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テレビの主流は40型。4K上半期トップはソニーも、パナに勢い。BCN調査
2016年7月14日 19:29
BCNは14日、テレビやデジタルカメラ、スマートフォンなど、デジタル家電の2016年上半期の販売動向について調査結果を発表。テレビ市場については、'16年6月の4Kテレビの販売数量は前年同期比195.4%、販売金額は164.6%を記録し、全体に占める4Kテレビの台数比率は22.8%まで拡大。BCNの道越一郎アナリストは、テレビが'16年上半期のデジタル家電市場を強力にけん引しているとの見方を示した。
BCNの市場分析は、家電量販店など全国23社、2,597店舗(2016年6月現在)のPOSデータを集計したBCNのデータをもとに実施。Amazonなどを中心としたネット店舗のデータも加味した形で前年同月比を算出している。メーカー直販店の売上は含まれない。
4K含め、テレビのサイズは40型が主流に
2016年6月の液晶テレビの販売数量は前年同期比で95.4%で前年割れだが、販売金額が同103.9%で前年を上回った。販売金額は過去3年で最高の水準で、テレビ市場は回復傾向にあるとした。平均単価は74,800円。画面サイズ別では、40型台の構成比が31.3%となり、主流サイズが32型などの30型台(構成比:28.1%)から40型台にシフトしている。
4Kテレビの販売数量は前年同期比195.4%、販売金額は164.6%の大幅な伸長となり、全体に占める4Kテレビの台数比率は22.8%まで拡大。画面サイズ別では、40型台の構成比が55.8%と過半数を超え、4Kテレビの小型化が進んでいる。70型以上では高価格帯のプレミアムモデルのみが残ったことで平均単価が上昇。BS 4K/8K試験放送の開始を前に、「(大型テレビは)8Kコンテンツの増加待ちの状態にある」としている。
BCNでは、8月に開幕するリオデジャネイロオリンピックが、上半期の4Kテレビ需要を後押ししていると見る。道越氏は「テレビの4K化の波に加えて、買い替えサイクルが来ていることや、'15年の"デジアナ変換終了特需"の影響が終わった、などの要素が積み重なった。(リオ五輪後、年末商戦にかけても)テレビ市場の伸び率は維持されると考えている」とした。
主要4社のTV事業動向を分析
主要テレビメーカーであるソニー、パナソニック、シャープ、東芝の4社の動向についても分析。テレビ市場における各社の現状について説明した。
2016年6月の液晶テレビ全体のシェアは、シャープが32.7%で首位。2位はパナソニックで23.4%、3位はソニー 13.2%、4位は東芝 12.9%。5位はハイセンスの6%で、「テレビの市場でも海外メーカーが頭角を現しつつある」(道越氏)。
このうち、4K対応テレビのメーカー別販売台数シェアは、パナソニックが29.8%で首位。4K/HDR対応のVIERA DX750シリーズのうち、49型「TH-49DX750」が売れたことが、6月の販売台数シェアトップの要因とした。2位のソニーは24.7%で、5月まで3割近いシェアを持ち、'16年上半期を通してシェアトップ。3位は21.9%のシャープ、4位は20.1%の東芝。
4Kテレビの平均単価はゆるやかな下落傾向にあり、17万1,800円まで下がっている。メーカー別の平均単価を見ると、パナソニックは17万8,300円、ソニーが19万1,600円、シャープが17万4,700円。東芝が14万7,300円で最も安く、台数シェアは前年比で伸びている。BCNでは東芝が低価格4Kモデルの投入を行なったことで、「不正会計問題で落ち込んだ前年から回復基調に乗った」とする。
また、メーカーごとに液晶テレビの中で4Kモデルが占める販売台数も調査。6月の台数構成比は、パナソニックが28.2%、ソニーが43.9%、シャープが14.8%、東芝が34.4%。ソニーの4K構成比が他社と比べて突出しており、テレビ事業の軸足が4Kにシフトしたと見る。
各メーカーの現状として、シャープは液晶テレビのトップシェアメーカーながら、「4Kテレビの小型化は出遅れている」とする。台湾・鴻海精密工業による買収の動きが表面化した2月以降は、販売台数・金額ともに前年割れが続いている。道越氏は販売台数・金額の数値からは買収問題の影響は読み取れないとしつつ「勢いが削がれているとも見える」とコメント。
パナソニックは5月以降二ケタ成長ペースを記録し、台数・金額・単価いずれも過去3年で最高水準を記録。販売台数構成比では30型台の割合が縮小し、40型台と、20型未満で無線LAN連携機能などを備えた高付加価値モデルの売り上げが伸びているとした。
ソニーは販売台数構成比で40型が過半数を占めるのが特徴。「販売台数・金額の前年割れが続いているが、'13年から'15年にかけて下がった平均単価が'16年上半期では持ち直した。課題は年末商戦に向けた後半戦になる」と指摘。
東芝は、6月の販売台数・金額が14カ月ぶりに大幅な前年越えを記録したが、勢いは乏しいとした。販売台数構成比では40型を中心としながら、50型にも拡大している。
BDレコーダはパナソニック首位、販売台数は前年割れ。スマホ/PC/デジカメの動向も
レコーダの販売状況は、6月の台数の前年同月比が89.4%、金額は93.9%。道越氏は「多チューナ化が進んだことでゆるやかだが単価が上昇。3チューナ内蔵モデルが4割、いわゆる全録モデルが1割程度を占める。台数は前年割れが続いている」と説明。BDレコーダのメーカー別販売台数シェアは、パナソニックが過半数の52.7%となり、2位がシャープ(19.4%)、3位が東芝(14%)、4位がソニー(12.8%)。
スマートフォンの販売状況は、総務省の販売適正化の要請に加え、'16年夏モデルの機種数減少が大きく影響し、6月の販売台数は前年割れ。SIMフリー市場は全体の17%前後で推移している。メーカー別販売台数シェアでは、アップルが首位を維持しているが、Xperiaシリーズを販売する2位のソニーとの差が縮まっている。
パソコン(ノート型/デスクトップ型/タブレット)の販売台数・金額は前年二ケタ割れが続いているが、ノート型については前年の水準まで回復。ただし、ノート型/デスクトップ型の市場規模は3年前の半分まで縮小した。
デジタルカメラは販売台数・金額ともに平均単価の上昇が止まりつつあることで販売金額のマイナスに響いていると指摘。さらに、レンズ交換型では月を追うごとにマイナス幅が拡大し、4月の熊本地震の影響でソニーのイメージセンサーの生産が止まった影響が残っているとした。なお、パナソニックのレンズ交換型/ミラーレスカメラの台数シェア・平均単価は上昇傾向にあり、熊本地震の影響を受けなかったとしている。
アクションカムは、販売台数の伸びが好調で、前年同月比で122.1%を記録した。