この記事は、米国ラスベガスにて開かれたInternational CES 2010の取材中に執筆している。2009年6月、本連載にて「海外出張のための装備」について語ったが、今回はその続きを書いてみたい。なにしろ、昨年までの常識は一変し、快適さが大きく変わってしまったのだ。
3Gモデムの準備が簡単になって
「無線LAN依存」が減った
昨年も書いたが、海外出張最大の難点は「通信」だ。アメリカなどの場合、さまざまなところで無線LANのお世話になるが、これがなかなか難物。調子がいいときは実に気持ちいいのだが、利用する人が多かったり、設備が貧弱だったりすると厳しい。大きなイベント取材で安ホテルを宿にすると、この二重苦に悩まされる。日本で「どこでも高速通信」の環境に慣れると、とても苦痛でしょうがない。
これを解決する手段も存在する。それが「3Gモデム」だ。日本と同様に、アメリカでも3Gを使ったモバイル通信サービスがあるが、アメリカ在住者の利用が基本で、旅行者の契約が難しかった。だが今回より、そのあたりが大きく改善された。
方法は2つある。ひとつは、プリペイド式の3Gサービスを使う方法だ。CES取材中は、VerizonやVirgin Mobileのものを使う人が多かった。3G対応のUSBモデムは100ドル(約9200円)弱。それに、パケット量に応じてプリペイドカードでチャージした料金が支払われる、という仕組みである。Virgin Mobileの場合、「40ドル(約3680円)で600MB分」(利用期限は30日)というプランがあり、それを使っている人が多かった。
ふたつめは、日本で借りられる「海外向け3Gモデム」を使う方法。私が使ったのはこれだ。レンタル業者の取り分があるだけ、当然若干高価にはなるが、プリペイドカードの追加や最初の機材手配の時間がない場合、気楽に使えるというのが利点だ。また、決済が国内ベース(主にクレジットカードだが)なのも安心な点だろう。
今回は、グローバルデータのアメリカ国内向けプランを利用した(関連サイト)。1日あたり1680円で使い放題なので、安心して「メイン回線」として使えた。ただし、ほかの3Gに比べると、転送速度はそれほどでもない。一応実効で1Mbps程度は出ているようなのだが、接続の安定に若干の疑問を感じることもあった。iPhoneのユーザーが急増し、AT&Tのネットワークが圧迫されているのが原因、と言われている。
gooスピードテストでの計測では、1Mbps程度の速度が出ている。接続にはモデム内蔵のフラッシュメモリーからインストールするドライバーと専用ソフトを利用。もちろん、WindowsとMac OS両方に対応
以上のような手段により、高価で不安定な無線LANサービスへの依存を最低限に減らし、通信環境をきっちりと確保することができた。現地プレスの間では、「無線LANだけの人は負け組」と冗談交じりに言われるくらいだったのである。

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