ソニー、KADOKAWAの新株式を約500億円分取得し「資本業務提携」へ。買収ではなく

ソニーグループは12月19日、KADOKAWAの新株式の取得等を目的とする、戦略的な資本業務提携契約を締結したことを発表した。

ソニーグループ株式会社は12月19日、株式会社KADOKAWAの新株式の取得等を目的とする、戦略的な資本業務提携契約を締結したことを発表した。株式の取得によりソニーグループはKADOKAWAの筆頭株主となるものの、現時点で株式を追加取得する予定はないという。

KADOKAWAは出版・映画・ゲームなど、さまざまなエンターテイメント事業を展開する国内有数の企業だ。このうちゲーム企業については、『エルデンリング』などの大ヒット作を送り出したフロム・ソフトウェアや、スパイク・チュンソフト、アクワイア、Gotcha Gotcha Gamesなどを擁している。

ソニーグループとKADOKAWAを巡っては、先月ReutersBloombergといったメディアが、関係者の証言としてソニーグループがKADOKAWAの買収協議が進行中であると報道していた。そうした報道を受けて、KADOKAWAはソニーグループから株式の取得に係る初期的意向表明を受領しているとしつつ、決定された事項はないとしていた(関連記事)。

そしてソニーグループは今回の発表で、今年10月にKADOKAWAの株式の取得に係る初期的意向を表明していたことを改めて説明。KADOKAWAとの協議の上で、約500億円で新株式1205万4100株の取得等を目的とする、戦略的な資本業務提携契約を締結したことを発表した。

今回の株式取得により、ソニーグループは2021年2月に取得済みの株式とあわせてKADOKAWAの株式の約10%を保有する筆頭株主となる。ただし本件取得の実行後にKADOKAWA株式を追加取得する予定はないとのこと。つまり買収ではなく、資本業務提携というかたちで協議は落ち着いたわけだろう。

今回の資本業務提携を通じて、両社の保有する IP 価値のグローバルでの最大化に向けた連携をさらに強化し、コンテンツ領域での共同出資などが検討される見込みだという。また新たなクリエイターの共同発掘、両社のIPのさらなるメディアミックスの共同推進など、より幅広い、踏み込んだ協業を進めていく狙いがあるそうだ。KADOKAWA の IP のグローバルでの実写映画・ドラマ化やアニメ作品の共同制作、KADOKAWA のゲームのパブリッシングのさらなる拡大などについて、具体的な協議の取り組みを議論していくとのことだ。たとえばゲームIPのマルチメディア展開なども期待されるところかもしれない。

*KADOKAWA取締役の川上量生氏は「双方にとって一番良い結果になった」との見解を伝えている
Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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