芸能界のみならず、各方面に広い交友関係を持つ笑福亭鶴瓶。10月3日から新たにスタートした冠番組「鶴瓶のええ歌やなぁ」(BS11)は、鶴瓶と八木亜希子がMCを務めている。
スタジオには、スナックのようなセットが組まれ、毎回アーティストがお客さんのように登場。ゲスト自身の持ち歌のほか、思い入れのある名曲を披露し、歌とトークを展開する番組構成となっている。
さる12月5日放送のゲストは、デビュー50周年を迎えた甲斐よしひろ。鶴瓶とは、40年以上の親交があるそうだ。
甲斐率いる「甲斐バンド」が「バス通り」でデビューしたのは1974年。翌75年に「裏切りの街角」をリリース。79年には「HERO(ヒーローになる時、それは今)」が初のオリコンチャート1位を獲得。以後、「安奈」「ビューティフル・エネルギー」などのヒットを飛ばした。
話は、“伝説のライブ”と称される1981年9月13日に大阪の花園ラグビー場で開催され、22,000人を動員した「KAI BAND SPECIAL LIVE 1981」の野外イベントでのこと。オープニング曲は、同日シングルリリースされた「破れたハートを売り物に」を初披露。続いて「翼あるもの」のイントロで、観客が前へ前へとステージに殺到し、演奏を中断するというハプニングが起きた。
舞台監督からは「やめろ」の指示があり、観客の危険を案じた甲斐は、観客に向かって「けが人が出たり、死人が出たりさせたくない。センターの後ろ側、もっと下がれ。やりたいんだ曲を。頼むからよ」と声を掛け、急きょバラードの「安奈」を歌うことで、皆を落ち着かせたという。鶴瓶はこのライブを楽屋から見守っていたそうで、ライブ後「大変やったな、よう止めたな」と労ったそうだ。
この日の放送回で、甲斐が持ち歌以外の歌唱曲として選んだのは、浅川マキの「あたしのブギウギ」。理由は「スナックのセットに似合うから」だそうで、途中からは鶴瓶の隣に座って歌い続け、鶴瓶と八木をしみじみとさせていた。