毎年1月に米国で開催される「International CES」といえば、いうまでもなく世界最大の家電イベントだ。パソコンはもちろんCESでも重要な要素なのだが、今年は例年以上に「パソコン」の話題が目立った。ソニーの「VAIO type P」がCESに合わせて発表されたことも大きいのだが、それを差し引いたとしても、パソコンの存在感の多いイベントだったという印象がある。
今回はCES 2009から、「2009年のトレンド」を読み解いてみたい。
Netbook旋風はさらに勢いを増す
2008年のパソコン市場は、一言で言えば「Netbookが主役」だった。この傾向は2009年にも変化はないようだ。CES会場で目立っていたパソコンのほとんどがNetbookであった、とも言える。
特に、EeePCで市場を牽引した台湾ASUSTeKの勢いは強い。特に注目は、タッチセンサー内蔵のNetbook「Eee PC T91」だ。重さが900gで、マルチタッチ対応のタッチセンサー搭載と、かなり意欲的な商品である。マルチタッチ機能は「Windows 7で利用可能になる」(同社説明員)とのことで、まさにWindows 7の登場にあわせて、本領を発揮しそうな製品だ。
これ以外にも、タッチセンサー内蔵のNettop「Eee Top」も展示されていた。こちらは、2008年11月に台湾や香港などで発売されている。
ASUSと並び、Netbook系製品の展示で注目されていたのが、台湾MSIと米ヒューレット・パッカード(HP)だ。
特に、HPがCES直前に発表した「HP Mini 2140」は、「HP Mini 2133」の後継機種ということもあり、来場者の注目度が高かった。CPUをAtom N系に変更して、動作速度や発熱の問題を解決したモデルである。Mini 1000よりも解像度の高い1366×768ドットのディスプレーを搭載したモデルがあること、ディスプレー出力を内蔵していることなどから、特にビジネス系のユーザーには注目の機種となりそうだ。
同じようなプラットフォームとサイズを採用しつつも、HPが「ビジネス指向」と「カジュアル指向」の両方をカバーしたという点は、Netbookという市場の拡大を思わせる。
なお、ここで重要なのは、アメリカでは日本ほど「Netbook」というジャンルが爆発しているわけではない、ということである。自動車移動の比率が多くてサイズにこだわらず、「コスト対バリュー」へのこだわりは高いわりに、日本のように「モバイル向け通信契約とのセット販売」もないアメリカの場合、特に店頭販売などでは、Core 2 DuoクラスのCPUと光学ドライブを積んだ一般的なノートパソコンに対するニーズの方がまだまだ大きい。
それでも、アメリカ市場向けのアピールという意味合いの強いCESが「Netbookだらけ」になっているということは、ここがそれだけ製品開発競争の激しいジャンルであり、アジア市場の次の「本命」がアメリカ市場であるという、各メーカーの狙いの現われといえるだろう。
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