんな勉強が必要だと思う?」といった質問をしてみると、お子さまが「計算問題だけでも間違えないように学校のワークは頑張ろうかな」など具体的に考えるきっかけをつくることができます。
このときに大切なのは、保護者側から「計算だけでも頑張りなさい」とやり方を押しつけないこと。
自発的に目標を決めた方が、お子さまは確実に「やらなきゃな」という気持ちになれるはずです。

「テスト後の振り返りを一緒に行うことで、保護者のかたも、次回のテスト結果を確認するときにお子さまの変化に気づくことができるはず。決めた目標をクリアできたら、『前のテストと比べて計算ミスが減ったね、頑張ったんだね』などとほめてあげてください。このサイクルが回り出せば、お子さまも自ら勉強に向かう機会が増えていくと期待できます。一緒に決めたことを保護者の方も覚えていられるよう、簡単にメモしておくのもお勧めです」(中原さん)

ごほうびを設定する

お子さまが勉強に対して前向きに取り組むための入り口として、ごほうびを用意するのも一つの手です。

「我が家の場合、当時中学生だった長女が、『定期テストの総合得点が上がったら、臨時のおこづかいがほしい』と言ってきたので、具体的な目標得点や金額は夫と相談して決める形でごほうびを設定しました。目標を決めたことで長女はやる気になり、部活で疲れていても勉強を頑張ることができました。ごほうびとして何を設定するかはご家庭によって異なると思うので、お子さまの希望を聞きながら、このごほうびがあれば頑張れる、という目標を一緒に決めてもよいのではないでしょうか」(中原さん)

スマートフォンやゲームは使用ルールを決めて遠ざける

スマートフォンやゲームは、中学生だけでなく大人にとっても抗いがたい魅力があるもの。

「手近にあったら夢中になってしまうのは当然、と考えて、勉強時間にスマートフォンやゲームを遠ざけておくための仕組みをつくりましょう。私は次男と「動画を見るのは1時間まで」というルールを作っており、『1時間を超えたらその分だけ勉強時間を増やす』と取り決めています」(中原さん)

お子さま自身も、「スマートフォンやゲームばかりしているのはまずい」と多少は思っているはずなので、「どんなルールなら守れそう?」などと話しながら、一緒に設定するとよいでしょう。

「意志の力だけに頼らず、勉強中は、スマートフォンはリビングに置いておくことを決めるなど、お子さまがルールを守れるようサポートしてあげることも大切です」(中原さん)

これはNG! やる気を引き出したいときにやってはいけないこと

中学生のお子さまの勉強意欲を引き出すことはなかなか難しく、保護者としてはつい、良かれと思って「やってはいけない」アプローチをしてしまうことも。
NG例を事前に知って、お子さまのやる気を下げる声かけやアクションを回避しましょう。

【NG】勉強しないからといって脅してしまう

例えば部活を頑張っているお子さまに、「頑張らないとどの高校にも合格できないよ」などと言っても、お子さまはさらにやる気をなくしてしまいます。実際、3年生まで勉強をほとんどしていなくても、部活を引退してからぐんぐん成績を上げていく中学生はたくさんいます。

「『こんなに部活を頑張れているんだから、勉強に本気になったらどんなふうになるか楽しみだね』といったポジティブな声かけをした方が、お子さまも「期待してくれているんだな」と感じて頑張るきっかけになるのではないでしょうか」(中原さん)

【NG】「どうせ◯◯でしょ」と決めつける

例えばテストの結果が悪かったときに、「どうせ勉強しなかったんでしょ」などと決めつけるのは絶対に避けたいところ。

「結果を出せなかった理由としては、勉強時間が足りなかった可能性もありますが、一方で、テスト範囲の単元が苦手だったのかもしれないですし、問題の難度が高く学年全体の平均点が低かったのかもしれません。お子さまは苦手なりに努力したのに結果が伴わなかった、という可能性も十分にあるのです。点数だけを見て叱らず、なぜ結果が悪かったのか」を一緒に考えてみましょう」(中原さん)

保護者が寄り添うことで、お子さまも少し安心して「次回に向けて何をするか」を考えられるはずです。

【NG】保護者が決めた目標を押しつける

やる気を出させようと「次こそ100点取れるよう頑張りなさい」「学年順位10位以内に入れるようにしないとダメだよ」と保護者から目標を押しつけるのもお勧めできません。

「なぜなら、こうした目標はお子さまの事情を考えず一方的に決められているうえ、お子さまは『100点を取るためには具体的に何をしたらよいか』がわからないからです。あくまでも目標設定は“子ども主体で、具体的に”が鉄則です」(中原さん)

どうしてもイライラしてしまうときに! 平常心を保つコツ

「勉強するかしないかは子ども自身の問題」と頭でわかっていても、結果がすぐ出ないと、保護者のかたとしてはイライラして、「どうしてできないんだろう」と悲観的になってしまいがち。

「そんなときはいったん、勉強していないことは横に置いて、「うちの子のいいところはどこだろう?」と考えてみましょう。『勉強はしないけど友達思いだな』『好奇心が旺盛』など、保護者のかただからこそわかる長所がたくさん思い浮かぶはず。すると、長所を伸ばしていけば、幸せにはなれるかもしれないな、と少し落ち着くことができ、子どものよさを伸ばせるよう応援していこうかな、と気持ちを切り替えられるのではないでしょうか」(中原さん)

保護者のかたがポジティブな気持ちで向き合うことで、お子さまも安心し、自分なりのタイミングで勉強に対して前向きになれると期待できます。

まとめ & 実践 TIPS

中学生の子どもが勉強しないとき、やる気を引き出すために大切なのは「一緒に目標やルールを決める」ことと「頑張りたくなる環境を整える」こと。
上から押しつけないことで、お子さまは少しずつ自立的な姿勢を身につけ、「今が頑張り時だな」というタイミングを逃さず努力するようになるはずです。
時間がかかっても、お子さまが自立的に学べるようになるまで、冷静に辛抱強くサポートしてあげましょう。

プロフィール


中原絵里子

トラストコーチングスクール認定コーチ。自分を信頼し、周りからも信頼されるためのコミュニケーションの技術を学ぶ講座「トラストコーチングスクール」を提供する傍ら、目標達成に向けて伴走するパーソナルコーチングセッションも行っている。ライター、編集者としても活動中。
https://erikonakahara.com/

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