スターフライヤーの絶妙なプライシング
前後空間90センチ強
スターフライヤーの座席設定である。新聞記事によれば、この前後空間は「広め(日本経済新聞2012年4月5日付1面)」とある。さらにスターフライヤーのシートは革張りだ。実際、ネット上の評価を見ても、スターフライヤーのシートに対する評価は高い。
スターフライヤー自身がシートの良さを売り物にしている。同社のサイトには、コンセプトは『ホスピタリティ』とある。アンケート調査の結果、顧客の『不』が座席の窮屈さにあることを掴んだ同社は、採算効率の少々の悪化には目をつぶり、座席数を減らしてシートピッチ(座席間隔)を拡げた。その結果が90センチである。
シートにゆとりを持たせているからと言って、航空運賃が高いわけではない。JALやANAと比べれば、羽田=福岡間の「水曜日限定」運賃に限っていえば半額以下だ。もちろん、日本でもいよいよスタートしたLCC(格安航空会社)ほどは安くない。スターフライヤーのバリューライン上のポジショニングが絶妙だと思う。
競合価格戦略の基本『バリューライン』である。バリューラインは、標準的な価格と価値のバランスは、このバリューライン上に位置する。これより下は、基本的に顧客から支持されない。逆にバリューラインを上回れば競争優位となれる。
そこでJALやANAなど大手エアラインとLCC、そしてスターフライヤーの価格と価値のバランスを見ると、次のようになる。価格は中庸、しかし価値が高い。このポジショニングは、実は顧客を選んでいる。安さだけを求めるバーゲンハンターではなく、価格に無頓着で高価値なものを求める客でもない。価格と価値のバランスにシビアな層を狙っているのだ。
おそらくは、そうした層の顧客こそがリピーターになる可能性が高く、イノベーター、あるいはアーリーアダプター層として確かな情報発信力をも持っていると考えているからではないだろうか。
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