「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」(以下QH55)は、Windows 8と同時期に登場した製品の中でも、ある意味もっとも注目すべきものだ。x86 CPUを使いつつ、iPadなどのタブレットと大差ないサイズ・機能を実現した製品であるからだ。CPUに「Clover Trail」こと「Atom Z2760」を採用したことがその秘密だ。
x86であるということ、OSがWindows 8であるということは、ARM系CPUを使ったタブレットの持つ欠点から解き放たれる可能性が高い、ということでもある。ARM系CPUのために作られた、Windows RT搭載機との比較も気になる。
ある意味「最もタブレットらしいWindows 8マシン」となるQH55は、どのくらい使えるものになっているのだろうか。パソコンとの比較、タブレットとの比較を通して考えてみよう。
防水・防塵の「Windows 8」タブレット
サイズはARM系と変わらず
QH55の外観だけを見れば、これまで同社が出してきたAndroidを使った(すなわちARM系CPUの)タブレットとそっくりに見える。ディスプレーは1366×768ドットの10.1型。厚みは約9.9mmで、重さは約574gと、このクラスのタブレットの中では軽めである。
ARM系タブレットとの違いは、表面に輝く「Intel Atom」のシール。ディスプレーが表示されていない状態だと、これがx86系のタブレットとは思えないだろう。ディスプレーは解像度こそ高くないが、品質は上々。発色の点でも、視野角による変色の少なさの点でも問題は感じない。液晶パネルの外側、いわゆるベゼル部は太めであるが、10型クラスでは狭額縁をウリにする製品は少なく、こちらもマイナスではない。
富士通はスマートフォンなどで「防水」を推しているが、QH55も防水対応(IPX5/7/8)。同時に防塵対応(IP5X)でもある。「水に濡れても使えるPC」としても貴重といえそうだ。ただし、制約もスマートフォンと同じで、静電容量式のタッチパネルを採用している関係上、ディスプレーが水に濡れた状態ではセンサーが正常に動作しない。だから「ちょっと濡れても安心」という扱いのものと考えていい。防水・防塵でこの薄さ・軽さを実現していると思えば、十分納得できる。
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