あとぢゑ~る

あとぢゑ〜る

大人の発達障害

⤴️母が遺した「深呼吸」の意味

母は強メンタルだったので、自身の死の病と向き合える人だった。
対して私は、家族として母を支えなければならない立場だったのに、それをするにはあまりにも弱すぎた。

自責の念があったし、周りからもその脆弱さはかなり厳しく叱責された。
今になって振り返れば、それは発達障害特性ゆえのことなので仕方なかったと自分を慰労することもできるが、当時はそういう時代ではなかった。

そんな訳で、私の方が病人の母から慰められたり励まされたりする始末だった。
携帯のメールで母から「深呼吸⤴️」と送られてきたのを今でも覚えている。

この「深呼吸」こそが瞑想の肝だった。
マインドフルネスを行なうことで、血流が良くなり、集中力がアップするのだという。

そう言えば思い出した。
『北斗の拳』でケンシロウが使っていた転龍呼吸法を。

もともと人間の体は恐るべきパワーを秘めている
だが常人はそのパワーをわずか30%使えるのみ!
しかしおれは100%をひきだせる!!
それが北斗神拳奥義
転龍呼吸法!!

そうか、ケンシロウが使っていた転龍呼吸法というのは、究極のマインドフルネスなんだ。
確かにここでケンシロウは「はああああ」と息を吐いている。
子供のころは「息するだけで30%が100%になるって凄い」としか思っていなかったが、大人になってから読んで気づかされる凄い真理が描かれていたんだな。
火事場の馬鹿力というやつも、これに近いのではないか。

母が「深呼吸」と送ってきたのは適切な導きなのだが、当の母が深呼吸の効能をどれだけ理解して送ってきたのかは分からない。
緊張をほぐすために「深呼吸をしましょう」と促されることは、一般的によくあることだったからだ。
そして、私自身が「深呼吸⤴️」という母からのメールを絵文字まで含めて覚えているのはどういう縁なのだろう。

母の死後になってから、私に遅れてきた反抗期がやってきた。
生前、母から言われたいくつかの言葉がいかに理不尽であったか、後になって分別と理解ができるようになり、それらが繋がると、怒りに火が点いてしまった。
その反抗期はここ数年になってようやく鎮まりつつあるが、それでもまだ完全に消化できてはいない。

私は、母への不満から来る恨みや怒りを、もともと持っていたはずの愛情や感謝に戻していきたかった。
今、この「深呼吸」の言葉を思い出すことで自身の救済になるのなら、それは転換の機会になるのではないか。

自分が死ぬ時、別に母に迎えに来て欲しいと思っていなかった。
周りが何かと母親の話をしては私と繋げようとすることに拒絶感があった。
これらはまだ反抗期が続いているのだ。

私が死ぬ時に迎えに来て欲しい相手は相方や親友である。
相方はけんもほろろだが、親友は「迎えに行くよ」と言ってくれている。
これは母から親離れができたということなのだと思っているが、巡りめぐって母にまた逢いたいと思う日も来るのだろう。

私はまだその日を迎えていない。
生きることをまだ諦めていないので。