2015年 07月 15日 <:/p>
「日本が核のゴミ捨て場になる日」について山崎マキコさんのレビュー
■山崎マキコさんのレビュー(前半)
■山崎マキコさんのレビュー(後半)
■日本が“核のゴミ捨て場”になる日 (震災がれき問題の実像)を読んで下さった方の感想(まとめ)
レビュー(前半)で山崎さんは、「感想を書くために頭のなかでまとめながら読んでいたら、いろいろな読み方ができるというか、いろいろな側面を持つ本だと気づいた。まずひとつは、第一級の資料として。」と評価してくれている。
実はこれが今回の出版目的の一つだ。
「震災がれき広域処理」は震災復興の「汚点」の一つとして歴史に記録する必要がある。記録を後世に残すためには、ブログやツイッター等のネット上のテキストだけではなく、きちんと「資料」として製本化する必要があった。
さらに山崎さんは、「がれき処理という名のもとに仕掛けられたトリックを、ロジックで見破っていく、ひとつの推理小説を読んでいるような、不思議な物語性のようなものを感じるのだ。」とも述べている。
実はこれも今回の出版目的の一つだ。
「震災がれき広域処理」に反対する住民運動は、行政機構や政治勢力との闘いというだけではなく、「住民エゴ」というバッシングや「絆」ハラスメントとの闘いでもあった。
「イメージ」だけで判断すると、誰でも「広域処理」に賛成する人が正しくて反対する人が間違っているような印象を思い浮かべる。しかし「広域処理」の裏で何が行われていたか、この「事実」を正しく理解している方は今でも少ないので、その「誤解」を解くための出版でもある。
レビュー(後半)で山崎さんは、「この本の三つ目の側面について触れたい。・・・この成功の秘訣は、本著のなかにおいては具体的に言葉として表現されてはいない。だがわたしなりにその教訓まとめると『市民運動は決して組織化されてはならない。金銭や名声の問題が、市民運動本来の目的から逸れさせてしまうからである』だ」と紹介している。
山崎さんがまとめてくれた「教訓」は多分に的を射ているが、ひとつ付け加えるとすれば「市民運動は”世のため人のため”ではなく”自分や家族のため”に行うもの」ということだ。だから「必要なときに必要な人が協力し合えば良く、義理や義務感で行動する必要はない」。このようにハードルを下げることが市民運動を長続きさせるコツだ、と私は考えている。
そしてレビュー(後半)では、山崎さんが私のコメントをいくつか引用して紹介してくれたので、あらためて「組織」と「情報」についての自分の考え方を整理しておきたい。
■「組織」は大きくなればなるほど、当初の目的を見失ない「組織」の維持拡大が目的となる「モンスター」だから、いつのまにか「組織」に市民運動が乗っ取られてしまう。だから、市民運動を成功させる上で重要なのは「組織」ではなく「情報共有ネットワーク」だ、と私は考えている。
■「組織」を作らないもう一つの理由は、相手(例えば自治体や政治家)が勝手にこちらの「規模」を思い込んで警戒してくれるという点にある。「情報共有ネットワーク」だけで様々な地域から自治体や政治家に色々な声が届く。すると相手は「どれだけ大きな市民グループだろう?」「誰が中心人物だろう」と勝手に警戒してくれる。しかし「情報共有ネットワーク」は「組織」ではないから「実態」が見えないので、根回しや分断工作などの「組織対策」が効かない。
■一方の「情報」は、活用されなければただの「紙切れ」にすぎない。本来は「情報」を活かす役割としてマスコミに期待が集まるのだが、「情報共有ネットワーク」さえあれば市民だけでもある程度「情報」を活かすことが出来る。「がれき反対」の市民運動でそれが証明できた、と私は考えている。
■愛知で「がれき反対」の市民運動を進めていく上で、色々な政治勢力と関わり、局面局面において時には協力し、時には反発することもあった。しかし市民運動にとって最大の武器は「情報」であり、民主的な行政にとって最も重要な要素は「情報公開」である。だから「情報公開」に後ろ向きな勢力は徹底して追及していく、これが市民運動にとって最も重要なスタンスだ、と私は考えている。
最後に山崎さんは、「本著は、問題意識そのものから遠ざかりたいと感じている人、ゆえにこの本著を避けたいと感じている人ほど、手にとって欲しいと願う。変えられないのはわたしたちの過去だ。だか変えられる未来もある。」とこの本の紹介をまとめてくれた。
山崎さんのレビューのおかげで、本書で伝えたかった「市民運動」に対する骨子が纏まりそうなので感謝したい。ちょうど「がれき問題」だけではなく「市民運動」に関する市民勉強会を望む声が私の元に届いているので、近いうちに具体化できればと思う。
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by azarashi_salad | 2015-07-15 18:38 | 政治 <:/p>